僕は最強の魔法使いかって?いえ、実はこれしか出来ないんです!〜無自覚チートの異世界冒険物語〜

アノマロカリス

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プロローグ

プロローグ・中編

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 僕が女神から貰った生活魔法で使える物は全属性。
 …何だけど、火や水や風は分かるけど、土とかになると使い道はあるのだろうか?
 まぁ、牢屋の中の床はレンガなので、土属性を試すことは出来ない。
 なので、これは外に出られてから確認をするしか無かった。
 
 「まぁ、生活魔法が全属性というのは分かったけど、何に使えるのだろうか?」

 どうせだったら、攻撃魔法の方を全属性にして欲しかった。
 …まぁ、攻撃魔法は与えられなかったけどね。
 生活魔法の火魔法は、調理の段階で使う火力程度しか出すことは出来ず、攻撃に関しては一切使用出来なかった。
 なので、出来る実験としては…?
 パンを火に掛けて焼くという事しか出来なかった。

 「この世界では、一度完成したパンに再び焼くという工程はしないらしい…」

 なので、ただひたすらに柔らかいパンを口に入れていたが、これからは焼いたパンを食べることが出来るのであった。
 …と、ここまでは良かった。
 パンを焼くと、芳ばしい香りが牢屋の外に漏れるみたいで…近くに居た騎士がたまにこちらの様子を伺う様に見て来た。
 僕のこの能力は今の所…知られるわけにはいかない。
 知られでもしたら…?

