特殊スキル持ちの低ランク冒険者の少年は、勇者パーティーから追い出される際に散々罵しった癖に能力が惜しくなって戻れって…頭は大丈夫か?

アノマロカリス

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第一章

第二十話・最終回 その頃、元勇者パーティーは?3

 乗合馬車が到着するまでに、残り2日!
 トールはしゃがみながらギルドカードを眺めていた。

 「本来なら、これだけ倒せばかなりのレベルアップを果たすのになぁ…」

 完全にテイトの【獲得経験値数〇倍】に依存した状態での話だった。
 トールは確かにレベルは上がった!
 ただし、レベルは2つだけだった。
 それをトールは納得していなかった。

 「王都に帰ったら、まずは情報収集だ!その後にテイトを捕まえて再びパーティーに…」
 
 トールはそんな事を考えていると、リガートとキリアとカルネアは新聞を持ってトールの前に広げて見せた。
 そこにはテイトの事が書かれていて、見出しのトップはテイトの写真が貼られていた。

 「な…何だと⁉」
 「こんな事があって堪るか!」
 
 2人は新聞を読みながら文句を言い出した。
 そこにはこう書かれていた。

 【ヴァーゲンデルト王国の勇者はまだ不在だが、今一番勇者の位置に近い男…その名はテイト‼】
 
 「テイトが勇者に一番近い存在だと⁉」
 「あのテイトがか⁉」
 「そんな馬鹿な事は無いわよね?」
 「テイトが勇者になったりしたら、トールはどうなるのよ⁉」

 4人は続きを読むと、こう書かれていた。

 【テイトパーティーは、マクファーレン港で漁師や運航を妨げていた海獣クラーケンを見事に討伐し、冒険者ギルドや漁師達からは喝采を受けた。 その功績を称えて、テイトにはマクファーレン港を救った英雄の称号が与えられた。今はヴァーゲンデルト王国では勇者が不在という話だが、英雄テイトが一番勇者に近い位置にいる事は間違いないだろう。この国には現在、勇者は空席だ!英雄テイトが勇者になる事を多くの者が望んでいるだろう…】

 「な…な…な…何だと⁉」
 「海獣クラーケンって…私達が勇者パーティーの時でも倒す事が出来なかったのに。」
 「それをテイトのパーティーが倒しただと⁉」
 「テイトのパーティーは、ウォーリアのブレイド、黒魔道士のダーネリア、白魔道士のルーナリアと書かれているわ!」
 「それ以外にも海獣クラーケン討伐により、テイトとブレイドはAランクを取得し、ダーネリアとルーナリアはFランクからCランクにアップだって。さらにパーティーランクもAランクに昇格だってさ。」
 「あいつはかつての俺達と同じ位置にいるのか⁉」
 「それと…もう1つ。」
 「他に何があるんだよ⁉」
 「全員の装備が、ミスリル魔鉱石の武器とワイバーンレザーの防具だってさ。」
 「ミスリル魔鉱石だと⁉俺だってそんな武器を持った事なんてないぞ‼」

 トールは考えていた。
 このままでは、テイトを呼び戻す前にアイツが勇者になる可能性がある。
 いや、まて…マクファーレン港?

 「なぁ、その新聞にそれ以上になんかテイトの話は書いてあるか?」
 「えっと…?英雄テイトは、勇者には興味が無くてなりたい人がいるのならその人に譲るって。」
 「なら、俺達にもチャンスはあるな!」
 「これから故郷の村のハーネスト村に戻ってからゆっくりするってさ。」
 「よ、よりにもよって…ハーネスト村俺達の故郷かよ‼」
 「あ、そっか…ラティナの墓参りね。」

 キリアとカルネアは落ち込んで見せた。
 この2人はラティナとは特に仲が良かったからだ。

 「だが、俺達はハーネスト村には入れんぞ!あそこに帰ったら、恐らく親父達に殺される‼」
 「だろうなぁ、勇者剥奪された話はとっくにハーネスト村には伝わっている筈だしな。」
 「他に行き先は書いてないか?」
 「今はこれだけだね。その先の予定までは書いていないみたい。」

 まぁ、ここから王都までは1か月以上掛かるから、帰った時に何かしらの事をしていれば新聞には載る筈。
 それを追いながら先回りをすれば、テイトには追い付けるだろう。

 「ハーネスト村にいつまでも滞在しているとは思えんからな、いずれは何処かに行くだろう。」
 「その後はどうするの?」
 「英雄とまで祭り上げられたんだ、何か大きな事をすれば新聞に載るだろうからそれを参考にして先回りをする!」
 「んでどうするんだ?」
 「当初の予定通りに、テイトをパーティーに戻すんだ!」
 「どうやって?」
 「どうやってって………」
 
 どうやってって、そんなの当然!
 
