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五章 ローレル迷宮編
竜殺しの置き土産
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短くて、ぎりぎりですみません。
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「それってあの娘達の事ですか……」
頭を抱える。
六夜さんから告げられた問題、それには僕がおおいに関わっていた。
つい最近の事だ。
ショウゲツさん達とまともに話をした最初の時、帝国の密偵らしい暗殺者に襲われた。
それは奇遇な事に僕と面識のある三人の娘さんだった。
しばらく前にグリトニアを訪れた時に智樹から巴の代わりにと差し出された女の子達。
その頃から全員が彼の魅了の力にどっぷりで、あいつの命令なら自分が物みたく扱われる事にも何の抵抗もない感じだった。
レベルもそれなりに高いと智樹から聞いていた。
タイプが暗殺者だったのはこの前初めて知ったにせよ、まああの時に三人の目を見てすぐにわかったんだよな。
……手遅れだって。
だから排除した。
あの場には僕以外にも何人かいたし、ごく初期にその人達を襲った時の動きならともかく、僕に向かってきた時の鋭さを見る限りショウゲツさん達にとって彼女達はは脅威になり得た。
速やかに殺したのは正解だったと今でも思う。
思うけど。
まさかあの娘さんのどれかが下にいる人達と関係が深い人の親友だったとは。
参った。そして困った。
つまりこれから交渉に向かう傭兵団とは第一印象最悪の状態って訳か。
「だろうな。頭を潰したとか?」
「……でしたかね。確か首を折ったのと……いましたね頭潰したのも。後は、派手に胸に穴を開けて殺したんだっけ」
あまり覚えてないけど、多分そんな感じだったと思う。
魔力体で拘束したのをぽんぽんと二人、それからブリッドで終わり。
うん、そうだ。
呼び起こした記憶を頼りに、六夜さんからの質問に答える。
そういえば、色々慣れたおかげで食事中でも普通にこういう話題に応じられるようになったな。
「無影クラスの高レベル帯からいきなり襲撃されたとなればライドウ君の対応に責は無いと私は思うんだがね。そこは当事者だ、中々飲み込めぬようだよ。ふむ、これだけ美味い食事は久々だ。これはどこで?」
六夜さんが僕の行動をフォローしてくれる。
この件、冒険者目線なら彼でなくても僕の方に理解は示してくれるだろうと僕も思う。
ただ殺られたのが自分の親友なら。
それが智樹の魅了を解除する為に何とか苦労して仲間と引き剥がしこの下に引っ張り込んで治療にあたっていた最中、一瞬の油断で逃亡された直後の出来事だったなら。
納得できないって気持ちも、わからないではない。
「そういってもらえると。ああ今日の弁当は宿の厨房を借りてうちのが用意したものですよ、六夜さん」
「クズノハの手製だったか。……」
六夜さんが不意に黙って僕以外の面々を見渡す。
「して、どなたが?」
にこやかに聞いてくる。
どうやら気に入ってくれたみたいだ。
醤油や出汁を扱った和食の味付けを取り入れた献立だけに亜空以外で食べ慣れているという人はいない。
だから少し不安はあったけど、杞憂だったか。
ローレルは賢人の存在ゆえに日本風の要素が他の国よりも遥かに濃いのに、料理については何故か中華に寄ってる。
醤油に似た味付けの調味料は存在しているけど、そのものかといわれると少し違っている気がするんだよな。
その辺りは亜空のが再現率は高い。
身内びいきではなく、そう思う。
「主に澪ですね。シイもよく手伝ってくれたようです」
「ほう、澪殿。少し失礼」
僕の左隣にいた六夜さんが反対側、僕の右隣に座っている澪の横に移動してその肩口辺りに顔を持っていくと、いきなり匂いを嗅いだ。
彼の鼻がひくつくのがわかる。
「実に良い匂い。懐かしくもある」
堪能したのか彼は僕の横に戻ってくる。
「……その鼻どちらにねじ切って欲しいですか?」
対する澪は無表情からの氷点下の笑みでいそいそと立ち上がろうとする。
慌てて彼女の肩に手を置いて、その動作を止めた。
少し力を込め、座ってもらう。
話題ならともかく、食事中のバイオレンスは困る。
「六夜さん、いきなり何を?」
彼の意図を尋ねる。
料理の美味い嫁さんが今急に欲しくなったって訳でもないだろうに。
「いや見事な出汁だったので、ついね。思った通り優れた料理人のようだ。良い料理人特有の、数多の食材と調味料が醸し出す香気を纏っておられる。……実に素晴らしい」
「香気ですか」
澪からそんな匂いしたっけか。
残念ながら僕はあんま感じた事ないな。
ただ香気とまで言われると気になる。
良い匂いなんだろうな。
うーん。
「あら……。失礼な輩なのはともかく、物は分かるようですね。料理の腕を確かめる為の行いというのであれば、一度は大目に見て差し上げます」
一瞬で澪が鎮火した。
外の人から料理を褒められるってのは、澪にはまだ機会が少なかったからか。
実際かなりの腕になっているだけに披露する機会に恵まれさえすれば、こうやって面と向かって評価される事も今後増えていくだろうね。
にしても、嬉しそうだ。
ちょっと油断すると表情が緩みそうになる。
そんな感じである。
「いやこちらこそ不躾だった。許してもらえて一安心だ。……やや濃いめ、昆布よりはカツオ節の方がライドウ君の好みか。彼女の様な人が好みを意識して料理を作ってくれる。君は本当に幸せだな」
六夜さんが、時折彼が浮かべる物凄く優しい目で僕を見て真顔でそう言った。
実際面と向かって言われると照れる。
その通りの事でもね。
「ええ。本当にいつも感謝してます」
そういや六夜さんもアサシンとか名乗ってたな。
昨夜は刃物で物騒な挨拶もされた。
なのに何というかこの人は和むんだよな。
職業を超えた人柄的なものがあるんだろうか。
「私たちの仲間には本職レベルで料理をこなせる者がいなくてね。個性的という意味ではみなオンリーワンな料理を作りはするんだが、基本というものは本当に大事だからねえ……」
「……」
あまり触れない方が良い話題だろうな。
料理の場合、個性は基本の後に来る。
そうでないととんでもない事になる。
識の鍋とかが時にそれだ。
鍋美味しい、甘いの美味しい、クリーム美味しい。
だからといって一つにしたらトリニティに最高とはならない。
絶対にならない。
あれは断じて最高じゃない。
「と、私の事は今は置いておこう。ともあれだ。残念ながら二十層でライドウ君に親友を殺された娘、ピオーネというんだが、彼女が君への復讐を目論んでいる。そしてあそこには今私達と、この迷宮のデザイナー、それに伴ってマリコサン、更にピクニックローズガーデンの面々が一堂に介している」
「……なるほど」
六夜さんクラスの冒険者が何人かと、ダンジョンのデザイナー、マリコサン……はひとまず置いといて後は僕らの目的からすると絶対に殺す訳にいかない一流の傭兵団、か。
……でも戦いは避けられない算段が高いと。
あー、色々と難易度が高すぎないか?
ピオーネさん、なんでそんな重要な所に食い込んでるんだよまったく。
「……ピオーネという娘はここがドマを失ってここに色々とあった時に実に尽力してくれた。良い娘だ。つくづく、ライドウ君は数奇な運命の下に生きているのだな」
ドマを失って色々だって?
って事はだよ。
あいつだ。
ソフィアだ。
ぐぬぬぬぬぬ、本当に余計な事ばっかりしてくれる。
「ソフィアの奴」
「どこかルトの気配を感じさせる若い女だったが。面識が?」
「二度喧嘩を売られました。もう……二度とそうなる事はありませんけどね」
「そうか。ドマを喰らったあの力、既にあの時数匹の上位竜の力を取り込んでいるようだったが……ライドウ君が下していたか」
「この間の件と同じで、向こうから降りかかってくるんで仕方なくですけど」
「思えば哀れな女でもある。既に死を迎えたのならせめて冥福は祈ろうか」
「優しいですね、六夜さんは」
ドマを殺されてなのか喰われてなのか。
どっちにしてもここも凄く大変だったみたいなのに。
それでもソフィアを哀れといい、その死を悼もうとするのか。
「待て」
「ん、どうされた? 確か、巴殿か」
「ルトの名を当然の様に知っておるのは、何故か。伺ってもよろしいか?」
「ふむ。別に隠すような事でもない。構わんよ。ルト、彼女とは知己の仲だ」
「彼女?」
思わず口を挟んでしまった。
ルトは今は基本男だ。
君が服を脱いでくれるならいつでも女になってあげるとは言われている。
ちなみに生涯そのつもりはない。
ただ……上位竜の感覚で「しばらく」の間ルトは男でいる。
つまり。
「万色のルトとは随分と古い付き合いがあるようじゃな。すると始まりの冒険者にまつわる伝承というのはどこまでが本当の事となるのか。聞かせてもらいとうなった」
「……ショウゲツの坊やから聞いている類の事は、まあ事実だよ。ふふ、どうしてかな。二十層に到達した君たちと我々は恐らく刃を交える。それは恐ろしく君たちに不利な戦いで、我々の付き合いなどさほどに長いものにはなりようがない。そう私も考えてはいるんだが……心のどこかで私は今こう確信している。ライドウ君とはこれからも付き合いが続いていく、とね。不思議なものだ」
「僕らも負ける気はありませんよ。どんな条件であれ、交渉にまで持っていくつもりです」
「その無謀すら、楽しみにしている自分がいる事に驚くよ。なればこそ、私も応えよう。もちろん今の巴殿の問いにもな」
そして六夜さんは食後のお茶を啜る。
始まりの冒険者のおとぎ話。
その根本。
彼らが実際に何をしたのか。
目の前の六夜さんは実際何者なのか。
食後のティータイムにしてはえらく豪勢な話題の提供だ。
僕は素直に六夜さんの話に耳を傾ける事にした。
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ご意見ご感想お待ちしています。
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「それってあの娘達の事ですか……」
頭を抱える。
六夜さんから告げられた問題、それには僕がおおいに関わっていた。
つい最近の事だ。
ショウゲツさん達とまともに話をした最初の時、帝国の密偵らしい暗殺者に襲われた。
それは奇遇な事に僕と面識のある三人の娘さんだった。
しばらく前にグリトニアを訪れた時に智樹から巴の代わりにと差し出された女の子達。
その頃から全員が彼の魅了の力にどっぷりで、あいつの命令なら自分が物みたく扱われる事にも何の抵抗もない感じだった。
レベルもそれなりに高いと智樹から聞いていた。
タイプが暗殺者だったのはこの前初めて知ったにせよ、まああの時に三人の目を見てすぐにわかったんだよな。
……手遅れだって。
だから排除した。
あの場には僕以外にも何人かいたし、ごく初期にその人達を襲った時の動きならともかく、僕に向かってきた時の鋭さを見る限りショウゲツさん達にとって彼女達はは脅威になり得た。
速やかに殺したのは正解だったと今でも思う。
思うけど。
まさかあの娘さんのどれかが下にいる人達と関係が深い人の親友だったとは。
参った。そして困った。
つまりこれから交渉に向かう傭兵団とは第一印象最悪の状態って訳か。
「だろうな。頭を潰したとか?」
「……でしたかね。確か首を折ったのと……いましたね頭潰したのも。後は、派手に胸に穴を開けて殺したんだっけ」
あまり覚えてないけど、多分そんな感じだったと思う。
魔力体で拘束したのをぽんぽんと二人、それからブリッドで終わり。
うん、そうだ。
呼び起こした記憶を頼りに、六夜さんからの質問に答える。
そういえば、色々慣れたおかげで食事中でも普通にこういう話題に応じられるようになったな。
「無影クラスの高レベル帯からいきなり襲撃されたとなればライドウ君の対応に責は無いと私は思うんだがね。そこは当事者だ、中々飲み込めぬようだよ。ふむ、これだけ美味い食事は久々だ。これはどこで?」
六夜さんが僕の行動をフォローしてくれる。
この件、冒険者目線なら彼でなくても僕の方に理解は示してくれるだろうと僕も思う。
ただ殺られたのが自分の親友なら。
それが智樹の魅了を解除する為に何とか苦労して仲間と引き剥がしこの下に引っ張り込んで治療にあたっていた最中、一瞬の油断で逃亡された直後の出来事だったなら。
納得できないって気持ちも、わからないではない。
「そういってもらえると。ああ今日の弁当は宿の厨房を借りてうちのが用意したものですよ、六夜さん」
「クズノハの手製だったか。……」
六夜さんが不意に黙って僕以外の面々を見渡す。
「して、どなたが?」
にこやかに聞いてくる。
どうやら気に入ってくれたみたいだ。
醤油や出汁を扱った和食の味付けを取り入れた献立だけに亜空以外で食べ慣れているという人はいない。
だから少し不安はあったけど、杞憂だったか。
ローレルは賢人の存在ゆえに日本風の要素が他の国よりも遥かに濃いのに、料理については何故か中華に寄ってる。
醤油に似た味付けの調味料は存在しているけど、そのものかといわれると少し違っている気がするんだよな。
その辺りは亜空のが再現率は高い。
身内びいきではなく、そう思う。
「主に澪ですね。シイもよく手伝ってくれたようです」
「ほう、澪殿。少し失礼」
僕の左隣にいた六夜さんが反対側、僕の右隣に座っている澪の横に移動してその肩口辺りに顔を持っていくと、いきなり匂いを嗅いだ。
彼の鼻がひくつくのがわかる。
「実に良い匂い。懐かしくもある」
堪能したのか彼は僕の横に戻ってくる。
「……その鼻どちらにねじ切って欲しいですか?」
対する澪は無表情からの氷点下の笑みでいそいそと立ち上がろうとする。
慌てて彼女の肩に手を置いて、その動作を止めた。
少し力を込め、座ってもらう。
話題ならともかく、食事中のバイオレンスは困る。
「六夜さん、いきなり何を?」
彼の意図を尋ねる。
料理の美味い嫁さんが今急に欲しくなったって訳でもないだろうに。
「いや見事な出汁だったので、ついね。思った通り優れた料理人のようだ。良い料理人特有の、数多の食材と調味料が醸し出す香気を纏っておられる。……実に素晴らしい」
「香気ですか」
澪からそんな匂いしたっけか。
残念ながら僕はあんま感じた事ないな。
ただ香気とまで言われると気になる。
良い匂いなんだろうな。
うーん。
「あら……。失礼な輩なのはともかく、物は分かるようですね。料理の腕を確かめる為の行いというのであれば、一度は大目に見て差し上げます」
一瞬で澪が鎮火した。
外の人から料理を褒められるってのは、澪にはまだ機会が少なかったからか。
実際かなりの腕になっているだけに披露する機会に恵まれさえすれば、こうやって面と向かって評価される事も今後増えていくだろうね。
にしても、嬉しそうだ。
ちょっと油断すると表情が緩みそうになる。
そんな感じである。
「いやこちらこそ不躾だった。許してもらえて一安心だ。……やや濃いめ、昆布よりはカツオ節の方がライドウ君の好みか。彼女の様な人が好みを意識して料理を作ってくれる。君は本当に幸せだな」
六夜さんが、時折彼が浮かべる物凄く優しい目で僕を見て真顔でそう言った。
実際面と向かって言われると照れる。
その通りの事でもね。
「ええ。本当にいつも感謝してます」
そういや六夜さんもアサシンとか名乗ってたな。
昨夜は刃物で物騒な挨拶もされた。
なのに何というかこの人は和むんだよな。
職業を超えた人柄的なものがあるんだろうか。
「私たちの仲間には本職レベルで料理をこなせる者がいなくてね。個性的という意味ではみなオンリーワンな料理を作りはするんだが、基本というものは本当に大事だからねえ……」
「……」
あまり触れない方が良い話題だろうな。
料理の場合、個性は基本の後に来る。
そうでないととんでもない事になる。
識の鍋とかが時にそれだ。
鍋美味しい、甘いの美味しい、クリーム美味しい。
だからといって一つにしたらトリニティに最高とはならない。
絶対にならない。
あれは断じて最高じゃない。
「と、私の事は今は置いておこう。ともあれだ。残念ながら二十層でライドウ君に親友を殺された娘、ピオーネというんだが、彼女が君への復讐を目論んでいる。そしてあそこには今私達と、この迷宮のデザイナー、それに伴ってマリコサン、更にピクニックローズガーデンの面々が一堂に介している」
「……なるほど」
六夜さんクラスの冒険者が何人かと、ダンジョンのデザイナー、マリコサン……はひとまず置いといて後は僕らの目的からすると絶対に殺す訳にいかない一流の傭兵団、か。
……でも戦いは避けられない算段が高いと。
あー、色々と難易度が高すぎないか?
ピオーネさん、なんでそんな重要な所に食い込んでるんだよまったく。
「……ピオーネという娘はここがドマを失ってここに色々とあった時に実に尽力してくれた。良い娘だ。つくづく、ライドウ君は数奇な運命の下に生きているのだな」
ドマを失って色々だって?
って事はだよ。
あいつだ。
ソフィアだ。
ぐぬぬぬぬぬ、本当に余計な事ばっかりしてくれる。
「ソフィアの奴」
「どこかルトの気配を感じさせる若い女だったが。面識が?」
「二度喧嘩を売られました。もう……二度とそうなる事はありませんけどね」
「そうか。ドマを喰らったあの力、既にあの時数匹の上位竜の力を取り込んでいるようだったが……ライドウ君が下していたか」
「この間の件と同じで、向こうから降りかかってくるんで仕方なくですけど」
「思えば哀れな女でもある。既に死を迎えたのならせめて冥福は祈ろうか」
「優しいですね、六夜さんは」
ドマを殺されてなのか喰われてなのか。
どっちにしてもここも凄く大変だったみたいなのに。
それでもソフィアを哀れといい、その死を悼もうとするのか。
「待て」
「ん、どうされた? 確か、巴殿か」
「ルトの名を当然の様に知っておるのは、何故か。伺ってもよろしいか?」
「ふむ。別に隠すような事でもない。構わんよ。ルト、彼女とは知己の仲だ」
「彼女?」
思わず口を挟んでしまった。
ルトは今は基本男だ。
君が服を脱いでくれるならいつでも女になってあげるとは言われている。
ちなみに生涯そのつもりはない。
ただ……上位竜の感覚で「しばらく」の間ルトは男でいる。
つまり。
「万色のルトとは随分と古い付き合いがあるようじゃな。すると始まりの冒険者にまつわる伝承というのはどこまでが本当の事となるのか。聞かせてもらいとうなった」
「……ショウゲツの坊やから聞いている類の事は、まあ事実だよ。ふふ、どうしてかな。二十層に到達した君たちと我々は恐らく刃を交える。それは恐ろしく君たちに不利な戦いで、我々の付き合いなどさほどに長いものにはなりようがない。そう私も考えてはいるんだが……心のどこかで私は今こう確信している。ライドウ君とはこれからも付き合いが続いていく、とね。不思議なものだ」
「僕らも負ける気はありませんよ。どんな条件であれ、交渉にまで持っていくつもりです」
「その無謀すら、楽しみにしている自分がいる事に驚くよ。なればこそ、私も応えよう。もちろん今の巴殿の問いにもな」
そして六夜さんは食後のお茶を啜る。
始まりの冒険者のおとぎ話。
その根本。
彼らが実際に何をしたのか。
目の前の六夜さんは実際何者なのか。
食後のティータイムにしてはえらく豪勢な話題の提供だ。
僕は素直に六夜さんの話に耳を傾ける事にした。
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