僕は最強の魔法使いかって?いえ、実はこれしか出来ないんです!〜無自覚チートの異世界冒険物語〜

アノマロカリス

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第三章 新大陸に向けて…

第七話 船旅・中編

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 ここ最近は、何事も無く平穏な日々を過ごしている。
 つい先日までは、勇者紫乃がラミナを見て暴走していたが…
 それが無くなると、平穏な船旅に戻った気がした。
 到着までは、まだ2週間近く掛かるので…何も起きなければ、このまま順調な船旅を続けられるだろう…何てフラグめいた事を考えてしまっていた所為か、また更なる厄介毎が迷い込んでしまっていた。

 「ホーリー、甲板に来てくれないか!」
 「エイジ、今度は一体何があった?」
 「食材になりそうな獲物を釣り上げたんだが、鑑定をして欲しくてな。」
 「一体…何が釣れたんだ?」

 今回、異世界勇者組…特にエイジから依頼を受けた。
 以前も話したと思うが、この世界の料理はあまり美味くはない。
 獣を捕縛てしも血抜きが中途半端で、その状態で火にかけて焼くので…生臭さが残る肉になる。
 それらをソースやスパイスで誤魔化して出て来る為に、異世界人達には耐え難い苦痛なのであった。
 まぁ、僕のストレージに入っている肉は、血抜きの処理が完璧に行われている為に、不満を言われた事はなかったが…?
 そして、今回のエイジからの依頼はと言うと…?
 カレーが食べたいとの事で、作ってくれないかという話だった。

 「これは…一応食用とは書いてはいるが?」
 「なら、食えるんだな!」

 エイジが釣り上げて鑑定をお願いして来た食材は、見た目は伊勢海老の様な姿をしているのだが…ハサミが6本付いているという海老だった。
 僕らの知る海老は、ハサミが2本しかない為に…食べれるかどうかを聞いて来た様だった。
 …そう、今回のエイジからの依頼は、シーフードカレーをご所望の様だった。

 「海老はこれで良いとして、イカはこの間のクラーケンの足があるだろ?ホタテ…は市場で購入したなぁ?かなりデカかったけど。」
 「後は何が必要なんだ?」
 「人参やジャガイモもあるし…あとは、ニンニクと玉葱もあるので…後はマッシュルーム位かな?」
 「マッシュルームか…代用品はないのか?」
 「一応、トリュフっぽいキノコがあるので、それで代用をしてみると思う。」
 「…というか、肝心の米はあるのか‼︎」
 「あぁ、この世界では米は、主に家畜の餌になるという話でね。僕はちゃんと確保しているから安心してくれ。」

 僕は地球では、カレーはルーを使わずに1からスパイスなどを駆使して作っていた。
 …というのも、貧乏だった僕は…市販のカレールーを買う程の資金がなかった為に、材料を集めて作った方が安上がりだった。
 もしも、カレールーを使ってカレーを作っていたら…
 とてもじゃないが、異世界ではカレー作りは出来なかっただろう。

 「僕はあまりシーフードカレーは好きでは無いので、同時にビーフカレーも作るけど…良いよな?」
 「紫乃はポークカレーが良いという話だったし、テルミはチキンカレーが食いたいとか言っていたな。」
 「めんどくせぇな!喰いたくないのなら、喰わせなければ良いだけの話だ。」
 「だな、自分で作れるなら…」

 僕は船の調理場で大量の玉葱を斬ってから、フライパンで飴色になるまでエイジに任せた。
 自分で喰いたいと言っておきながら、全てを任せられるのは腹が立ったので、喰いたければ少しは手伝えと言ってやらせていた。
 僕はその間に各種スパイスをすり鉢で細かくゴリゴリとしていた。
 これが中々に時間がかかる。
 まぁ、これさえ終われば…次の工程は問題なく済むのだった。
 …というのも、以前にもこの世界でカレーを作った事はある。
 だが、1人でやるには工程が多くて、面倒になっていて…協力者がいなければあまりやりたくない位に面倒だった。

 「こんなもんで良いか?」
 「む…?少し火が強いな、もう少し弱くしてやってくれ。」
 「分かった。」

 僕はスパイスを完成させると、次に海の食材と肉をフライパンに入れて炒めていた。
 次に野菜を追加して炒めて行き…それが終わると鍋に移してから、水を入れて煮込む作業をして行った。