 「お前が必要だから戻って来いというしかないだろう!」
 「テイトを追い出した時の事を覚えている奴はいるか?」
 「俺は確か…お前がいるとこれ以上のランク昇格はないから抜けろと言った覚えがあるな!」
 「ボクは君のスキルの恩恵はもう必要ないと言った気がする。」
 「私はいつまでも寄生して居座ってんじゃないわよって言った覚えが…」
 「俺も戦いに参加出来ない奴が目の前をうろつかれるのは邪魔だから失せろ!と言った覚えがある。」
 「リガート、何が言いたい?」
 「ここまで言われて追い出された人間が、必要だから戻って来いと言われて戻ると思うか?」
 「「「う……」」」
 
 俺がもしテイトの立場なら、必要だから戻って来いと言われて戻るとは絶対に言わねぇな!
 だが、何か方法がある筈?

 「他にもな…テイトのパーティーにいるタンクのジョブのウォーリアだが、俺より戦闘力は上だ。」
 「ボクの魔術師より、黒魔道士の方がジョブは上だわ!」
 「治癒術士と白魔道士では、ランクが違い過ぎる。」
 「だが、テイトのジョブのアンノウンなら…俺の剣士には劣る筈だ!」
 「クラーケンを討伐していてもか?」
 「クラーケン討伐は、仲間の力が大きかったんじゃないのか?」
 「トール、新聞を良く読め!」

 【クラーケンとの戦いでは、テイトとブレイドが率先してクラーケンの足を斬りおとし、姿を現したクラーケンに仲間の支援魔法とテイトの攻撃魔法でクラーケンを包み込んで翻弄して弱らせてから、ブレイドがトドメを刺した。】

 「って、テイトの奴は魔法が使えるのか⁉」
 「クラーケンを包み込めるほどの魔法って…ボクの一番レベルが高かった時の魔法力でも無理だよ!」
 「新聞の部数を売る為に大袈裟に書かれているんだろ?」
 「だが、テイトのパーティーがクラーケンを倒したのは事実だぞ!そんな奴相手に、今の俺達が太刀打ちできると思うのか?それに仮に戦わない選択をしたとしても、戻って来いと言われて戻る事は無いだろう。その場合はどうするんだ?」

 ど…どうすれば良い?
 いや、ここで結論を出さなくても良いか!
 どうせ考えた所で、すぐに会える訳では無いからな!

 「とりあえず、策を考えるとしよう。馬車に乗ってから1か月以上も掛かるんだからな!」
 「わかった、ならトール…その件はお前に任せる!」
 「おーい、何しているんだべ!そろそろ飯の時間だべよ‼」

 とりあえず俺達は食事を食べた。
 そして翌日は、馬車に乗る為の分と売りに出せる素材を整理してら結構な日が経っていた。
 その日の夜は村から送別会を開かれて、料理を楽しんだ。
 そして出発の日…

 「テゐト、今迄本当に世話になった!」
 「トールさ、みなぁ、また来いよ!」
 「特にキリアは村の娘になって欲しいだ!」
 「考えておきます。」
 「カルネアちゃんも、癒しの魔法をありがとね!」
 「お婆ちゃんもいつまでも元気でね!」

 俺達は村人達と別れの挨拶をしてから、馬車に乗り込んだ。
 馬車の運賃以外の素材も高値で売る事が出来た。
 これから1か月以上は、補給をしながら王都に戻る。
 それまでに何か良い策が思い付くだろうか?

 こうして4人を乗せた馬車は王都に向かって行ったのだった。

 ~~~~~第一章・完~~~~~

 ~~~~~物語は第二章へ~~~~~

 ………と、その前に、この4人は謝罪をするという選択肢はないのだろうか?
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