21 / 29
第二十話
しおりを挟む
~~~~~あれから半年が経過した~~~~~
「最近、王都では…この黒くて甘い物が流行っているという話では無いか!」
ファグリューは、旅商人から話題作りの為に販売してきたチョコレートを購入した。
チョコレートの噂は耳にした事があった。
海の向こうの国の生産地なのに、こちらに来ても安価で買える理由がイマイチわからなかった。
デルード男爵家では資金困難な状態が続いているが、平民でも手に入れられる程の安価の物を購入出来ない程には落ちぶれていない。
そしてチョコレートを口に入れたファグリューは、衝撃を受ける事になる。
元々、余り甘い物を好まないファグリューには、この黒い塊が王都で大人気商品と旅商人から言われてもピンとこなかった。
だけど、口に入れると…この商品の売れる理由に気付いたのだった。
「これは…余り高い材料は使用されてはいない様だな、それにこの甘さは…砂糖では無いよな?もしも砂糖を使用していたのなら、此処まで安価で販売は無理だろうし?」
ファグリューは口にチョコレートを含んだまま、入っていた箱や箱に刻まれていたノブリス・オブリージュ商会の名前を見ました。
ノブリス・オブリージュ商会…
他国のデルキアッシュ王国で、様々な商会がしのぎを削る中で…立ち上げ手間も無いこの商会が王国一位の地位を得たという話をファグリューは新聞で知りました。
その時は、金に物を言わせて貴族に販売させた物…と思っていたのだが、このチョコレートの美味しさと値段の安さを見る限り、それは無いと気付きました。
「貴族だけに留まらず、平民にも購入出来る安価な商品…」
「まるで………いえ、なんでもありません。」
「フィリップ、構わないから言って見せろ。」
「では、僭越して……この手法なのですが、カーネラ元奥様の手法に似ていらっしゃいます。」
「俺も最初はそう思っていた。だが、あのデルキアッシュ王国で名のある商会を押し除けて、商会を立ち上げたばかりが1位に上がれる程…」
「いえ、カーネラ元奥様の手法なら……問題は無いでしょう。あの方の発想力はズバ抜けております。それに…貴族相手の商いに留まらず、平民に対しても安価で提供する…というやり方が、噂を拡散させるのでしょうね。」
ファグリューは、このチョコレートを口に入れた時に、一瞬カーネラの姿が思い浮かんだ。
だが、カーネラがエルザルーバー王国でだったら、ポップコーンやポテトチップスの関係で売り上げを上位に上げる事は可能であっても…
商会激戦区のデルキアッシュ王国で、それを成し遂げる事は…幾らカーネラでも無理だと思っていたからだ。
「おい、フィリップ…このノブリス・オブリージュ商会というのを調べろ‼︎」
「ですが、この商会は…王都デルキアッシュでございますよ?」
「時間は幾ら掛かっても構わないし、それに掛かる費用は気にするな!」
「畏まりました。大至急にお調べ致します。」
そう言ってフィリップは、デイルード男爵家から急いで飛び出して行った。
ファグリューはソファーに座りながら、チョコレートの箱を見ながら不適に笑って言った。
「これで、俺の商会は再び………」
果たして、ファグリューの思惑は…?
「最近、王都では…この黒くて甘い物が流行っているという話では無いか!」
ファグリューは、旅商人から話題作りの為に販売してきたチョコレートを購入した。
チョコレートの噂は耳にした事があった。
海の向こうの国の生産地なのに、こちらに来ても安価で買える理由がイマイチわからなかった。
デルード男爵家では資金困難な状態が続いているが、平民でも手に入れられる程の安価の物を購入出来ない程には落ちぶれていない。
そしてチョコレートを口に入れたファグリューは、衝撃を受ける事になる。
元々、余り甘い物を好まないファグリューには、この黒い塊が王都で大人気商品と旅商人から言われてもピンとこなかった。
だけど、口に入れると…この商品の売れる理由に気付いたのだった。
「これは…余り高い材料は使用されてはいない様だな、それにこの甘さは…砂糖では無いよな?もしも砂糖を使用していたのなら、此処まで安価で販売は無理だろうし?」
ファグリューは口にチョコレートを含んだまま、入っていた箱や箱に刻まれていたノブリス・オブリージュ商会の名前を見ました。
ノブリス・オブリージュ商会…
他国のデルキアッシュ王国で、様々な商会がしのぎを削る中で…立ち上げ手間も無いこの商会が王国一位の地位を得たという話をファグリューは新聞で知りました。
その時は、金に物を言わせて貴族に販売させた物…と思っていたのだが、このチョコレートの美味しさと値段の安さを見る限り、それは無いと気付きました。
「貴族だけに留まらず、平民にも購入出来る安価な商品…」
「まるで………いえ、なんでもありません。」
「フィリップ、構わないから言って見せろ。」
「では、僭越して……この手法なのですが、カーネラ元奥様の手法に似ていらっしゃいます。」
「俺も最初はそう思っていた。だが、あのデルキアッシュ王国で名のある商会を押し除けて、商会を立ち上げたばかりが1位に上がれる程…」
「いえ、カーネラ元奥様の手法なら……問題は無いでしょう。あの方の発想力はズバ抜けております。それに…貴族相手の商いに留まらず、平民に対しても安価で提供する…というやり方が、噂を拡散させるのでしょうね。」
ファグリューは、このチョコレートを口に入れた時に、一瞬カーネラの姿が思い浮かんだ。
だが、カーネラがエルザルーバー王国でだったら、ポップコーンやポテトチップスの関係で売り上げを上位に上げる事は可能であっても…
商会激戦区のデルキアッシュ王国で、それを成し遂げる事は…幾らカーネラでも無理だと思っていたからだ。
「おい、フィリップ…このノブリス・オブリージュ商会というのを調べろ‼︎」
「ですが、この商会は…王都デルキアッシュでございますよ?」
「時間は幾ら掛かっても構わないし、それに掛かる費用は気にするな!」
「畏まりました。大至急にお調べ致します。」
そう言ってフィリップは、デイルード男爵家から急いで飛び出して行った。
ファグリューはソファーに座りながら、チョコレートの箱を見ながら不適に笑って言った。
「これで、俺の商会は再び………」
果たして、ファグリューの思惑は…?
