幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?

アノマロカリス

文字の大きさ
24 / 82
第三章 サーディリアン聖王国の章

第三話 依頼のもふもふの報告(部屋が爆笑の渦に!)

しおりを挟む
 僕らはカイナンの手前にシルフィンダー止めて収納してからカイナンの街に入った。
 辺りは赤い夕焼けで街が染まっていた。
 冒険者ギルドに入ると、依頼終了の手続きの冒険者で溢れかえっていた。
 僕らは列の最後尾に並んで順番を待っていた。

 「あぁ! ダンさん、ガイウスさん、先程はありがとうございました!」
 「あれ? ザッコスさん。 無事なようで良かったね。」
 「あんな岩を雨の様に降らせる魔法を初めてみました。 さすがにAランクの方は違いますね!」
 「あれ位、大したことないよ…」

 本当は複合統一魔法が使えないから、球体魔法で収納した岩を解除しただけなんだけどね。
 それにしても、複合統一魔法が使えないとなると今後の対策を考えないとだな…?

 「あ、順番が来たみたいだ。 また後でも良いかな?」
 「あ、はい。 お疲れさまでした!」

 ザッコスと仲間達はお辞儀をすると、テーブルの席に座った。
 僕は受付のキャサリアさんに依頼書とギルドカードを渡した。

 「はい、ダン様…お預かり致しますね。 大型モンスターは…フェンリルですか!?」
 「はい、でっかいワンちゃんでした。 しかも頭が悪くてやたら態度が偉そうな駄犬ですね。」

 冒険者ギルド内がざわついた…。
 フェンリルと相対して生還できる冒険者はそういないからだ。
 ザッコスと仲間達は、僕らを尊敬の眼差しで見つめてきた。

 「フェンリルが絡んでくると、これはBランク以上の…Sランクでもおかしくない案件です。 フェンリルは討伐されたのですか?」
 「いえ、今回は調査という事だったので、討伐まではしていません。…が、まぁ恐らく生きてはいないでしょうから。」
 「少々お待ち下さい。 ギルドマスターに報告してきます!」
 「はい、待ってます!」

 キャサリアさんは階段を上がって行った。
 するとすぐに戻ってきて、ギルドマスターの元に向かって欲しいと言って案内された。

 「ダン殿、また貴方か…」
 
 ヴォルガンは頭を抱えながら僕を見ていった。
 ヴォルガンの後ろに角と鱗がある女性が控えていた。
 ヴォルガンの秘書かな?
 今回は、ガイウスとレイリアも一緒だ。
 
 「しかもだと? 一体どういう話なのか聞かせてくれ!」
 「えっとですね… 出遭った早々に難問をだして答えられたら助けてやるが、答えられなければ命は無いと言われて、クッソ簡単な謎々を言われて答えたら…」 
 「ちょっと待て、謎々ってなんだ?」
 「え? そこからですか? 簡単な問題ですよ。 ねぇ、2人とも?」
 「俺には全く解らなかった。」
 「私も解りませんでした。 瞬時に答えられるダンが凄いと事が解ったくらいで…」
 「どんな問題が出された?」
 「え? 聞きたいのですか?」
 「あぁ、頼む!」
 「別に構いませんが…あ、他の方も同じ事をされていたからですか。 その問題はですね…朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足という生き物はなんだ?という問題と、増える事があっても減る事がない物はなんだ?という問題と、100㎏の鉄と100㎏の毛玉はどっちが重いとか、クマやウサギに出来て、ライオンやキリンに出来ない物はなんだ…の4つですね。」
 「はぁ? これが簡単な問題なのか!?」
 「こんな問題は…」

 僕は角と鱗のある女性を見る。
 
 「安心してくれ、俺の秘書のドラゴニュートのティルティナだ。 ダン殿の事は話してある。」
 「なら、安心して言えますね。 僕らの世界の子供ですら簡単に解る問題です。」
 「凄いんだな、異なる世界の子供達は…我々では答えが解るまでにかなり時間が掛かるぞ。」
 
 ヴォルガンはティルティナに話を振ってみたが、首を振っていた。
 ガイウスもレイリアも解らないというし。
 この世界の知識レベルって低いのかな?…と思えてくる。
 
 「この問題は紙に書いて渡しておきますので、暇があったら解いてみて下さい。」
 「わかった、で…? その後の事を聞こう! フェンリルなら、匂いを追って追跡してくるんじゃないのか?」
 「大丈夫です! かなり怒らせる事を仕組みましたので、今頃はもう生きては無いでしょう。」
 「一体何をしたんだ?」
 「まず、仲間のレイリアの事なんですが、御存知ですか?」
 「あぁ、【魔人】というジョブの子だったよな? 昔にうちで登録した子だ。 エルヴ族は大体覚えている。」

 ヴォルガンがそういうと、レイリアは頭を下げた。
 それなら話が早い。

 「レイリアは魔力が高すぎて、MPを大幅に越えて体調が悪くなるので、僕の球体魔法で魔力を注ぎ込んで体内の魔力を調整するのですが…」
 「ほぉ、ダン殿は面白いスキルを持っているんだな。」

