関白の息子!

アイム

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時代を越える

軍事研究(エロ度☆☆☆☆☆)

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 如水の隠居を認めた次の日。
 俺は如水が安心できる組織造りを考える事にした。

 先ずは助言の通りに各分野において頼るべき相手と相談することからだ。

「蛍、三成を呼んできてれ」





「三成、少し鉄砲のことについて相談がある」
「!? は、はい。何でございましょう」

 俺が三成に相談を持ち掛けるのは非常に珍しい。
 何時も決定事項を伝えるか、仕事を押し付けるかしかしてこなかったからだ。
   だから三成も目に見えて動揺している。

「俺なりに鉄砲の改良案を考えたんだ。鍛冶職人を含めて有効性を確認したい。優秀な職人を集めてみてくれないか?」
「は、ははっ! しかし、一体どんなことでございましょう?」
「うん。銃を2連装にする事と、先端に短剣を着け、槍を廃止する工夫だ」
「しかしそれでは一つ当りの値段と重量が増します」
「もちろんだ。でも、朝鮮も明も前回の戦では銃をあまり用いなかったそうだが、こちらの物がそれなりの量鹵獲されているのも確かだ。こちらが優位になるための方策を練る必要があるだろう? それにその分槍などの長物を運ばなくて済む」

 そう言えば三成もこめかみに深い皺を作り考え込む。

「連射性が高まれば人員を減らせる。結果、食糧も減らせるので効率がいいということですね?」
「そうだ。一応考えているのはこの絵の通りになる」
「拝見させていただきます」

 昨日の夜に俺が書いた非常に簡単な設計図を見せる。
 火縄銃の設計図を参考に書いたのだが、理解できるだろうか?

「・・・・・・3日後までに優秀な鉄砲鍛冶と鉄砲の名手、それに鉄砲戦術を良く知る島津殿にもお越しいただき会議を開くことと致しましょう」
「うん。よろしく頼む」
「はっ、ははっ!」

 何時もより断然うきうきと言った感じで三成が出て行く。

「蛍、次は清正を」

 大阪に泊まっているうちに呼び寄せなくてはかなりの手間になる急がなければ。





「ヌルハチとの交渉はどうだ?」
「はっ! なかなか難航しております。やはり明の強大さを知っているからでしょう」

 確かに、明の国土や軍隊の規模を知っていれば腰が退けるのも仕方がない。

「ふむ。で、ヌルハチと言う奴はどんな人物だった?」
「使いの話では、ヌルハチは屈強な大男で、一見すれば野蛮そうに見えたそうです。ですが、その瞳は怜悧に輝き、暴の中に謀を隠し持つ人物だと評しておりました」
「で? 長政とはどう話している?」
「黒田殿との相談ではヌルハチの過去を調べることとなり、明に十分な怨恨を抱いていることを確認しました。ヌルハチは祖父と父を明に殺されており、その時の恨みを忘れてはおりません。また、前回我々が明軍を撤退せしめた事を知っており、その際に使った鉄砲を欲しがっていました。これを使い交渉は出来ぬものかと」
「ふん。清正、鉄砲を100丁ほどくれてやれ。それと女物の上等の着物を同数だ」
「着物でございますか?」
「ああ。そして伝えろ。『どちらか好きな方を取れ。鉄砲を取り父祖の仇を討ち、民族の誇りを取り戻すか、それとも女の衣を纏い、明にケツを振るか』」
「ははっ! かしこまりましてございます!」

 女真族はとりあえずこれで良い。
 随分な挑発ではあるが、そんなものに乗ってしまう安直な奴なら同盟の価値など無い。

 次は(九鬼)嘉隆だ。
(家自体は息子の守隆に譲っているが、朝鮮との戦のために海軍指導のために残ってもらっている)




「鉄甲船を造ろうと思うんだがどう思う?」
「・・・・・・朝鮮との戦にでございますか?」
「そうだ。あれなら敵の亀甲船に遅れなど取らないだろう?」
「・・・・・・仰る通りかと」

 しかし、嘉隆は随分と渋い顔で答える。

「なんだ? 随分気乗りしなそうだな」
「恐れながら申し上げます。鉄甲船は作成に時間も金もかかります。そしてあれは防御力を高めた鈍足な船に過ぎません。更に言えば、一度海に浮かべてしまえば数年も持たずに錆び付き、沈んでしまいます。そのくらいでしたら毛利家、いえ、村上水軍の用いた炮烙火矢や棒火矢を研究し、近づかれる前に沈めてしまう方法を考えてしまった方が良いかと。海戦ばかりではなく攻城兵器にも使える可能性がございますゆえ。それに大砲の搭載も効果的でございます。所詮木造の船など一撃で粉砕できます。高価ではございますが・・・・・・」

 まさか鉄甲船を造った本人に否定されるとは思わなかった。
 しかし、炮烙火矢や棒火矢は聞いたことも無かった。
 大砲があるのは知っていたけど・・・・・・

「嘉隆。その炮烙火矢や棒火矢と言うのはなんだ?」
「はっ! まず炮烙火矢とは炮烙(丸い壺の様な料理器具)に火薬を詰め、導火線に火を付け投げこむ兵器にございます。敵船で爆発し、深刻な被害を出すことが出来ます」

 ・・・・・・それって手りゅう弾のこと?
 戦国時代に在ったの!?

「次に棒火矢でございますが、明の火箭と言うものを参考に先端に羽の付いた火薬の入った筒を取り付けた矢に導火線をつけ、大筒で飛ばす兵器にございます。大変遠くまで飛びますが、いかんせん爆発するまでの時間の調整が難しく・・・・・・」

 こっちに至ってはミサイルじゃないか!?
 これは大きく考え直す必要があるかもしれない。

「嘉隆。直ぐにその兵器の研究者や使用者、現物を用意し、俺にも見せてくれ」
「ははっ!」

 ・・・・・・もしかしたら如水はこういった兵器のこともその将来性も十分に知っていたのかもしれない。
 でも、如水本人は既に新しい兵器に躍起になる歳ではないと考え、これからを担う者達との相談を勧めたのだ。

 如水としか話さないのでは、いくら如水が優秀でも一人分の知識しか入って来ない。
 もっと視野を広くしなければ明との戦まではどうにかなっても、その先には至れない。

「・・・・・・やはり如水の引退は重い」

 一人愚痴り、桜の太腿でふて寝した。

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