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第二十二話 ノースファティルガルドの実態…
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ノースファティルガルドに到着する少し前…
私とメナスはある対策を取る為に行動を起こしていた。
「コレなんかどうかしら?」
「それって…祭りの道化師の仮面? なんかすっごく怪しいよ…」
その対策とは、元婚に顔を見られない為に仮面を用意するという物だった。
それで用意した道化師の仮面なんだけど、何とも不気味な笑みを浮かべた仮面でメナスには不評だった。
「なら、コレは?」
「それって西方民族のパルーダコニャスタ族の戦士の仮面よね? 恥ずかしくないなら…」
まるでハワイの仮面の様な怒った表情の物だった。
「ファスティア、普通の仮面は無いの?」
「なら…コレなんかどう?」
「それなら…いくらかマシかな?」
私は女神の銅像の顔を模った仮面を作ってみた。
全くの無表情の仮面だけど、他の2つよりかは良い反応だった。
「それにしてもさぁ…護衛場所ってノースファティルガルドに到着で終わりじゃ無かったの?」
「ノースファティルガルドの中央都市デルーランスまでという話みたいだね。 そこからデルバディル城は目と鼻の先みたいだから、そこまで案内をしたら終わりみたいだけど…」
船が到着したらそこで別れて、私達はUターン出来るかと思っていたら違っていた。
私はメナスからギルドの指名依頼を今一度確認すると、確かにノースファティルガルドの中央都市デルーランスと書かれていた。
そうなると…船では別々に行動していたけど、中央都市デルーランスまでとなると接近距離は近くなって来る。
そうなったりすると、船内では接近禁止をされていたけど…ヴァッシュ殿下の事だから絶対に声を掛けてくるはず。
その為に顔を隠す為に仮面を用意しようという考えが浮かび上がったのだった。
「私は中央都市デルーランスまでは窮屈な仮面をしておかないと行けないのね…」
「それにしてもさぁ、馬鹿王子とファスティアはほとんど目の前で会っている筈なのに…なんで気付かないんだろう?」
「カリオスってね、自分が興味を示す相手以外はあまり顔を見ようとはしないのよ。 今は妹に夢中みたいだから、他の女の子には興味がないんじゃ無いかな?」
※この時のファスティアは、レントグレマール王国でカリオスとライラが破局していた事を知らない。
そんな事を話していると、高速船はノースファティルガルドの港街ザックロアに到着した。
私達は船を降りる前にドレクス達は防寒服に、私とメナスは防寒コートに身を包んだ。
そして船を降りると…目の前にはカリオスとヴァッシュ殿下が先に降りていた。
「皆さん、お久しぶりで…」
ヴァッシュ殿下がそう言おうとして私達に近付いてこようとすると…ドレクス達が私達の前に立って、不用意に近付かない様に制止させた。
「悪いが…あまり娘達に近寄らないでくれねぇか!」
「僕の誤解は…解けた訳ではないのですね。」
そう言ってヴァッシュ殿下は、一礼をして下がった。
そして船の荷台から荷車が降ろされると、近くで繋がれている雪熊に手綱を付けた。
「なんだ? 馬じゃ無くて…熊なのか?」
「雪原エリアでは馬は全く役に立ちません。 熊が荷車を引いて走るんです。」
「熊なんかで速く走れるのか?」
「速くは走れませんよ、安全に旅をするには速さよりも安定を大事にするんです。」
「俺は急いでいるんだが?」
「なら王子さんよ、街から外に出て10m歩いてみろ! 言った意味が分かるからな…」
カリオスはドレクスに連れられて門に着くと、ドレクスは外に指を差してカリオスを歩かせた。
ノースファティルガルドの街中は炎の魔石を用いた魔道具のお陰で、吹雪や雪もある程度防げているのだけれど…?