 僕は炎が詰まっている玉をテーブルに置いた。
 
 「最初に近くの草をスキルでボールの大きさに作り、それを取りに行かせて何もない事を気付かせてから、次にこのレイリアの炎が詰まった玉に任意解除と言って、この玉を噛んだ瞬間に爆発するように設定して遠くに投げて取りに行かせて…」
 「ダン殿、貴方は凄い事を思い付くな…」
 「で、当然玉を発見したら、噛んで持って来ると思ったので、そこで爆発させてから…まぁ、死んではいないとは思いますが…? それで散々怒らせた後に僕らがいた場所に戻ってくると思ったので、そこで挑発する文章を書いて僕らは聖竜国グランディオにいるから、着いたらこの名前を国中に聞こえる様に叫べと言って、グラバディアス・ベルリヴァス・ドラグツヴァイスと名前を呼べば出て来てやると…」
 
 後ろに控えていたティルティナは、思いっきり吹いてお腹を押さえながら必死に笑いを堪えていた。
 あ、そっか! 龍族のドラゴニュートだったら竜語はわかるよな?

 「ティルティナさん、フェンリルが国中に聞こえる様に…グラバディアス・ベルリヴァス・ドラグツヴァイスなんて叫んだら、フェンリルはどうなると思いますか?」
 「ぷっ…くすくす…恐らく生きては帰れないでしょう…くくく…」

 ティルティナさんは笑いを堪えながら言った。
 ガイウスとレイリアも笑いを堪えている。
 1人だけ意味の解らないヴォルガンは唖然としている。

 「グラバ…なんだ? どういう意味なんだ? ティルティナ?」
 「グラバディアス・ベルリヴァス・ドラグツヴァイスという意味は、聖竜国グランディオの番いの守護竜とその子らは全てクソ以下の生物という意味です…くくくくぅ…。」
 「恐らくですが、これを僕の名前だと思ってその後に罵るような言葉を言ったと思います。 竜を相手にそんな言葉を叫んだら、どうなるかはわかるでしょ?」

 ヴォルガンは青い顔をして言った。
 
 「ダン殿、貴方はよくもまぁそんな恐ろしい事を思い付くな…」
 「ギルマス、俺も同じ事を言いました。」
 
 ヴォルガンの言葉にガイウスも頷いて言った。
 そしてガイウスは、【悪魔になったダン】の話もした。
 ヴォルガンは頭を押さえていた。

 「とりあえず、依頼は完了で良しとしよう。 対象がフェンリルなら、依頼書の報酬では安すぎるので増額しよう。 ティルティナ、これを下に持って行ってくれ!」
 
 ティルティナはガイウスの話にも笑いを堪えきれないみたいで、無言で受け取ると部屋を出た。
 その後に扉の外から大声で笑い声が聞こえてきた。
 しばらくしてから、ティルティナが落ち着きを戻して部屋に戻ってきた後に僕らは部屋を出た。
 
 ~~~~~一方、その頃~~~~~
 
 『クソッ、あの人間め! 舐めた真似をしやがって……‼︎』

 あのフェンリルは生きていた。
 無傷という訳にはいかなかったが、命からがら逃げ仰せていた。
 フェンリルは、次こそダンを見付けたら恐怖を与えてから殺してやろうと誓ったのだった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

社畜生活に疲れた俺が転生先で拾ったのは喋る古代ゴーレムだった。のんびり修理屋を開店したら、なぜか伝説の職人だと勘違いされている件

☆ほしい
ファンタジー
過労の末に命を落とした俺、相田巧(アイダタクミ)が目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界だった。神様から授かったスキルは「分解」と「再構築」という、戦闘には向かない地味なもの。 もうあくせく働くのはごめんだと、静かな生活を求めて森を彷徨っていると、一体の小さなゴーレムを発見する。古代文明の遺物らしいそのゴーレムは、俺のスキルで修理すると「マスター」と喋りだした。 俺はタマと名付けたゴーレムと一緒に、街で小さな修理屋を開業する。壊れた農具から始まり、動かなくなった魔道具まで、スキルを駆使して直していく日々。ただのんびり暮らしたいだけなのに、俺の仕事が完璧すぎるせいで、いつの間にか「どんなものでも蘇らせる伝説の職人」だと噂が広まってしまい……。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

魔法物語 - 倒したモンスターの魔法を習得する加護がチートすぎる件について -

花京院 光
ファンタジー
全ての生命が生まれながらにして持つ魔力。 魔力によって作られる魔法は、日常生活を潤し、モンスターの魔の手から地域を守る。 十五歳の誕生日を迎え、魔術師になる夢を叶えるために、俺は魔法都市を目指して旅に出た。 俺は旅の途中で、「討伐したモンスターの魔法を習得する」という反則的な加護を手に入れた……。 モンスターが巣食う剣と魔法の世界で、チート級の能力に慢心しない主人公が、努力を重ねて魔術師を目指す物語です。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました

御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。 でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ! これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...