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学園編
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「か、身体が……」
「し、痺れますぅっ……」
「2人とも!!」
「うおぉおおおおっ!!」
「うわっ……」
ゴンゾウはゆっくりとレノを地面に下ろし、背中のハンマーを構えて走り出す。アルトもすぐに「ディバインスラッシュ」の放出をやめ、ハーフエルフの女性に向かう。レノもすぐに向かおうとしたが、魔力切れのせいで身体が動けない。反魔紋を発動させて、雷でも放とうか考えたが、その前にもアルトとゴンゾウは武器を振り上げる。
女は面倒そうに左腕をリノンたちに向けながら、右手の「魔方陣」を消し去り、今度は接近してくるゴンゾウに向けて、
「巨人族の坊やかい?威勢が良いのは悪くないけど、実力差を考えな!!」
女は再び、詠唱もなしに小規模の魔方陣を右手に作り出し、まるでフリスビーの要領でゴンゾウに放り投げる。
「うおおっ!?」
魔方陣が向かってくるなど考えもしなかったのか、ゴンゾウは咄嗟にハンマーで防ごうとしたが、
「馬鹿だね……ばーんっ!!」
ドガァァアアンッ!
「ぐあぁああああっ!?」
「「ゴンゾウ!?」」
「ゴンゾウさん!!」
魔方陣がハンマーに触れた瞬間、凄まじい爆発がゴンゾウを飲み込み、3人が彼の姿に悲鳴を上げる。その隙を逃さず、女は鎖を引き寄せてアルトとポチ子を引き寄せ、
「うわっ!?」
「きゃっ!?」
「あんたらの魔力、頂くよ」
「2人とも!!」
両手に2人を抱えると、彼女は腹部に手を添えた瞬間に、アルトたちの身体に魔方陣が浮かび上がる。すぐに2人の顔色が悪くなり、力なく身体を女に預けたと思うと、そのまま瞼を閉じて動かなくなる。
「貴様ぁっ!!」
「少し吸い過ぎたかね……ほら、返すよ!!」
女は激昂して向かってくるアルトに2人の身体を放り投げ、慌てて彼は受け止めようとした瞬間、
「前に気を付けな!!」
再び、無詠唱で両手に「魔方陣」を作り出し、フリスビーの要領で3人に向けて放たれる。
「なっ……」
アルトは2人の身体に阻まれ、反撃を出来ない。そして、魔方陣が一番近くのポチ子の身体に当たろうとした時、
「ぬんっ!!」
ビュンッ!!
何処からか掛け声と供にハンマーがポチ子と魔方陣の間に投げ放たれ、
ドオオンッ!!
「あうっ……!?」
「ポチ子!!」
間一髪、爆風で飛ばされた彼女をアルトが受け止め、女はハンマーが投げられた方向に視線をやると、そこには服は破れているが、対して怪我を負っていないゴンゾウが立っていた。流石に女も今度は本当に驚いたのか目を見開く。
「驚いたねぇ……まだ生きてたのかい」
「俺、身体、頑丈」
「頑丈という問題じゃないと思うけど……まあいい、時間切れだね。十分に魔力は吸い取ったし、帰らせてもらうよ」
女は地面に手をやると、レノの目には地面に走った光の線が徐々に消えていくのを確認し、学生寮の魔方陣が吸収されていることが分かった。地面の魔方陣が消えた瞬間、レノの身体が一気に楽になり、動けるようになる。アルトたちも異変を感じ取ったのか、驚いた顔を浮かべる。
「目的は達成したからね……あの女に気付かれる前に、私は帰らせてもらうよ」
「ふざけるなっ!!」
「このまま、帰さない!!」
アルトとゴンゾウが駈け出そうとした時、
「動けばその子を殺す!!」
「なっ……!?」
「っ!?」
まだ体が上手く動かず、地面に膝をついているレノに向けて掌を差し出し、2人は身体を硬直させる。レノはすぐに逃げ出そうとしたが、まだ体力も魔力も回復しきっておらず、どうしようもない。
(くそっ……?)
不意に自分の左腕を見て、紋様が浮かび上がっていることに気が付く。この腕は魔石が埋め込まれており、どうやら魔石の魔力は吸い込まれていないようだ。
(……一か八か……)
レノは視界に女の姿をとらえ、適当な呪文をわざとらしく唱える。
「何っ……!?」
「呪文?」
「危ない!!」
そしてすぐに「転送」を発動させ、ジェットコースターに乗り込んだように女に向かって高速移動する。転送中は他者からも姿は見えないため、3人の目にはレノが消えた様に思えるだろうが、彼は半径1メートルに存在する物も巻き込み、
「喰らえ!!」
「なっ!?」
自分の足元に存在した地面と共に、女の上空に身体を転送し、土と石と雑草が混じった土砂と共に落ちていく。女は咄嗟の事で反応しきれず、土砂をまともに顔面に直撃し、悲鳴を上げて両目を収めたところにレノの全体重を乗せた肘を頭部に放つ。
ズゥンッ!!
「うぐぁっ……!?」
「レノ!!」
すぐにゴンゾウが突進し、レノは即座に離れる。女は脳震盪でも起こしたのか、頭を抑えてふらふらと身体揺らしている。ゴンゾウはすぐにもレノの元に辿り着き、彼を抱えると、後方からアルトが長剣を抱えているのを確認し、
「2人とも!!離れろ!!」
「おうっ!!」
「うわっ……」
レノを抱きかかえ、ゴンゾウは走り出し、アルトは最大限に魔力を高めて呪文を唱え、
「――ディバインスラッシュ!!」
ズガァアアアアンッ!!
