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秀頼ルート 黒幕捜査3
徳本の診断ー前編ー(エロ度☆☆☆☆☆)
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政治班に浪人たちを効率良く召し出し、活用するように指示を出す。
すると、各国の大名からも浪人による騒動の陳述が非常に多く、それにも対応できると喜んでいた。
戦争を公共事業として与えているようで少し気が咎めるが、帰農しようとしない浪人達は実際治安を悪化させる原因でもある。
これを排除すれば治安は改善し、民の満足度も上がる事だろう。
やはり一石投じるだけで大きな効果を期待できる。
もっとも、それで問題が無いわけでもないが・・・・・・。
「ただの無法者を送ったのでは、一時は良くてもその後がない。反乱を招き、結果支配が揺らぎ次につながることが無い。良く検討するように」
三成にそう伝え、後は任せる。
本当であれば俺が直接指示をしたいのだが、今日は大事な客がいるのだ。
そう、この時代において医聖と謳われる永田徳本、その人だ。
その男は98と聞いていただけあり、大阪城に入るのに自分の足では歩いては来なかった。
・・・・・・牛に乗って来たのだ。
「まさか、牛に乗って大阪城に現れる者がいるとは思わなかった」
だが、ノソリノソリと進む牛は、確かにその背に乗る皺枯れた爺を天下一の巨城に運ぶ。
城門まで俺が迎えに来るのはあらゆる客の中で初めての行為。
天皇陛下だって迎えには来なかったのだ。
「・・・・・・おまけにみすぼらしい」
98まで多くの患者を診て来ただろうに、碌な診療を受け取って来なかったからだろうか、着ている服は節々が擦り切れている。
ヨボヨボでもしもこんな爺さんが患者を診ようとしたら、誤診を恐れてチェンジをお願いするだろう。
俺が迎えに来たので、周りの皆もどんな人物が現れるのかと期待していたのに、がっかりと言う感じだ。
そんな爺さんが近づいてきて、この俺にこう言うのだ。
「もし、門番のお方。此処に儂の弟子がおるそうでな。会いたいのじゃが」
「・・・・・・俺は門番じゃない」
不敬に当たるとして処罰することも出来るだろうが、正直デコピン一発で死んじまいそうな爺さん。
周りも流石に「無礼者!」と手討ちにしようと言う気はないらしい。
まぁ、俺が絶対に不敬の無いようにと念を押していたのも効いたのだろう。
「ほ? じゃぁ、門番さんを呼んで貰えぬかのう?」
「使いっぱでもない」
怒り心頭、と言うわけでもなく、少し俺もこの問答を愉しみだしていた。
滅多に城を出ないこともあり、俺にこんな口を利く者は珍しいのだ。
ついでに、俺の正体を知った時の変化も楽しみでもある。
「はて? 若いように見えるがのう」
確かに、下女や下男を除けば、この城にいる者の中でも俺は最も若い部類。
もちろん白寿などもいるが・・・・・・。
あれ? 今俺ってすっごい豪華な着物着ているのに、下男と間違われたってこと?
「ほっほ、思ったよりも懐は深いと見える」
「おい、爺さん」
いまだ牛から降りてこない徳本を見て笑ってしまう。
その表情は悪戯がバレたお梅のようだ。
つまり、本質的に子供と変わらない。
「最初っから俺が誰かを分かっていてやってんのか?」
「知らん知らん。じゃが、随分と頭痛の種を抱えておるようじゃ。儂が診てやろうか? 一回16文(現在の価値で約200円)じゃ」
「いらん」
「ほ? 金が無いのか? 金が無いのなら飯でもよいぞ?」
果たして、この世に俺以上に金を持っている者がどれだけいるだろうか。
世界を見渡せば、恐らく一人二人は要るだろう。
だが、日の本であれば相手になる者はいない。
権力だけでなく、単純な資金でも当然圧倒的にあるのだ。
「金はいくらでもある」
「ほっほ、16文で良い。それ以上の金があるなら、おっかさんに美味いもんを食わせてやれい」
言っておくが、母上は恐らく常に日本で一番美味いものを喰っている。
高額の砂糖菓子を毎日喰える者など、俺の家族くらいのものだろう。
「親は何時までも生きていると思うでない。しっかりと尽くすのじゃぞ?」
「・・・・・・徳本、診てもらいたい者がいる」
ところが、俺の言葉など聞こえない様に、徳本は城を見つめる。
「此処には、3年と生きられない者がおるのう。主の母かと思うたが、もっと若いようじゃ」
「・・・・・・なんだと?」
患者を診てすらいないのに・・・・・・。
