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第三章
第五話 聖竜国グランディオの侵略・後編(勇者の剣と御対面)
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「これが、聖剣シャンゼリオンか…」
宝物庫の中にある台座には、立派な白く縁が金色に装飾された聖剣が聖なる光を発していた。
本来なら、聖剣だからと言って常に聖なる光を発している訳ではないだろうが?
邪悪な存在が来たという事で、聖剣も警戒や忠告に為に聖なる光を発しているのだろうか?
『見た目は中々な聖剣だが、果たしてコレを翔也が装備出来る物なのかねぇ?』
「デスブリンガー様、翔也とは?」
『俺と共に幼馴染達とこの世界に来て、ギルドカードで勇者に選ばれた奴なんだが…』
「あぁ、そう言えば以前にサズンデス様から教えて貰いましたね。魔境の森でデスブリンガー様を殺害しようとしたと…」
『果たしてそんな歪んだ心の奴に、聖剣が答えてくれる物なのかと思ってな…まぁ、そんな歪んだ愚者をもしもこの聖剣が選んだとすれば…』
「この聖剣もとんだ食わせ物か、聖剣とは名ばかりのロクな剣では無いでしょうな。」
《さっきから聞いていれば、好き放題言ってくれるわね…って言っても、聞こえないのよね。》
『いや、聞こえているぞ。そうか、この聖剣は…インテリジェンスソードの類だったのか。』
《⁉︎》
流石は異世界といったところか、まさか喋る剣…インテリジェンスソードがあるとはね。
魔剣ネクロイシスも、気持ちを汲んで応えてくれるから…インテリジェンスソードの類なのかと思ったが、語り掛けても一向に答えてくれないからなぁ。
だとすると、インテリジェンスソードの類というのは、あまり多くはないのだろう。
『おい、聖剣……お前は勇者の心の中身が例え邪悪な思想の持ち主でも、勇者と呼ばれる存在なら尻尾を振って使われるのか?』
《魔族である者の戯言なんて……と思っていたけど、先程のその魔族との話を聞く限りでは、今回の勇者は碌な心の持ち主ではなさそうね?》
『魔族……か、確かにお前が我の姿を見たらそう思うだろうが、我は魔族では無い。』
俺は兜を脱いでから素顔を晒した。
すると、魔族に本来存在する頭にツノや顔に模様がない事に、聖剣シャンゼリオンは驚きの声を上げた。
《まさか……人間なの⁉︎》
「あぁ、俺は大魔王サズンデス様の配下の三元将の壱将…幻魔剣士デスブリンガーだが、もう1つの名を持っている。もう1つの名は洲河慱という名で、テレシア王国の救世主召喚で勇者と共にこの世界にやって来た5人の1人だ。」
《その纏っている気配……異世界人の特有のオーラね。何故魔族から発せられているのかが謎だったけど、その話を聞いて納得したわ。》
異世界人特有のオーラ……ねぇ?
もしかして大魔王サズンデス様が魔境の森に現れたのは、その異世界人特有のオーラを持っている者達がその場所にいた気配を探ったからであって、偶然に現れたというわけでは無いんだな?
《先程の話を詳しく話して下さらないかしら?》
「話というのは、バトラーとの会話の事か?」
俺はこの世界に来てから、何故魔王の配下になった経緯を話した。
剣なので表情が見えるわけでは無かったが、声の感じで明らかに動揺をしている感情を読み取る事が出来た。
《貴方のその話が本当なら、勇者に従う言われは無いわね。》
「全て真実だが、まぁ…信じられないのなら、別に信じなくても構わん。」
《その場合、私をどうする気?》
「あんな心の捻じ曲がった勇者に仕えると言うのなら、奴が手に入れる前にこの場で破壊しようと思っていた。今は俺の方が力は強くても、聖剣を手にする事で力の均衡が同等になるのだけは俺も避けたいからな。」
《仮に私が勇者に加担をしたとしても、そんな心が穢れ切った持ち主では私の性能の効果を最大限まで発揮する事は不可能でしょうね…それ以前に、そんな使い手に触れて欲しくは無いわ。》
「それを聞いて安心した…が、だからと言って…この場所に放置して置くわけにも行かないがな。」
…とは言っても、実際にどうするべきか?
大魔王の片腕の配下が聖剣を持つ訳にもいかないだろうし、だからと言って…聖剣を何処かに放置する訳にも行かない。
聖剣と勇者は結び付きが強いという話だから、何処かに放置したとしても、巡り巡って勇者の手元に行き着く可能性がある。
破壊が出来るのであれば手っ取り早いのだが、この聖剣シャンゼリオンはかなりの力を秘めているので、破壊をするのは骨が折れそうだ。
魔王城内に置いて置くと、気配を感じた者達が持って行きそうだしな。
「とりあえず、サズンデス様に相談をしてみるか。」
俺は聖剣シャンゼリオンを確保した後に、部下に命じて冒険者ギルド以外の建物や龍達を皆殺しにした。
こうして、開国から難攻不落だった聖竜国グランディオは、さして脅威を感じなくなる国になったのだった。
「さて翔也達は、この訃報を聞いた後にどんな行動をおこすんだろうな?」
宝物庫の中にある台座には、立派な白く縁が金色に装飾された聖剣が聖なる光を発していた。
本来なら、聖剣だからと言って常に聖なる光を発している訳ではないだろうが?
邪悪な存在が来たという事で、聖剣も警戒や忠告に為に聖なる光を発しているのだろうか?
『見た目は中々な聖剣だが、果たしてコレを翔也が装備出来る物なのかねぇ?』
「デスブリンガー様、翔也とは?」
『俺と共に幼馴染達とこの世界に来て、ギルドカードで勇者に選ばれた奴なんだが…』
「あぁ、そう言えば以前にサズンデス様から教えて貰いましたね。魔境の森でデスブリンガー様を殺害しようとしたと…」
『果たしてそんな歪んだ心の奴に、聖剣が答えてくれる物なのかと思ってな…まぁ、そんな歪んだ愚者をもしもこの聖剣が選んだとすれば…』
「この聖剣もとんだ食わせ物か、聖剣とは名ばかりのロクな剣では無いでしょうな。」
《さっきから聞いていれば、好き放題言ってくれるわね…って言っても、聞こえないのよね。》
『いや、聞こえているぞ。そうか、この聖剣は…インテリジェンスソードの類だったのか。』
《⁉︎》
流石は異世界といったところか、まさか喋る剣…インテリジェンスソードがあるとはね。
魔剣ネクロイシスも、気持ちを汲んで応えてくれるから…インテリジェンスソードの類なのかと思ったが、語り掛けても一向に答えてくれないからなぁ。
だとすると、インテリジェンスソードの類というのは、あまり多くはないのだろう。
『おい、聖剣……お前は勇者の心の中身が例え邪悪な思想の持ち主でも、勇者と呼ばれる存在なら尻尾を振って使われるのか?』
《魔族である者の戯言なんて……と思っていたけど、先程のその魔族との話を聞く限りでは、今回の勇者は碌な心の持ち主ではなさそうね?》
『魔族……か、確かにお前が我の姿を見たらそう思うだろうが、我は魔族では無い。』
俺は兜を脱いでから素顔を晒した。
すると、魔族に本来存在する頭にツノや顔に模様がない事に、聖剣シャンゼリオンは驚きの声を上げた。
《まさか……人間なの⁉︎》
「あぁ、俺は大魔王サズンデス様の配下の三元将の壱将…幻魔剣士デスブリンガーだが、もう1つの名を持っている。もう1つの名は洲河慱という名で、テレシア王国の救世主召喚で勇者と共にこの世界にやって来た5人の1人だ。」
《その纏っている気配……異世界人の特有のオーラね。何故魔族から発せられているのかが謎だったけど、その話を聞いて納得したわ。》
異世界人特有のオーラ……ねぇ?
もしかして大魔王サズンデス様が魔境の森に現れたのは、その異世界人特有のオーラを持っている者達がその場所にいた気配を探ったからであって、偶然に現れたというわけでは無いんだな?
《先程の話を詳しく話して下さらないかしら?》
「話というのは、バトラーとの会話の事か?」
俺はこの世界に来てから、何故魔王の配下になった経緯を話した。
剣なので表情が見えるわけでは無かったが、声の感じで明らかに動揺をしている感情を読み取る事が出来た。
《貴方のその話が本当なら、勇者に従う言われは無いわね。》
「全て真実だが、まぁ…信じられないのなら、別に信じなくても構わん。」
《その場合、私をどうする気?》
「あんな心の捻じ曲がった勇者に仕えると言うのなら、奴が手に入れる前にこの場で破壊しようと思っていた。今は俺の方が力は強くても、聖剣を手にする事で力の均衡が同等になるのだけは俺も避けたいからな。」
《仮に私が勇者に加担をしたとしても、そんな心が穢れ切った持ち主では私の性能の効果を最大限まで発揮する事は不可能でしょうね…それ以前に、そんな使い手に触れて欲しくは無いわ。》
「それを聞いて安心した…が、だからと言って…この場所に放置して置くわけにも行かないがな。」
…とは言っても、実際にどうするべきか?
大魔王の片腕の配下が聖剣を持つ訳にもいかないだろうし、だからと言って…聖剣を何処かに放置する訳にも行かない。
聖剣と勇者は結び付きが強いという話だから、何処かに放置したとしても、巡り巡って勇者の手元に行き着く可能性がある。
破壊が出来るのであれば手っ取り早いのだが、この聖剣シャンゼリオンはかなりの力を秘めているので、破壊をするのは骨が折れそうだ。
魔王城内に置いて置くと、気配を感じた者達が持って行きそうだしな。
「とりあえず、サズンデス様に相談をしてみるか。」
俺は聖剣シャンゼリオンを確保した後に、部下に命じて冒険者ギルド以外の建物や龍達を皆殺しにした。
こうして、開国から難攻不落だった聖竜国グランディオは、さして脅威を感じなくなる国になったのだった。
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