先ほどよりも強大な光の塊を放出し、女に向けて放つ。
「し、痺れますぅっ……」
「2人とも!!」
「うおぉおおおおっ!!」
「うわっ……」
ゴンゾウはゆっくりとレノを地面に下ろし、背中のハンマーを構えて走り出す。アルトもすぐに「ディバインスラッシュ」の放出をやめ、ハーフエルフの女性に向かう。レノもすぐに向かおうとしたが、魔力切れのせいで身体が動けない。反魔紋を発動させて、雷でも放とうか考えたが、その前にもアルトとゴンゾウは武器を振り上げる。
女は面倒そうに左腕をリノンたちに向けながら、右手の「魔方陣」を消し去り、今度は接近してくるゴンゾウに向けて、
「巨人族の坊やかい?威勢が良いのは悪くないけど、実力差を考えな!!」
女は再び、詠唱もなしに小規模の魔方陣を右手に作り出し、まるでフリスビーの要領でゴンゾウに放り投げる。
「うおおっ!?」
魔方陣が向かってくるなど考えもしなかったのか、ゴンゾウは咄嗟にハンマーで防ごうとしたが、
「馬鹿だね……ばーんっ!!」
ドガァァアアンッ!
「ぐあぁああああっ!?」
「「ゴンゾウ!?」」
「ゴンゾウさん!!」
魔方陣がハンマーに触れた瞬間、凄まじい爆発がゴンゾウを飲み込み、3人が彼の姿に悲鳴を上げる。その隙を逃さず、女は鎖を引き寄せてアルトとポチ子を引き寄せ、
「うわっ!?」
「きゃっ!?」
「あんたらの魔力、頂くよ」
「2人とも!!」
両手に2人を抱えると、彼女は腹部に手を添えた瞬間に、アルトたちの身体に魔方陣が浮かび上がる。すぐに2人の顔色が悪くなり、力なく身体を女に預けたと思うと、そのまま瞼を閉じて動かなくなる。
「貴様ぁっ!!」
「少し吸い過ぎたかね……ほら、返すよ!!」
女は激昂して向かってくるアルトに2人の身体を放り投げ、慌てて彼は受け止めようとした瞬間、
「前に気を付けな!!」
再び、無詠唱で両手に「魔方陣」を作り出し、フリスビーの要領で3人に向けて放たれる。
「なっ……」
アルトは2人の身体に阻まれ、反撃を出来ない。そして、魔方陣が一番近くのポチ子の身体に当たろうとした時、
「ぬんっ!!」
ビュンッ!!
何処からか掛け声と供にハンマーがポチ子と魔方陣の間に投げ放たれ、
ドオオンッ!!
「あうっ……!?」
「ポチ子!!」
間一髪、爆風で飛ばされた彼女をアルトが受け止め、女はハンマーが投げられた方向に視線をやると、そこには服は破れているが、対して怪我を負っていないゴンゾウが立っていた。流石に女も今度は本当に驚いたのか目を見開く。
「驚いたねぇ……まだ生きてたのかい」
「俺、身体、頑丈」
「頑丈という問題じゃないと思うけど……まあいい、時間切れだね。十分に魔力は吸い取ったし、帰らせてもらうよ」
女は地面に手をやると、レノの目には地面に走った光の線が徐々に消えていくのを確認し、学生寮の魔方陣が吸収されていることが分かった。地面の魔方陣が消えた瞬間、レノの身体が一気に楽になり、動けるようになる。アルトたちも異変を感じ取ったのか、驚いた顔を浮かべる。
「目的は達成したからね……あの女に気付かれる前に、私は帰らせてもらうよ」
「ふざけるなっ!!」
「このまま、帰さない!!」
アルトとゴンゾウが駈け出そうとした時、
「動けばその子を殺す!!」
「なっ……!?」
「っ!?」
まだ体が上手く動かず、地面に膝をついているレノに向けて掌を差し出し、2人は身体を硬直させる。レノはすぐに逃げ出そうとしたが、まだ体力も魔力も回復しきっておらず、どうしようもない。
(くそっ……?)
不意に自分の左腕を見て、紋様が浮かび上がっていることに気が付く。この腕は魔石が埋め込まれており、どうやら魔石の魔力は吸い込まれていないようだ。
(……一か八か……)
レノは視界に女の姿をとらえ、適当な呪文をわざとらしく唱える。
「何っ……!?」
「呪文?」
「危ない!!」
そしてすぐに「転送」を発動させ、ジェットコースターに乗り込んだように女に向かって高速移動する。転送中は他者からも姿は見えないため、3人の目にはレノが消えた様に思えるだろうが、彼は半径1メートルに存在する物も巻き込み、
「喰らえ!!」
「なっ!?」
自分の足元に存在した地面と共に、女の上空に身体を転送し、土と石と雑草が混じった土砂と共に落ちていく。女は咄嗟の事で反応しきれず、土砂をまともに顔面に直撃し、悲鳴を上げて両目を収めたところにレノの全体重を乗せた肘を頭部に放つ。
ズゥンッ!!
「うぐぁっ……!?」
「レノ!!」
すぐにゴンゾウが突進し、レノは即座に離れる。女は脳震盪でも起こしたのか、頭を抑えてふらふらと身体揺らしている。ゴンゾウはすぐにもレノの元に辿り着き、彼を抱えると、後方からアルトが長剣を抱えているのを確認し、
「2人とも!!離れろ!!」
「おうっ!!」
「うわっ……」
レノを抱きかかえ、ゴンゾウは走り出し、アルトは最大限に魔力を高めて呪文を唱え、
「――ディバインスラッシュ!!」
ズガァアアアアンッ!!
先ほどよりも強大な光の塊を放出し、女に向けて放つ。
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