77
あなたにおすすめの小説
【完結】断罪された悪役令嬢は、全てを捨てる事にした
miniko
恋愛
悪役令嬢に生まれ変わったのだと気付いた時、私は既に王太子の婚約者になった後だった。
婚約回避は手遅れだったが、思いの外、彼と円満な関係を築く。
(ゲーム通りになるとは限らないのかも)
・・・とか思ってたら、学園入学後に状況は激変。
周囲に疎まれる様になり、まんまと卒業パーティーで断罪&婚約破棄のテンプレ展開。
馬鹿馬鹿しい。こんな国、こっちから捨ててやろう。
冤罪を晴らして、意気揚々と単身で出国しようとするのだが、ある人物に捕まって・・・。
強制力と言う名の運命に翻弄される私は、幸せになれるのか!?
※感想欄はネタバレあり/なし の振り分けをしていません。本編より先にお読みになる場合はご注意ください。
それなら、あなたは要りません!
じじ
恋愛
カレン=クーガーは元伯爵家令嬢。2年前に二つ上のホワン子爵家の長男ダレスに嫁いでいる。ホワン子爵家は財政難で、クーガー伯爵家に金銭的な援助を頼っている。それにも関わらず、夫のホワンはカレンを裏切り、義母のダイナはカレンに辛く当たる日々。
ある日、娘のヨーシャのことを夫に罵倒されカレンはついに反撃する。
1話完結で基本的に毎話、主人公が変わるオムニバス形式です。
夫や恋人への、ざまぁが多いですが、それ以外の場合もあります。
不定期更新です
悪意には悪意で
12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。
私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。
ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。
ある愚かな婚約破棄の結末
オレンジ方解石
恋愛
セドリック王子から婚約破棄を宣言されたアデライド。
王子の愚かさに頭を抱えるが、周囲は一斉に「アデライドが悪い」と王子の味方をして…………。
※一応ジャンルを『恋愛』に設定してありますが、甘さ控えめです。
失踪していた姉が財産目当てで戻ってきました。それなら私は家を出ます
天宮有
恋愛
水を聖水に変える魔法道具を、お父様は人々の為に作ろうとしていた。
それには水魔法に長けた私達姉妹の協力が必要なのに、無理だと考えた姉エイダは失踪してしまう。
私サフィラはお父様の夢が叶って欲しいと力になって、魔法道具は完成した。
それから数年後――お父様は亡くなり、私がウォルク家の領主に決まる。
家の繁栄を知ったエイダが婚約者を連れて戻り、家を乗っ取ろうとしていた。
お父様はこうなることを予想し、生前に手続きを済ませている。
私は全てを持ち出すことができて、家を出ることにしていた。
婚約破棄で見限られたもの
志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。
すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥
よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。
婚約破棄?それならこの国を返して頂きます
Ruhuna
ファンタジー
大陸の西側に位置するアルティマ王国
500年の時を経てその国は元の国へと返り咲くために時が動き出すーーー
根暗公爵の娘と、笑われていたマーガレット・ウィンザーは婚約者であるナラード・アルティマから婚約破棄されたことで反撃を開始した
愛する寵姫と国を捨てて逃げた貴方が何故ここに?
ましゅぺちーの
恋愛
シュベール王国では寵姫にのめり込み、政を疎かにする王がいた。
そんな愚かな王に人々の怒りは限界に達し、反乱が起きた。
反乱がおきると真っ先に王は愛する寵姫を連れ、国を捨てて逃げた。
城に残った王妃は処刑を覚悟していたが今までの功績により無罪放免となり、王妃はその後女王として即位した。
その数年後、女王となった王妃の元へやってきたのは王妃の元夫であり、シュベール王国の元王だった。
愛する寵姫と国を捨てて逃げた貴方が何故ここにいるのですか?
全14話。番外編ありです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる