幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?

アノマロカリス

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第三章 サーディリアン聖王国の章

第二話 使えなくなったスキルと妙な依頼(もふもふ登場!)

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 ~~~~~漆黒の空間~~~~~

 ダンのすぐ近くでダンの目を通し、ダンの行動を観察する者がいた。
 
 「せっかく複数のスキルを与えたというのに、生活魔法だけに頼るのは見過ごせないな。 これは、ちとお仕置きが必要だね。」

 観察者は、ダンのスキルを見ながら考え込んだ。
 
 「うん、生活魔法を………しよう。 君の能力なら生活魔法に頼らなくても、様々なスキルで乗り越えられるさ…。 そうだな、代わりに2つの能力を与えよう!」

 観察者はダンの生活魔法と書いてある欄に手を触れた。
 すると、生活魔法とい文字が光を失った。
 
 「ふふっ、今後の君の活躍が楽しみだ。」

 そういうと観察者は姿を消した。

 観察者とは一体!?

 その正体が明かされるのは、まだまだ先になる。

 ~~~~~朝・宿屋の部屋の中~~~~~

 ダンは目を覚ますと、そこには見慣れない天井があった。
 左右を見ると、1つ隣のベッドにはレイリアがまだ寝ていた。
 反対側のベッドを見ると、ガイウスはもう起きているみたいだった。
 体を起こし、伸びをする。
 そして、光を放っているギルドカードを手に取った。
 ギルドカードを確認していると、何か文字が書いてあった。

 【警告】
 あなたの生活魔法の……が使えなくなっちゃたよ~え~んえ~ん(T ^ T)
 生活魔法が使えなくなる代わりに2つのスキルをあげちゃうよ~。

 【逆風の舞】
 風を巻き上げるだけの攻撃力のないスキル。
 任意の場所に目視でマーキングが出来て風を巻き起こす事ができる。
 使い方は試行錯誤してね~♪

 【泡魔法】
 攻撃力が無いので攻撃には向いてないけど、防御には適した魔法だよ。
 ただし、防御力は無いけどね~w
 人体から物に至るまで全ての頑固な汚れも落とす効果もあるよ♪
 
 生活魔法の……が使えなくなった!?
 いつもの通りに火をイメージしたら火が付いた。
 片手に水をイメージしたら水の球が出る。
 複合統一魔法で合わせるとお湯になる…?
 別に普通だけど?
 何が使えなくなったんだろう?

 そして言うまでまでも無く、ロクなスキルを覚えんな。
 逆風の舞? 泡魔法? 
 また何の役に立つのか?
 
 「ダン、おはよう!」

 そういって、レイリアが起きて挨拶をしてきた。
 姿を見たら、僕がギルドカードを見ている間に別室で着替えていたみたいだった。
 そしてレイリアの服はいつも通り魔道士のローブだ。
 僕は【逆風の舞】をレイリアの足元にマーキングしてから放ってみた。
 小学校の時に流行っていたスカートめくりのつもりでやってみたのだが…

 「キャァァァァァ!」

 レイリアは捲れるローブを押さえていたが、僕の目からはバッチリ下着が見えた。
 なるほど、こういうスキルか…って、どういうスキルだよ!?
 スカートめくりをするスキルかぁ~? 使えねぇ………!

 「どうした? 何があった??」
 「私のローブの裾が勝手にめくりあがったの。」

 あー…、冗談の通じないお兄ちゃんが飛んできた。
 案の定、ガイウスは僕を睨む。
 
 「いやぁ、新しいスキルを覚えたんだけど、何に使うものなのか解らなくてね。 目標をセットしたら偶然レイリアがいてね。 ごめんねレイリア!」
 「あ、そうだったんだ。 それなら仕方ないよね。」
 「騙されるなよレイリア。 ダンは故意にやった可能性がある。」

 ちっ…やっぱ嘘は通用しないか…。
 ガイウスは鼻で笑うと、こう言ってきた。

 「俺の精霊の加護は、こういう使い方も出来るんだよ。 レイリアの下着を見ただろ?」
 「み…見てないよ…。」
 「綺麗な純白だっただろ?」
 「《水色だった。》見てないってば!」
 「俺の精霊の加護はな、言葉を話している者の真実か嘘かが解る以外に、こちらからの質疑応答に関しては相手の考えている事が解るんだよ。 そうか、水色だったのか。」
 「何だよ、その反則的な能力は…!」
 「もう2人とも、いい加減にして!」

 僕とガイウスのやり取りに、レイリアは顔を真っ赤にして怒っていた。
 そりゃ、女性の穿いている下着の色を本人目の前に言い合いしていたら、恥ずかしいよな…。
 僕とガイウスは、レイリアに謝った。
 
 宿屋で朝食を食べた後、僕達は冒険者ギルドに向かった。
 僕はAランク、ガイウスはBランク、レイリアはなんとCランクだった。
 魔道士以上のジョブは、Cランクスタートである。
 冒険者ギルドのランクは、SS~Hランクとなっている。
 本来、【魔人】というジョブは存在していない為、あまりにも高い数値となっているが年齢が幼いという理由が関係してCランクからスタートである。
 僕らは適当に依頼書を見た。
 Bランクの依頼書で【草原の調査】というのがあり、これを剥がそうとすると後ろから声が掛かってきた。

 「おいおい、それはBランクの依頼書だぞ初心者!」

 声がした方に振り返ると、そこそこな装備をした男と後ろに仲間らしき男女が3人組がいた。
 そこそこな冒険者は、やれやれ…という顔をしながら僕に言ってきた。
 
 「これだから初心者は、君に似合う依頼書はこれだろ?」

 そういってHランクの【薬草採取】の依頼書を剥がして渡してきた。

 「リーダーやっさしい!」
 「初心者は身の程を知れ!」

 後ろの仲間は僕を笑い飛ばした。
 そこそこの冒険者は、聞きもしないのに勝手に乗り出した。
 
 「オレは、ザッコス! Dランクだ!」
 「僕はダン・スーガーと言います。ランクは…」
 「ランクは別に良い! 初心者のランクを聞いた所ですぐに忘れる!」
 「解りました。」

 そういって僕はHランクの依頼書を元に戻し、Bランクの依頼書を剥がした。
 ザッコスは再び僕の肩を掴んできた。

 「だからそれはBランクの依頼書だと言っているだろ初心者! 身の程を知れよザコが!」
 「リーダー、こいつ調子に乗ってるよ!」
 「リーダー初心者に礼儀を教えてやれよ!」

 ザッコスは、仲間に応援?されて僕に向かってきた。
 胸倉を掴んで頭突きをしてきて笑っている。

 「どうした? 何かあったのか?」
 「絡まれているだけだ、気にしなくても良い。」
 「百突無双の槍使いのガイウス…さん!」
 「ん? 俺のこと知っているのか?」

 ガイウスって二つ名があったんだ…。
 エルヴ族の戦士って、意外と有名らしいからな。

 「Bランクのガイウスさんですよね? オレはDランクのザッコスと言います。 会えて光栄です!」
 「んで、俺の仲間の胸倉を掴んでいるのはどういうつもりだ?」
 「ガイウスさんの連れでしたか? 初心者が身の程を知らずにオレが渡したHランクの依頼書を元の場所に戻してBランクの依頼書を剥がしたので、注意をしようと…。」
 「初心者ねぇ…? ザッコスと言ったか、連れの名前とランクは聞いたのか?」
 「確かダンと言っていましたね。 ランクは聞いていませんが?」
 「言おうとする前に初心者のランクなんて聞いてもしょうがないと言われたからね。」

 ガイウスの威圧感にザッコスの仲間は皆黙っている。

 「ダン、教えてやれ! お前のランクを。」
 「再び失礼、Dランクのザッコスさん。 僕の名前はダン・スーガーででAランクです。」

 皮肉たっぷりに自己紹介した。
 そして僕はギルドカードを表示した。
 ザッコスと仲間達は青い顔をしていた。

 「ごめんなさいね、Dランクのザッコスさん。 あなたの紹介してくれた依頼書を無視して…」
 「い、いえこちらこそすいません。 見掛けない方だったのでてっきり初心者だと思ってました。」

 ザッコスは青い顔をしたまま、謝っていた。
 …が、胸倉を掴まれたのは別に良いが、頭突きを喰らった事は忘れてない。
 いくら待っても、頭突きへの謝罪は無かった。

 「別に良いですよ~。頭突きされたのにその事をいっくら待っても謝罪なしという事は僕も舐められているという事ですね~右手に炎、まぁ謝罪をしてくれた分は許しはしますが~左手に雷…頭突きの分はお返し致しますね~ 複合統一魔法・フレイムスタンアロー。」

 雷を纏った炎の弓矢をザッコスに向けた。
 炎の弓矢からは周囲に対して熱気を放っている。
 ザッコスと仲間たちは、ガタガタと震えていた。
 ザッコスの仲間の魔術師が言った。

 「多数属性出現と複合統一魔法なんて、Sランクでも出来る人いないよ! 早く謝ろうよ、私達殺されるよ!!」
 「本当に申し訳ありませんでした!!!」

 ザッコスは地面に頭を擦り付けながら謝っていた。
 仲間たちも一緒に同じ様にして謝っている。
 ここまでさせる気は無かったんだけど、どうせなら恐怖を植え付けようと思った。

 「冗談だよ、冗談。 同じギルドの仲間にそんな事をする訳ないじゃないか…」

 そして僕は、彼らの耳元で囁いた。

 「外だったら、どうなっていたか解らなかったけどねぇ~。」
 「悪魔再び…」

 ガイウスがボソっと言ったつもりだが、僕には聞こえていた。
 僕は「もう良いよ!」というと、ザッコス達は風の様に冒険者ギルドを飛び出していった。
 それにしても、Aランクになったとは言っても、こうも知名度が低いと良く絡まれるな…。
 依頼をこなしていこうと思った。

 「キャサリアさん、依頼をお願いします!」
 「ダン様、御預かりします。 【草原の調査】ですね。」
 「どういった内容なんですか? 詳細は受付で…としか書かれてなかったので。」
 「はい、この草原の調査というのは、カイナンから西の方に行った場所にバレサ・ステップという草原があるのですが、最近そこに大型のモンスターが出現するのですが…」 
 「討伐ですか?」
 「いえ、討伐という訳ではないのです。 何と言いますか… そのモンスターから難題を出され、合格すれば何もないのですが失敗すれば命を取られると…。」
 「なるほど…? で、これがBランク以上という理由は、仮に戦闘になってもBランク以上なら討伐できるからですか?」
 「生存率の問題です。 今まではCランク以下が別の依頼の為に草原に赴いて命を落とされていますので。」
 「その大型モンスターというのは、どんなモンスターなんですか?」
 「それが、恐怖心でまともに見る事が出来なかったという話で、遠目から見た人もいるのですが、大型のモンスターとしか?」
 「解りました、これを受けます。 討伐はしなくても良いんですよね?」
 「はい、非接触でも5m以内であれば、どんなモンスターだったかはギルドカードに記録されますので。」

 僕達は準備をしてから街を出た。
 そして街から離れた場所でシルフィンダーを出すと、バレサ・ステップに向かった。
 依頼の大型のモンスターとは一体!?

 ~~~~~シルフィンダーで移動中~~~~~

 バレサ・ステップに向かってシルフィンダーを走らせていた。
 最初は恐怖心があったガイウスも今は普通に乗っている。
 それにしても、大型のモンスターってなんだろう?
 そんな事を思っていると、右側を見ると冒険者パーティが中型のモンスターと戦い苦戦をしている。
 僕はシルフィンダーを止めて応援に行った方が良いか、ガイウスに聞いた。

 「あれは、グレートホーンブルか…。 Cランクでも苦戦する相手だが、あれはさっきの…何て言ったっけ?」
 
 目を凝らしてみると、ザッコスのパーティが戦っていた…というか、防戦一方だった。
 彼は確かDランクだったはず、Cランクで苦戦するという事は勝てるはずがない。
 それに…ブル。
 牛肉だ!!
 
 「ガイウス、助けるぞ! 上手く行けば今日の御飯は豪勢だぞ!!」
 「ほぉ…それは魅力的な話だな!」

 僕はシルフィンダーを収納すると、3人で加勢しに行った。
 
 「ガイウスは、奴の注意を! レイリアは、彼らにシールド魔法を! 僕は遠くから射撃する!」
 「「了解!」」

 ガイウスは、ザッコスとその仲間の前に立ち、グレートホーンブルの頭に槍を刺した。
 グリーディ・ボアと違い、皮膚が堅くて深くまで刺さらなかったが、注意を引くことは出来た。
 僕はこの隙に、フレイムスタンアローを作り出して放とうとした…が、魔法が発動しなかった。
 レイリアのシールド魔法がザッコス達を包むと、レイリアは僕に合図をした。
 別の魔法なら!?…と思ってハイドラシュレッダーを出現はした…が放つ事が出来なかった。
 僕は火の魔法を使い、地面の草を燃やした。
 これなら出来るのだが、敵に向けて放とうとすると発動できない!

 「ガイウス、皆離れろ!!」

 僕は「ロックレイン!!」と叫んで球体3つをグレートホーンブルの上の方に投げてから解除した。
 大きな岩がグレートホーンブルの頭上に降り注いだ。
 
 「ガイウス、トドメを!!」
 「おぅ!!」

 ガイウスは高く跳躍をすると、グレートホーンブルの額に槍を深々と突き刺した。
 グレートホーンブルを倒したのである。
 僕らはレベルが上がった…が、確認するのは後にしよう。
 ガイウスはその場でグレートホーンブルを解体した。
 ザッコス達はお礼を言って去っていった。
 
 「ダン、さっきのアレはなんだ!? お前の魔法ではないだろう?」
 
 解体を終わったガイウスは僕に向かって言った。
 解体を終えた肉や骨や皮は球体魔法で収納しいた。
 さっきのは、神殿から帰る際に大量の岩を球体魔法で収納した玉だったのである。
 何故魔法が使えなくなったのか…?
 いや、もしかして…?
 僕はギルドカードを見た。

 「ギルドカード、生活魔法のが使えなくなった…違うかい?」

 【ぱんぱかぱーん! 大正解だよ~(=゚ω゚)ノ
 生活魔法の……が使えなくなったというのは、【攻撃に関する魔法】だよ~。
 さっすがダン君、あったまいい~( *´艸`)
 生活に関する魔法としては使えるけど、攻撃には一切使えなくなったのさ!
 出現は出来るよ! 脅しには使えるね~。
 でも放つ事は出来ないんだよ~。
 あ…さっって…ダジャレになっちゃったw】

 このギルドカード…燃やしてやろうか?
 人の名前をダジャレとか言っているんじゃない!!
 
 【怒らないでよダン君、今のお詫びに経験値は全てのスキルをレベル5にしておいたよ~。】
 
 スキルカードを確認すると、生活魔法は変化ないけど?
 あと、闇魔法もレベル2のままだし…?
 球体魔法はレベル6になってるな、任意で解除? 何だこれ?
 それ以外は全てレベル5だった。

 【あ、闇魔法は暗転と吸引を1度も使ってないから上げてなかったよ~。ちゃんと使っていたらレベル5になっていたんだけどね~ぷぷぷのぷ~w】
 
 「やっぱ燃やす!」

 僕がギルドカードを燃やそうとすると、ガイウスとレイリアは止めた。
 まぁ、良いか…。
 僕らはまたシルフィンダーを出現させて乗り込んだ。
 バレサ・ステップに向かって走った。

 バレサ・ステップに到着したが…?
 それらしい大型のモンスターはいなかった。
 シルフィンダーから降りて歩いてい るが、一向に遭う事は無かった。
 以前のはぐれ魔獣の様に地面に潜んでいるのかと思ったが、掘り起こされた形跡はない。
 僕らは休憩の為に、近くの草を刈ってサークルを作り一休みした。
 レイリアを見ると体調が悪そうに見えたからだ。
 あぁ、いつものあれか…。
 僕はそう思って空の球体を10個作り、レイリアに渡して炎魔法を全て限界まで詰めて貰った。
 すると、レイリアの表情が良くなった。
 
 「なるほど、母さんが言っていたダンがいればレイリアが助かるというのはこういう事か!」
 「今回はかなり楽になりました。 今までより多く込められた様な気がします。」
 「ん? ギルドカードを確認すると20m四方の物を収納と書いてあるな。 今までより拡大したからだ。」

 そうなってくると、この炎が詰まった玉は迂闊に解除できんな…。
 あたり一面が焼け野原になる…。
 それにしても、現れないな?
 かれこれ2時間はいるが…?

 「何か来る!!」
 「ん?」
 
 ガイウスがいち早く反応した。
 僕には何も聞こえないが、エルフと同じ聴覚の優れているエルヴ族がいうのなら間違いないが…?
 それはすぐ目の前に現れた。
 それは白いフワフワとした毛並みに青と緑のオッドアイ、体の大きな狼だった。
 
 『我が名は、魔狼フェンリル! 人間と…エルヴ族か…我が問いに答えられたら生かしてやろう! 答えられなければ命は無いと思え!!』

 「ダン、最悪だ…」
 「ダン、逃げられないわ…」
 「ふ~ん?」

 フェンリルねぇ…初めて見たけど本当にデカイ狼だったんだな。
 ガイウスとレイリアを見ると、フェンリルを見て震えている。
 僕も狼には良い思い出がないけど、言葉を話せるだけ別に良いんじゃないかな?
 僕は2人の前に立って、フェンリルに話をした。

 「どうもフェンリルさん…で良いのかな? 人間は見つけたら殺すというのがあなた方の本能ではなかったのですか?」
 『最近すぐに殺すような真似は辞めたのだ。 大して強くもない者を殺してもつまらんだけだしな! なら難問を吹っかけて答えられなければ殺すという趣旨にしたのだ。』
 「では、そちらの条件をこちらが受けるとして、こちらの条件の提示も答えられたらしても宜しいので?」
 『人間、お主は我の姿を見ても震えてはおらんな? 大した度胸じゃないか!』
 「まぁ、フェンリルに会うのは初めてではないし、最初に見たフェンリルは、あなたより大きかったのでね。 フェンリルさんも人間の言葉が解るんですね? なら文字も読めたり?」
 『無論、文字も読めるぞ…って、なんだと…我が同族とか!? ん? お主から我が同族と同じ気配がするが?』
 「では、問題をどうぞ。」
 『ならば、人間と…そこのエルヴも震えてないで聞け! まだ何もしないから恐がるな!』

 2人を見ると、震えは止まったが畏怖しているのは見るだけでわかった。 
 難しい問題じゃなければ良いんだけどな…。

 『朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足の生き物とは何だ? 答えてみよ!』

 なんだ、このクッソ簡単な謎々は?
 さすがの2人もこれ位ならわかるだろうと振り向くと、頭を悩ましている。
 え? こんなので悩むの?

 『答えられなければ命は無いと思えよ…人間、余裕そうな顔をしているが答えてみよ!』
 「2人はわかるかい?」
  
 ガイウスとレイリアを見ると、首を振っていた。
 こんな簡単な問題が解らないのか…?

 「答えは人間の一生。」
 『まぁ、正解だな。 では、その理由を聞かせてみよ!』
 「朝は四本足…これは生まれたての赤ん坊の事を言い、昼は二本足…これは手を使わないで歩けるようになった子供から成人を表し、夜の三本足は杖を突いて歩く年寄りの事をいう。」
 『正解だ! この様な難問を瞬時に解くとは… お主の条件を聞こう。』
 「3つあるんだけど、良いですか?」
 『3つなら残り2つ問題を出す。 それがフェアというものだ! 当然答えられなければ命は貰う!』

 こんな簡単な問題しか出せないんじゃ、このフェンリルも大した知能は無いんだな。
 まぁ、付き合ってやるか!

 「じゃあ、お先にどうぞ!」
 『増える事があっても、減る事は無いものは何だ?』
 「年齢」
 『ぐ…正解だ! では次だ! 100㎏の鉄と100kgの毛玉はどっちが重い?』 
 「どっちも同じ…ってふざけてるの?」
 『ならもう1つだ!!』
 「あれ?僕は3つでそっちは4つなのか?」
 『良いから行くぞ! 「ウサギ」や「クマ」に出来て「ライオン」や「キリン」に出来ない物は?』
 「しりとり。 はい、僕の勝ちですね!」
 『なぬ~~~!?』
 「なんだこの簡単な問題は…構えていた僕は馬鹿みたいじゃないか…ねぇ2人とも?」

 僕は2人を見ると、尊敬の眼差しで見られた。
 もしかして…この程度の問題が解らなかったの?
 
 「いい加減さぁ、首がつかれるんだけど。 座ってくれない? ほら、お座り!…おい、伏せ!」
 『おい…我は犬ではないぞ!! あんな媚を売る事しか出来ない下等な生き物と一緒にするな!!』 
 「犬にも出来る事が出来ないなら、あんたは犬以下だな。」
 『調子に乗るなよ、人間が。 お主を殺す事など容易いのだからな!!』
 「やだねぇ~、指摘されたらすぐキレる。 あんたフェンリルの中でもまだ若造だろ?」
 『我は500年生きているぞ!!』
 「やっぱ若造じゃん、僕が会った事あるフェンリルは3000年生きていたと言ってたよ。 それにすぐキレるのは若いからだよ。 大人びた喋り方していたから騙されそうになったよ。」
 
 フェンリルは僕の発言で焦っていた。
 僕の会ったフェンリルとは、ゲームの世界での話である。
 このフェンリルがガイウスと同じ様に精霊の加護があるならバレるが、この驚きようだとそれは無いだろう?

 「なら、2つの条件を話すね。 まず1つ、このボールを取ってきて!」
 
 僕は草原の草を1つに集めて【創造作製】でボールを作って、デカ包丁の峰でボールを打った。
 すると、100m位飛んで行った。
 
 「取ってこれる?」
 『馬鹿にしているのか!』

 フェンリルはボールに向かっていくと、ボールを銜えて持ってきて僕の元におろした。
 
 「おぉ、良く出来たね! これで犬以下から犬になったよ!」
 『お主…良い度胸しているな…』
 「では、次…今度はこの玉を取ってきて欲しいんだけど。 今度は距離が少しある。」
 『ふん!』

 ビー玉の大きさから30㎝くらいの大きさに変化させてから、任意解除でフェンリルが玉を噛んだ時に解除にして、レイリアの杖の前にセットする。
 そして、レイリアに風魔法を放ってもらうと…物凄い勢いで飛んでいき、遠くの山に当たった音がした。

 「かなり距離があるけど、取ってこれる? もしも取って来れたら、僕らの事は好きにしても良いから!」
 『これでお主らを始末できるのなら容易いものだ!』

 そういうと、フェンリルはボールの向かった方に走り去っていった。
 地面を見ると、フェンリルの毛が落ちていたので拾っておいた。

 「さて、もうここに用はない。 2人ともいくよ!」
 「え?待ってなくて良いのか?」
 「ガイウス、君は殺されたいのか? 待つわけないだろう。」
 「だが奴らは鼻が良いぞ、すぐに追いつかれる!」

 実は大丈夫なんだよね。
 僕は街道にシルフィンダーを出した。
 
 「あ、良い事思い付いた!」

 そういって僕は、地面に簡単な魔法陣を書いて、その横に文字を書いておいた。
 それが終わると、僕らはシルフィンダーに乗ってカイナンの街に全速力で向かって走った。

 「そういえばダン…変な円の横に本を見ながら文字を書いていたな、あれはどういう意味なんだ?」
 「あれはね…もう少し運転に集中したいから後でね。」

 ~~~~~一方その頃、フェンリルはというと?~~~~~

 『待ってろよ! あの人間め… 帰ったらバラバラに引き裂いて喰らってくれるわ!! お、これか!!』

 フェンリルは玉を持っていこうとして玉を噛むと、球体解除が発動して大爆発を起こして全身炎に包まれた。

 『グワァァァァァァァァァ‼︎?』

 フェンリルは地面に転がりながら炎を消すと、フワフワだった毛は黒く焦げて短くなり、本当に見すぼらしい犬みたいな姿になった。
 
 『あの…人間め! もう許さんぞ!!』

 フェンリルは風のように走って行き、先程の場所に着いた。
 そして辺りを見渡しても、ダン達はとっくにいなかった。
 そしてフェンリルは、地面に書いてある魔法陣と文字を見付けた。
 そこにはこう書いてあった。

 【無駄な努力をご苦労様、わんちゃん! 僕らはこの文字の横にある魔法陣で聖竜国グランディオに帰りました。 そこの宿屋にいるから、来てくれたら国中に伝わるくらいに大声でこの名前を呼んでくれ。 そうしたら、君を調教して立派な犬として飼ってやるよ。 僕の名前はね、グラバディアス・ベルリヴァス・ドラグツヴァイスというんだけど、覚えられるかな? 君、頭悪いもんね。 あんな程度の低い問題を出すくらいだから、覚えられるか飼い主になる僕には心配だよ。 まぁ、頑張って来てよ、わんちゃん!】

 『アウァォォォォォォォン! 覚えたぞ!人間!! 待ってろよ、グラバディアス・ベルリヴァス・ドラグツヴァイス!!!』

 フェンリルは光を纏って光速で聖竜国グランディオに向かって行った。

 ~~~~~戻って、シルフィンダーでの会話~~~~~

 「俺達が向かうのはカイナンだろ? 何で聖竜国グランディオに行ったなんて書いたんだ?」
 「ガイウスは聖竜国グランディオという国は知ってる?」
 「番いの守護竜とその子らが人間との契約により発展した国だろ? この世界で最強の国だと言われているな。 確か入り口にはグランドドラゴン2匹が門を守っていて、その他に数百匹の飛竜がいるとか聞いた事がある。」
 「おぉ、詳しいねぇ! 僕もテルシア王国で聞いた話と一緒だね。」
 「それで、お前の名前がやたら長ったらしい感じだが、あれの意味は?」
 
 フェンリルは聖竜国グランディオに着いた。
 門番の竜が、フェンリルを見て起き上がった。
 フェンリルは門番の竜を無視して、国中に聞こえる様に文字に書かれている名前を叫んだ!
 
 『グラバディアス・ベルリヴァス・ドラグツヴァイス出てこい!!』
 『あぁ? 何だと!?』
 『お前らとは事を構えるつもりはない! オラオラどうした! 来てやったのに、まさか今更怖気づいたのか‼』

 「んで、あの名前はどういう意味があるんだ?」
 「あぁ、あれはね竜語で……」

 『グラバディアス・ベルリヴァス・ドラグツヴァイス聖竜国グランディオの番いの守護竜とその子らは全てクソ以下の生物出てこい!! おら、どうした? この臆病者ども! さっさと出てこいや! バラバラに引き裂いて踏み躙ってやるからな‼』

 「……という意味でね、あんな言葉を国の前で叫んだら、どうなるか…?」
 「本当にダンは、よくもまぁ悪魔みたいな事を思い付くな…!」
 「こんな事を国中に聞こえる様に叫んだらどうなると思う?」
 「聞くまでもないだろう…。」

 『キサマ…さっきから何を口走っているのか解っているのか!?』
 『何かおかしい事を言ったか?』
 『キサマの言っている言葉は我らの言葉で、聖竜国グランディオの番いの守護竜とその子らは全てクソ以下の生物という意味だ!!』
 『は?』

 フェンリルの前には、2匹の門の竜と空には100匹のドラゴンライダーの飛竜が待機していた。
 しかもドラゴンライダーの飛竜は、口を開いてブレスの準備をしていた。

 『たかが犬風情が、覚悟は出来ているんだろうな?』
 『な…な…な…あのクソ野郎ども! 絶対に…‼』
 
 ドラゴン達のブレスが一斉にフェンリルに方に向かって放たれた。
 その後、このフェンリルの姿を見た者は……?
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仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》 どんなスキル持ちかによって、人生が決まる。生まれ持ったスキルは、12歳過ぎから鑑定で見えるようになる。ロマドは、4度目の15歳の歳の鑑定で、『スキル錬金』という優秀なスキルだと鑑定され……たと思ったが、錬金とつくが熟練度が上がらない!結局、使えないスキルとして一般スキル扱いとなってしまった。  どうやったら熟練度が上がるんだと思っていたところで、熟練度の上げ方を発見!  スキルの扱いを錬金にしてもらおうとするも却下された為、仕方なくあきらめた。だが、ふと「作成条件」という文字が目の前に見えて、その条件を達してみると、新しいスキルをゲットした!  天然ロマドと、タメで先輩のユイジュの突っ込みと、チェトの可愛さ(ロマドの主観)で織りなす、スキルと笑いのアドベンチャー。

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