いや、それが桜のことかどうかは分からない。
大体――
「患者の元に案内せい、坊主」
思わず吹き出して笑ってしまった。
すると、各国の大名からも浪人による騒動の陳述が非常に多く、それにも対応できると喜んでいた。
戦争を公共事業として与えているようで少し気が咎めるが、帰農しようとしない浪人達は実際治安を悪化させる原因でもある。
これを排除すれば治安は改善し、民の満足度も上がる事だろう。
やはり一石投じるだけで大きな効果を期待できる。
もっとも、それで問題が無いわけでもないが・・・・・・。
「ただの無法者を送ったのでは、一時は良くてもその後がない。反乱を招き、結果支配が揺らぎ次につながることが無い。良く検討するように」
三成にそう伝え、後は任せる。
本当であれば俺が直接指示をしたいのだが、今日は大事な客がいるのだ。
そう、この時代において医聖と謳われる永田徳本、その人だ。
その男は98と聞いていただけあり、大阪城に入るのに自分の足では歩いては来なかった。
・・・・・・牛に乗って来たのだ。
「まさか、牛に乗って大阪城に現れる者がいるとは思わなかった」
だが、ノソリノソリと進む牛は、確かにその背に乗る皺枯れた爺を天下一の巨城に運ぶ。
城門まで俺が迎えに来るのはあらゆる客の中で初めての行為。
天皇陛下だって迎えには来なかったのだ。
「・・・・・・おまけにみすぼらしい」
98まで多くの患者を診て来ただろうに、碌な診療を受け取って来なかったからだろうか、着ている服は節々が擦り切れている。
ヨボヨボでもしもこんな爺さんが患者を診ようとしたら、誤診を恐れてチェンジをお願いするだろう。
俺が迎えに来たので、周りの皆もどんな人物が現れるのかと期待していたのに、がっかりと言う感じだ。
そんな爺さんが近づいてきて、この俺にこう言うのだ。
「もし、門番のお方。此処に儂の弟子がおるそうでな。会いたいのじゃが」
「・・・・・・俺は門番じゃない」
不敬に当たるとして処罰することも出来るだろうが、正直デコピン一発で死んじまいそうな爺さん。
周りも流石に「無礼者!」と手討ちにしようと言う気はないらしい。
まぁ、俺が絶対に不敬の無いようにと念を押していたのも効いたのだろう。
「ほ? じゃぁ、門番さんを呼んで貰えぬかのう?」
「使いっぱでもない」
怒り心頭、と言うわけでもなく、少し俺もこの問答を愉しみだしていた。
滅多に城を出ないこともあり、俺にこんな口を利く者は珍しいのだ。
ついでに、俺の正体を知った時の変化も楽しみでもある。
「はて? 若いように見えるがのう」
確かに、下女や下男を除けば、この城にいる者の中でも俺は最も若い部類。
もちろん白寿などもいるが・・・・・・。
あれ? 今俺ってすっごい豪華な着物着ているのに、下男と間違われたってこと?
「ほっほ、思ったよりも懐は深いと見える」
「おい、爺さん」
いまだ牛から降りてこない徳本を見て笑ってしまう。
その表情は悪戯がバレたお梅のようだ。
つまり、本質的に子供と変わらない。
「最初っから俺が誰かを分かっていてやってんのか?」
「知らん知らん。じゃが、随分と頭痛の種を抱えておるようじゃ。儂が診てやろうか? 一回16文(現在の価値で約200円)じゃ」
「いらん」
「ほ? 金が無いのか? 金が無いのなら飯でもよいぞ?」
果たして、この世に俺以上に金を持っている者がどれだけいるだろうか。
世界を見渡せば、恐らく一人二人は要るだろう。
だが、日の本であれば相手になる者はいない。
権力だけでなく、単純な資金でも当然圧倒的にあるのだ。
「金はいくらでもある」
「ほっほ、16文で良い。それ以上の金があるなら、おっかさんに美味いもんを食わせてやれい」
言っておくが、母上は恐らく常に日本で一番美味いものを喰っている。
高額の砂糖菓子を毎日喰える者など、俺の家族くらいのものだろう。
「親は何時までも生きていると思うでない。しっかりと尽くすのじゃぞ?」
「・・・・・・徳本、診てもらいたい者がいる」
ところが、俺の言葉など聞こえない様に、徳本は城を見つめる。
「此処には、3年と生きられない者がおるのう。主の母かと思うたが、もっと若いようじゃ」
「・・・・・・なんだと?」
患者を診てすらいないのに・・・・・・。
いや、それが桜のことかどうかは分からない。
大体――
「患者の元に案内せい、坊主」
思わず吹き出して笑ってしまった。
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