外は吹雪の所為で1m先ですらまともに見れない程に視界が悪く、腰の高さまで積もっている雪で歩くのは困難だった。
カリオスは腕で視界を確保しながら雪の中を歩いていくが…数mも歩かないうちに引き返して来た。
「分かったか? ここでは速さよりも安定差が求められるという意味が…」
「良く分かった! 確かに…速く走るのは無理そうだな。」
「しかし…流石に寒冷期に入っているだけあって、吹雪が止む気配が一向にないな。」
寒冷期はほとんど毎日の様に外は吹雪いていた。
吹雪が治まる事はほとんど無く、仮にあったとしても…すぐに吹雪が起きるのだった。
「寒冷期が治まってから、この国の冒険者に案内をしてもらった方が良いと思いますが?」
「だな、流石にこの時期にデルーランスまで行くのは自殺行為だし、寒冷期が治まるまではこの街に留まるしかないぞ?」
「寒冷期が終わるにはいつ頃なんだ?」
「寒冷期が始まったばかりだからな、約三ヶ月は足止めを喰らうだろうな。」
「な、なんだと…⁉︎」
カリオスは一刻も早くデルバディル城に向かいたい感じだった。
だが、先程の外の様子からだと…どう足掻いても先に行ける気がしなかった。
「まぁ、寒冷期が終わるまでは宿に泊まるしかないだろうな。」
「俺は…一刻も早く向かいたいのに!」
カリオスは無念そうに地面を叩いた。
その様子を見ていたヴァッシュ殿下は、私の方を見て尋ねて来た。
「ファスティアさん、貴女の魔法なら可能だったりしませんか?」
私とメナスはある対策を取る為に行動を起こしていた。
「コレなんかどうかしら?」
「それって…祭りの道化師の仮面? なんかすっごく怪しいよ…」
その対策とは、元婚に顔を見られない為に仮面を用意するという物だった。
それで用意した道化師の仮面なんだけど、何とも不気味な笑みを浮かべた仮面でメナスには不評だった。
「なら、コレは?」
「それって西方民族のパルーダコニャスタ族の戦士の仮面よね? 恥ずかしくないなら…」
まるでハワイの仮面の様な怒った表情の物だった。
「ファスティア、普通の仮面は無いの?」
「なら…コレなんかどう?」
「それなら…いくらかマシかな?」
私は女神の銅像の顔を模った仮面を作ってみた。
全くの無表情の仮面だけど、他の2つよりかは良い反応だった。
「それにしてもさぁ…護衛場所ってノースファティルガルドに到着で終わりじゃ無かったの?」
「ノースファティルガルドの中央都市デルーランスまでという話みたいだね。 そこからデルバディル城は目と鼻の先みたいだから、そこまで案内をしたら終わりみたいだけど…」
船が到着したらそこで別れて、私達はUターン出来るかと思っていたら違っていた。
私はメナスからギルドの指名依頼を今一度確認すると、確かにノースファティルガルドの中央都市デルーランスと書かれていた。
そうなると…船では別々に行動していたけど、中央都市デルーランスまでとなると接近距離は近くなって来る。
そうなったりすると、船内では接近禁止をされていたけど…ヴァッシュ殿下の事だから絶対に声を掛けてくるはず。
その為に顔を隠す為に仮面を用意しようという考えが浮かび上がったのだった。
「私は中央都市デルーランスまでは窮屈な仮面をしておかないと行けないのね…」
「それにしてもさぁ、馬鹿王子とファスティアはほとんど目の前で会っている筈なのに…なんで気付かないんだろう?」
「カリオスってね、自分が興味を示す相手以外はあまり顔を見ようとはしないのよ。 今は妹に夢中みたいだから、他の女の子には興味がないんじゃ無いかな?」
※この時のファスティアは、レントグレマール王国でカリオスとライラが破局していた事を知らない。
そんな事を話していると、高速船はノースファティルガルドの港街ザックロアに到着した。
私達は船を降りる前にドレクス達は防寒服に、私とメナスは防寒コートに身を包んだ。
そして船を降りると…目の前にはカリオスとヴァッシュ殿下が先に降りていた。
「皆さん、お久しぶりで…」
ヴァッシュ殿下がそう言おうとして私達に近付いてこようとすると…ドレクス達が私達の前に立って、不用意に近付かない様に制止させた。
「悪いが…あまり娘達に近寄らないでくれねぇか!」
「僕の誤解は…解けた訳ではないのですね。」
そう言ってヴァッシュ殿下は、一礼をして下がった。
そして船の荷台から荷車が降ろされると、近くで繋がれている雪熊に手綱を付けた。
「なんだ? 馬じゃ無くて…熊なのか?」
「雪原エリアでは馬は全く役に立ちません。 熊が荷車を引いて走るんです。」
「熊なんかで速く走れるのか?」
「速くは走れませんよ、安全に旅をするには速さよりも安定を大事にするんです。」
「俺は急いでいるんだが?」
「なら王子さんよ、街から外に出て10m歩いてみろ! 言った意味が分かるからな…」
カリオスはドレクスに連れられて門に着くと、ドレクスは外に指を差してカリオスを歩かせた。
ノースファティルガルドの街中は炎の魔石を用いた魔道具のお陰で、吹雪や雪もある程度防げているのだけれど…?
外は吹雪の所為で1m先ですらまともに見れない程に視界が悪く、腰の高さまで積もっている雪で歩くのは困難だった。
カリオスは腕で視界を確保しながら雪の中を歩いていくが…数mも歩かないうちに引き返して来た。
「分かったか? ここでは速さよりも安定差が求められるという意味が…」
「良く分かった! 確かに…速く走るのは無理そうだな。」
「しかし…流石に寒冷期に入っているだけあって、吹雪が止む気配が一向にないな。」
寒冷期はほとんど毎日の様に外は吹雪いていた。
吹雪が治まる事はほとんど無く、仮にあったとしても…すぐに吹雪が起きるのだった。
「寒冷期が治まってから、この国の冒険者に案内をしてもらった方が良いと思いますが?」
「だな、流石にこの時期にデルーランスまで行くのは自殺行為だし、寒冷期が治まるまではこの街に留まるしかないぞ?」
「寒冷期が終わるにはいつ頃なんだ?」
「寒冷期が始まったばかりだからな、約三ヶ月は足止めを喰らうだろうな。」
「な、なんだと…⁉︎」
カリオスは一刻も早くデルバディル城に向かいたい感じだった。
だが、先程の外の様子からだと…どう足掻いても先に行ける気がしなかった。
「まぁ、寒冷期が終わるまでは宿に泊まるしかないだろうな。」
「俺は…一刻も早く向かいたいのに!」
カリオスは無念そうに地面を叩いた。
その様子を見ていたヴァッシュ殿下は、私の方を見て尋ねて来た。
「ファスティアさん、貴女の魔法なら可能だったりしませんか?」
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