 「…というか、なんか量が多くないか?僕とエイジとラミナ達と、紫乃とテルミ以外の分も作っている気がするが?」
 「船の乗客達も喰いたいとか言っているみたいでな…」
 「…という事は、もう少し材料を追加しないと間に合わないぞ!」

 僕は船の調理場にいる料理人達にも声を掛けて、工程を教えて手伝わせた。
 その辺は料理人だけあって、少し教えれば問題無く進んで行った。
 そして材料を煮込みながらスパイスを投下、かき混ぜていると香ばしい匂いが厨房の中に充満して行った。

 「おぉ、懐かしいカレーの匂いだ!」
 「だが、喰えるのは明日になるぞ!これだけの量だからな、混ぜ込む時間が必要になって来るんだ。」
 「この匂いを前にして…喰えるのは明日とか、かなり拷問だな‼︎」
 「仕方が無いだろう、食材に味が染みていないカレーを喰いたくはないだろう?」
 「だから、米を炊いていなかったのか…」
 
 そんな話をしていると、調理場の扉が勢い良く開いた。
 そこには、紫乃とテルミが調理場を覗き込んでいた。

 「これで完成なの⁉︎」
 「いや、これから一晩中…味をなじませる為に混ぜなければならない。喰えるのは明日になる。」
 「うっそ~ん!この匂いが堪らないというのに…」
 「諦めろ、今のままで出しても…美味くもなんともないからな。」
 
 それから調理場では、今夜の食事を料理人達が作っていた。
 そして船内の食堂で料理が振舞われると、船内の客からは…
 この匂いの元はいつ喰えるんだ‼︎
 …と言われていたらしい。
 明日になったら…と何度も説明しているんだが、納得の行かない客達が調理場に乗り込もうとしていたが、勇者3人組が立ち塞がって、剣を構えて威嚇をしていた。
 その姿を見て客達は、すっかりおとなしくなっていた。
 それからちょくちょくと、調理場に忍び込もうとする輩がいたみたいだったが、勇者3人組が調理場の扉の前にいた為に、食い止められていたのだった。
 僕はその間に、カレーを弱火にして棒で掻き混ぜるのだった。

 「なぁ、ホーリー…お前はこのままでも大丈夫なのか?」
 「睡眠の話か?確かに少しキツイけど、僕はこの世界での生活が長いから、徹夜には慣れているからな。寧ろ、お前達の方が眠いだろ?」
 「あぁ、この匂いを前にしていると大丈夫…と言いたいところだが、眠気はある。」
 「なら、無理しないで寝ろよ。その間は召喚獣に見張らせておくから…」
 「何を呼び出すのかは知らないが、大丈夫なのか?」
 「Sランク冒険者がアライアンスで挑む様な奴を呼び出すから、安心して寝ると良いよ。」
 「お前が言うのなら…問題は無いだろうな?」

 僕は掻き混ぜを一時中断して、調理場の扉の前に行った。
 勇者エイジは、眠たそうな勇者紫乃と勇者テルミを連れて消えて行った。
 そして僕は、インフェルノウルフとデスジャッカルを召喚した。
 この2匹はの強さは、僕でも歯が立たない。
 フェリスとの召喚獣契約の際に、部下も契約してくれといって契約を交わした者達だった。
 だが…こんな事に使っても良いのだろうか?

 『む?主人よ…この匂いは?』
 「完成したら、君達にも…それと島の皆にも持って行ってあげてよ。」
 『そんなに大量に作られておるのですか?』
 「それに関しては、僕のギフトで量産するからね。」

 …そう、僕には複製のギフトがあるので、完成品をストレージに放り込んでから複製をすれば、大量に増やすことが出来るのだった。
 まぁ、それまで邪魔はされたく無いので、コイツらを召喚したのだった。
 だって…何やらコソコソと動いている奴らの気配があるからな。
 僕は再び調理場に戻ると、掻き混ぜを再開させた。
 
 そして懸念していた通り、船内の客の貴族が画策していた様だったのだが…?
 扉の前のコイツらを見ても、襲って来るという奇行には走るまいて。
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