 「お前にはこんな才能が眠っていたとは⁉︎」

 …なんていう理屈を告げられて、牢屋から出されるだろうからだ。
 神託の儀で何を得たのかは知らないが、それ以降に牢屋に放り込まれてから食事は質素以下、家族には存在な扱いをされてから見捨てられて…そんな事をされているのにも関わらず、掌返しをされようものなら許せるはずも無い。
 まぁ、正直に言えば…ここから出て元の生活に戻れるというのは、ありがたい事この上ないだろうが…?
 一度でもこういう選択を行った者は、二度目も絶対に繰り返す。
 なので、僕はここから出るという選択肢はなかった。

 ~~~~~翌日~~~~~

 僕は起きると、再びパンを焼き始めた。
 今回は対策の為に、風魔法を使用して換気をしていたのだった。
 …とは言っても、この牢屋の中にはどこに繋がっているのかはわからないが、穴を掘ったトイレのような物があり、その中に向かって換気をしていた。
 これで、扉の外に匂いが漏れることはないのだった。

 「さて、今日の生活魔法の実験は…と!」

 今日の実験は、光魔法を用いたクリーンという浄化魔法だった。
 この浄化魔法は、残飯や排出物を何処かに葬り去るという魔法だった。
 僕はそのクリーンを、トイレに使っている穴の中に向けて放った。
 このトイレは、極たまに…逆風で臭いが漏れる時がある。
 それがあまりにもの臭さで、どうすれば良いのかを考えていたのだったわけで…クリーン魔法は非常に有難かった。
 そして僕は、熟練度ポイントを上げる為に…牢屋の中にもクリーン魔法を放ちまくった。
 すると部屋の中は、何かの汚れやシミを全て除去して、新品の様に生まれ変わったのだった。
 今迄が不衛生な状況だったので、新品の様に綺麗になると、気分的にも落ち着いてくる感じがした。

 「だけど、壁が破損していたり、ヒビ割れをどうにかする事は出来ないかな?」

 僕は暫く考えた後に、試しにヒールを掛けてみた。
 すると、ヒビ割れや破損箇所が見事に修復されて行ったのだった。
 僕のヒールは、どうやら怪我を回復するだけの効果ではなかったみたいだった。
 なので…僕は来ている服や下着にクリーン魔法を掛けてから綺麗にし、それを引き裂いてからヒールを施すと、パンや野菜同様に復元して大量にストックを得る事に成功した。
 別に換えの下着や服をストックせずとも、クリーン魔法で綺麗になるわけなのだが…?
 気分的な問題…という事で納得したのだった。
 それから数日間…僕は色々生活魔法の実験を行っていた。

 …あれから数ヶ月が経った。
 僕は相も変わらず…牢屋暮らしの日々を送っていた。
 最初の2ヶ月くらいは生活魔法による実験で、発見がある度に喜ぶ日々を送っていたが…?
 それも3ヶ月を過ぎた頃には、大した発見もなくて暇な日々を送るだけになっていた。

 「まぁ、ヒールのお陰で食事には文句は…というか、肉を食べたい!」

 ここ数ヶ月の食生活に、肉は一切入っていなかった。
 パンと野菜だけでも餓死する事はないが、それでも肉の脂を欲している僕がいた。
 神託の儀の前までは、テーブルには普通に肉料理が並んでいた。
 僕は食べた記憶はないのだが、でも転生前に肉を食べている経験はあったので、その肉の味を懐かしんでいたのだった。
 だけど、その日だけは違った。
 僕はどうやら6歳の誕生日を迎えていたみたいだった。
 …というのも、明かりは蝋燭のみで外が見える訳でもない。
 日々がどうやって過ぎているかのカウントは、1日2回の食事で知る事しか出来なかった。
 その日の朝に、牢屋に入れた以降…一切顔を見せなかった父親が牢屋の扉から声が掛かると、僕に長剣と短剣を渡して来た。

 「お前の誕生日のプレゼントとして、これを渡してやる!」

 牢屋から一切出れない僕にこんなものを渡して来て…一体何を考えているのだろうか?
 …いや、もしかすると…剣で自害をしろという理由で渡して来たのだろうか?
 そう思って、長剣を鞘から抜いてみると…?
 長剣は刀身の部分が根元から折れていたのだった。
 そして、短剣も鞘から抜いてみたのだが、その短剣も刀身が根元から折られていた。
 どうやら、これらを渡して自害をしろという理由で渡して来たものではなかったみたいだった。

 「暇潰しのおもちゃがわりに渡して来ただけか?」

 全く役に立たない長剣と短剣だったが、僕には対して問題は無い。
 何故なら、ヒールで復元出来るからだった。
 そして復元した長剣を短剣の柄で折った後に、ヒールを掛けて復元をした。
 すると、長剣は2本に増えたのだった。
 そんな感じで、長剣や短剣も片っ端から増やしてはストレージに放り込み…かなりのストックを増やすことが出来たのだった。

 「さて、これで頓挫していた実験を再開させる事が出来るな!」

 頓挫していた実験…それは、刃物によって身体を傷付ける行為だった。
 この長剣と短剣を手にする前は、鋭利な刃物が一切無かった。
 なので、父親はそんな僕に嫌がらせ…なのか、全く役に立たないものを渡して来たつもりなんだろうけど、僕には非常に有効活用出来る物となっていた。
 それからは…刺したり斬ったりを繰り返しては、ヒールで回復を繰り返していた。
 だけど、これも殴ってヒールや空中1回転後に受け身を取らず激突と同様に、皮膚が丈夫になって行ったのか…?
 ちょっとやそっとでは傷が付かなくなっていったのだった。

 「参ったな…案外早くに目標を失ってしまったかもしれない。」

 あれから数時間…僕は身体のあらゆる箇所を探検で斬ったり刺したりした後にヒールをしていたが、それも簡単な刺し方では刃が通らないほどに皮膚が丈夫になっていた。
 あと取れる方法としては、力一杯に思いっきりぶっ刺す事くらいしか無いのだが、今迄でも充分に痛かったのに、これ以上やると気が狂い出すかもしれないと思って刺すのをやめた。

 「せっかく…退屈な日々を過ごせられる方法が見つかったのになぁ。」

 そんな事を考えていると、扉の格子から食事が入れられて来た。
 それをみると、ステーキ用の鉄板の上に肉の細切れ…というか、ほぼ脂身が9個だけあった。
 
 「今日は誕生日らしいから特別だそうだ!次に喰えるにはいつになるか分からないから、しっかり味を噛み締めて喰えよ。」

 そう言って、姿の見えない男は去っていった。
 …とはいえ、久々に肉にありつける!
 僕はそう思って、脂身を口に入れた。
 
 「この…硬い食感の脂身は、豚だろうか?」

 次に他の脂身を口に入れると、今度は鳥の脂身だった。
 そして三つ目に口に入れた脂身は、口の中でスッと溶ける牛肉だった。

 「久々に肉の脂を喰えた気がするが、口の中がギドギドしているし、ちゃんとしたステーキが喰いたいよなぁ。」

 そう思いながら次の脂身を口に運ぼうとしていると、これにヒールを掛ければステーキになるのでは無いかと考えて、豚肉の脂身にヒールを掛けてみた。
 すると、脂身は徐々に広がり始め、ステーキサイズの肉に…?
 いや、それを通り過ごして巨大な猪になったのだった。

 「え⁉︎何で…ステーキになる訳では無いのか⁉︎」

 考えてみると、今迄にヒールを掛けて来た物は…?
 服や下着にパンや野菜が主だった。
 まさか、ヒールによってたったひとかけらの肉の脂身だった物が、元の猪に戻るなんて思う筈もない。
 しかも、猪は目線を此方に向けて威圧をしている様だった。

 「まさか、ここまで復元するだけじゃなくて、生き返るなんて…」

 僕は長剣を鞘から抜いて、猪の首元を目掛けて貫いてみせた。
 すると猪は、その場で横に地響きを立てながら倒れた。
 
 「なんとか倒すことが出来たな!突っ込んで来たら危うかった。」

 そんな事を言った後に、目の前にステータスボードが出現した。
 そこには、今迄はレベル1と表示されていたのに、6つも上がってレベル7になっていたのだった。
 それ以外にも、絶望的な数値だった能力値が上がっていたのだった。

 「こんなのでもレベルが上がるのか…」

 まぁ、どうであれ…これで脂身以外の肉も喰える!
 そう思って、解体をしようかと思ったが…そこでふと考えた。
 
 「この状態の猪にヒールを掛けて生き返らせた後に、また倒せば経験値を得られるのだろうか?」

 僕は猪にヒールを掛けてから、蘇った後にすぐにトドメを刺した。
 そしてステータスボードを見ると、またも2つレベルが上がっていた。
 なので、僕はヒールを掛けてからトドメを刺すを繰り返していった。
 すると、レベル13からレベルに上がりは悪くなっていた。
 経験値は少量だけど入っては来るが、レベルが上がる程ではなかった。

 「まぁ、これは仕方が無いか!なら…この猪はとりあえずストレージに放り込むとして、他の2種類の脂身もヒールしてみるか!」

 次にヒールを行ったのは、鳥の脂身だった。
 すると、鳥の脂身は元に戻った訳なのだが…?
 それは巨大な鳥の魔物だった。
 鳥の魔物は翼を広げて頭を上げる…つもりだったらしいのだが、天井に頭をぶつけて地面に落ちて来た。
 僕はすかさずに鳥に頭に長剣をぶっさすと、またもレベルが上がったのだった。

 「この鳥は、猪よりも経験値が高いのか。」

 生活魔法の1つで鑑定魔法を行って見てみると、この巨大な鳥の魔物はロックバードだった。
 ロックバードと言えば、結構強い部類に入る魔物だと思うのだが…?
 僕は先程の猪と同様に、ロックバードにヒールを施してからすぐにトドメを刺して行った。
 すると、先程と同様にレベル24からあまり上がらなくなった。

 「さてと、最後に牛の脂身をヒールする訳なのだが…?」

 先程の猪を鑑定魔法で調べると、ワイルドボアという魔物だった。
 そして巨大な鳥はロックバード…となると、この牛の脂身はどんな魔物になるのだろうか?
 考えていても仕方が無いので、牛の脂身にヒールを施したのだった。
 すると、牛の脂身は牢屋の中がギリギリになるくらいに大きな牛になったのだった。
 鑑定魔法で見てみると、牛はグレイザングバッファローという魔物だった。
 明らかに…先程の2匹とは別格な貫禄で、僕は生き返って朦朧としているグレイザングバッファローにトドメを刺してから、ヒールで蘇らせるを繰り返して行った。
 そして、レベルが33位になると途端に上りが悪くなったのだった。
 
 「良し、これでレベルに関してはある意味カンストみたいな物だな!」

 後は生活魔法の1つである解体を使用して、ワイルドボアとロックバードとグレイザングバッファローは肉と骨と内臓と皮になったのだった。
 それからは生活魔法の火で肉を調理して、念願のステーキを食べることが出来たのだが…?
 
 「調味料が欲しい…」

 僕の実験はもう少し続く…
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