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04-フェラで落とすのもいいでしょう。

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 できるか、じゃなくて、やらなきゃな。親友を失わないためにも、俺のセックスライフのためにも。
 そこまで考えて、俺はなんて自分勝手なんだろうと頭の隅で考える。それから、改めて心で誓った。

 大切にするよ、大悟のこと。これまで以上に。親友として、セフレとして。この時間を後悔ばかりの色に染めないよう最大限の努力をするから。俺のわがままを許してくれ。

 大悟の膝に手をかけて、脚のあいだに身を乗り出す。太腿の筋肉をそっと撫でながら残りの距離を詰めていった。
 そのあいだも大悟のペニスから目が離せない。喉が渇いて貼りつくようなのに、舌の裏からじわりと唾液が湧いてくる。それを飲みくだして粘つく喉を潤した。ついでに、乾いてしまった唇にも舌を伸ばし潤しておく。

 でも、ああ、失敗した。ひらめく舌を受けとめた唇の感覚が、するりと膚を辿った舌先の感触が、キスしたときの体感を呼び覚まして途端に口が寂しくなった。

 大悟はどんなキスをするんだろう?
 これまで寝てきた男たちの多くは下半身に意識が集中するばかりで、キスはほとんどおざなりだった。
 でも、俺を仕込んだ茂兄は、さすが自称セックスマスターだけあってキスも丁寧に教えてくれた。そのせいもあって、俺はけっこうな度合いでキスが好きだったりするんだ。

 ……キスしたい。キスしたい。大悟と、思いきりキスしたい。頭のなかが、キスのことでいっぱいになる。
 でも、いまだに大悟の顔も見れないのに、キスだなんて、遠すぎるよ。


 俺は仕方なく大悟のペニスに顔を寄せて、寂しい唇を慰めた。
 裏の筋にキスをする。その細かな凹凸に吸いついて、唇で食む。
 むぅ、物足りない。

 舌を伸ばして、カリ首を舌先でぐるりとなぞる。ペニスの胴を下のほうから大きく舐めあげる。
 やっぱり物足りない。
 焦れったい気持ちをひとり抱えながら大悟の脚を押し開いて、顔を深くおろしていった。

 もっと舐めたい。舌で、口で、大悟を感じたい。
 ソファーの座面が邪魔だったけど、舌を目一杯伸ばしたら大悟の睾丸に舌先が届いた。
 あ、コレ、いいかも。
 柔らかい袋を舌にのせ、さらに顎をあげる。舌の上を転がる睾丸の冷たさと重さが舌に心地よかった。

 ここは男の急所だから、もちろん乱暴にはしない。でも、急所だからこそ、無防備に預けてもらえるのが嬉しかった。
 一方の睾丸をそっと口のなかに仕舞って、はむはむと袋の根元を甘噛みしてみる。すると、相手の舌を口いっぱいに差し込まれて、ゆるゆると口内を舐められているような気になった。それだけで、焦れったい気分が少しだけ治まる。


 もう一方の睾丸もそうやって口のなかで楽しんでから、胴に舌を這わせたまま先端まで戻ってきた。
 コレ、入るのかな? 口にもだけど、アナルにも。

 舌を離して改めて見ると、大悟のペニスは十分な怒張を果たしたらしく血管が浮きあがっていた。手のひらに握ってみれば、確かな硬さと、かなりの太さがあるのがわかる。
 きっと口に咥えるのはキツイだろうな。
 少し尻込みしながらも握った手を上下に動かすと、大悟のペニスがピクリと反応を返した。

 え、硬くなった?
 完成体だと思っていたのに、まだ余地を残していたらしい。太さ自体はたいして変わってないようだけど、握った手のひらを押し返してくる弾力が、先ほどとは明らかに違う。
 この硬いのでなかを擦られたら……あぁ。
 想像しただけで、腰の奥が熱く疼きだした。


 コレだ。この疼きが厄介なんだ。
 マッサージしたわけでもないのにアナルが腫れぼったく充血して、ズキズキと脈動しはじめる。その奥の、さらに奥がふわりと痺れるように感じるのは、きっと錯覚だ。
 まるで熱く充溢したものを待ち侘びて、そこが震え、自ら開いていくようで……その隙間を埋めてほしくて堪らなくなる。

 これを我慢するのは、本当にせつない。どうしても我慢できなくなったら、グッズを使ってのアナニーで誤魔化す。それでもそのうち、そんなオモチャじゃどうしても誤魔化しきれない瞬間がやって来るんだ。

 無機物じゃない生身の『男』が欲しい。
 熱いぺニスを根元までみっしりと押しつけてくる重みが欲しい。
 縋りつくことの許された汗で滑る背中が欲しい。

 その瞬間を耐えて耐えて、泣きたいくらいせつなくなったら、あの店に……。そうして俺は、高二の秋からの一年半ものあいだ、我慢できなくなっては数ヵ月ごとに男漁りを繰り返してきたんだ。


 そしていま、俺の身体はまさにその我慢できない状態にあった。腰の奥から競りあがる甘い期待に息もままならない。どきどきと駆け足の心臓が煩わしい。
 ああ、早く。

 ふたたび大悟のペニスに唇を寄せて、その裏筋に舌をあてがった。男なら誰でも弱いソコを、舌を押しつけるようにして舐めあげる。
 もっともっと、その気になってくれ。
 大悟のペニスに手を添えながら押し当てた舌はそのままに、俺は大きく口を開いていった。
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