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プロローグ

序章 シオン・ノート

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 僕の名前は、シオン・ノート・15歳。
 
 僕が8歳の神託の儀で与えられた物は、攻撃に関する事が一切出来ない無能者という神託を得た。

 僕の家は代々、戦闘系ジョブを持つ者が多く生まれて来た家系である。

 父は元騎士団長、母は元騎士副団長だった。

 兄も姉も弟も妹も、神託の儀で戦闘系のジョブを与えられた。

 僕以外は、全て戦闘系のジョブを入手していたのだった。

 そんな僕を、両親はあまり良く思われずに疎まれていたが、兄妹達は違って優しく接してくれていた。

 僕は戦いでは役に立たないけど、少しでも家族の力になりたくて様々な生産系スキルを身に付けて行った。

 そして、怪我したら錬金術スキルで作ったポーションを…
 
 新たな剣や剣の研ぎ直しなら、鍛冶スキルで作ったり修復したりしていた。

 妹の大事なネックレスが破損したら、彫金スキルで修復したり…

 新たなマントが欲しくなれば、裁縫スキルで作って家族に渡したりもした。

 だが、両親からは戦いに役に立たない物ばかりを作る者に、この家にいる資格は無いと言われて…

 15歳の成人の儀を終わった後に追い出される事になってしまったのだ。

 それまでの間は、外でも生きられる様に必死で勉強をした。
 
 そして魔法書も読み漁ったが、僕には身に付かなかった。

 15歳の成人の儀を迎えたその日の昼に、僕は家を追い出された。

 僕は近くの街に行って、冒険者になった。

 だが、この街では僕の事は噂になっており、大体の人が知っていた。

 それでも、採取や調合のクエストをこなして路銀を稼ぐ毎日を送っていた時…

 僕はある冒険者のチームに誘われた。

 僕には、攻撃手段が無いと伝えたら快く迎え入れてくれた。

 僕はこのチームで精一杯貢献したと思っていた。

 だが、このチーム以上のランクの魔物と遭遇して、僕はメンバーに足の腱を斬られた。

 僕を囮にしてチームの皆は逃げて行ったのだ。

 逃げられない僕は、死にたくないと強く願った。

 すると、頭の中に言葉が浮かんできて、それを唱えると魔法を使う事が出来た。

 攻撃に関する魔法は一切使えなかったが、魔物を拘束する魔法や麻痺の魔法、自分の怪我を回復する回復魔法を覚えた。

 そして僕が冒険者ギルドに帰ると、チームのメンバーは僕が死んだという報告をしていた。

 僕がそこに現れて受付に事情を話すと、チームは騎士団に連行されて行った。

 このチームは、新人を向かい入れては囮にして逃げるという行為を繰り返していた。

 だが、今迄はその証拠が無いので逮捕には至らなかった。

 冒険者ギルドには掟があった。

 冒険者は危険と隣り合わせ、冒険で命を落とす事はあっても、仲間を見殺しにするのは許さないという物だった。

 僕はチームが受け取る筈だった今回の報酬を受け取ると、馬車に乗って別の街に向かった。

 そして新たな街・ベイルード…

 僕の冒険者の生活は、この街で気分を一新させ、新たなスタートをする事になるのだった。

 いつか僕を心から必要とする信頼出来るチームに入る為に、僕は頑張ります!
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