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聖女護衛編
聖剣
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――「聖剣エクスカリバー」現実世界でも有名な神話の聖剣であり、古の時代にアーサー王が扱っていたという。今の時代でも数多くのゲームや漫画にも出てくる有名な聖剣。
そんな「エクスカリバー」と全く同じ名の聖剣が、この世界にも実在した。但し、出自は現実世界とは大きく違う。現実世界の神話では「アーサー王」が石に刺さった剣を引き抜いたというが、こちらの世界では人工的に造られた聖剣である。
遥か昔、まだ「魔族侵攻大戦」よりも古の時代に大きな戦乱があった。現在の「バルトロス王国」の礎である「バルバロス帝国」は、巨人族と大陸の領土を争奪戦を行い、やがては巨体で力強い彼らに劣勢を強いられる。
帝国はすぐに巨人族に対抗するため、魔術教会(聖導教会の基となった教会)に巨人族を打ち破るための兵器の開発を依頼する(この当時はまだ仲は良好だった)。
――魔術教会は即座に「聖剣」と呼ばれる武器を作り出すことに専念し、数年の時を掛けて、バルバロス帝国の多額の資金援助の元、当時は友好関係にあった「森人族」と「人魚族」の協力も得られ、複数の「聖剣」を作り出される。
その中でも最高傑作と言われたの「聖剣エクスカリバー」は、伝説によれば「一振り」で大地を二つに斬り裂いたという。帝国はエクスカリバーに用いて巨人族との戦に勝利したという。
だが、驚異的なの威力を誇る「エクスカリバー」も、後の「魔族侵攻大戦」の際に魔王に対抗するため、異世界から召還された「勇者」に託されたのだが、魔王との決戦の際に粉々に砕かれてしまう。しかし、砕け散った聖剣の破片は全て内密に回収され、修復は不可能だが、破片の一つ一つを素材に利用して新たな聖剣が生み出されたと言われている。
――そのエクスカリバーの「破片」の一つが埋め込まれた短剣こそ、ミキが現在使用しているものだった。
「はっ、驚いたな!?噂には聞いていたが……聖剣ってのも、たいしたもんだな!!」
「余裕はそこまでですよ!!」
ミキは杖をしまい込み、短剣を両手で握りしめて呪文を唱える。余裕のつもりなのか、ゴウはそれを黙って見つめ、
「ディバインスラッシュ!!」
ズドォオオオッ!!
地面に亀裂が走り、そこから凄まじい光の魔力が生み出される。3年前に鳳凰学園でアルトが使用した魔法と同じものであり、彼女の方がより強大な光の塊を放つが、
「雷鳴剣!!」
ゴウは長剣を再び点に向けると、複数の落雷が刀身に落ち、より強い発光と電流を迸らせる。そして、向い来る光に彼は横薙ぎで剣を振り払い、正面から受け止める。
ズガァアアアアンッ!!
「なっ……!?」
「ぐぅっ……!!」
さらなる雷の魔力付与を得た長剣は光の塊を吹き飛ばし、そのままミキに跳ね返す。通常、跳ね返したところで魔法を放った張本人であるミキに「ディバインスラッシュ」は喰らわないはずだが、
バチィィイイイッ!!
「電流を……!?」
「いい加減に死ね!!」
光の塊には先ほどのゴウが放った「雷」が纏わり付き、このままでは危険と判断したミキは咄嗟に何らかの防御魔法を展開しようとしたが、とても間に合わない。
(くっ……)
黙って隠れ見ていたレノは、仕方なく両脚に嵐を纏わせて「瞬脚」で彼女の元に向かう。地面の爪先に嵐を暴発させ、一気に加速してミキの前に出る。
ダァアアンッ!!
「えっ……!?」
「来い!!」
右横から彼女を抱きかかえ、そのまま向かってくる光の衝撃波をぎりぎり避ける。
ズガァァアアンッ!!
光の塊は先ほどヨウカのために本来用意されていた馬車に衝突し、無残にも破壊される。幸いというか、繋がれていた白馬達は直撃を避け、そのまま何処かへ逃げ去る。仮にあのままミキに当たっていたとしたら、間違いなく死んでいただろう。
「あっ……貴方は……!?まだここに居たんですか?」
「話は後にしてくれ……面倒くさい事になったな」
後ろを振り返ると、明らかに不機嫌そうなゴウが2人に視線をやり、
「何だてめぇっ……邪魔しやがって……」
バチィイイッ……!!
長剣に電流が走り、明らかにレノに対して舌打ちする。つい彼女を助けるために飛び出したが、何も対策を考えていないままに出てしまった。レノはすぐに周囲を見渡し、丁度、先ほどゴウに斬りかかったミルという女騎士が手放した「剣」を見つける。
柄の部分に青い魔石が埋め込まれており、レノは拾い上げると、よく研ぎすまされた剣だと感心する。そんな彼を見て、慌ててミキが彼が戦おうとしている事に気付き、
「だ、駄目です……あの男は普通の人間ではありません!!逃げなさい!!」
「逃げろと言ってもね……逃がしてくれるとは思えないけど」
「たり前だっ!!すぐに殺してやるよ!!」
バチィイイイッ!!
ゴウは剣に雷を纏わせ、剣先を2人に向け、
「2人まとめて……死ねぇ!!」
ズドォオオオオンッ!!
ミキの魔力の光線を跳ね返した、凄まじい出力の雷を放つ。
(……嵐を……剣に!!)
ゴォオオオオオッ!!
だが、レノは一瞬で自分の長剣に「嵐」の魔力付与を行い、正面から向かってくる雷(魔法で生み出した雷は、本物の雷並の速度は出せない)に向けて、
「はぁあああああっ!!」
ズガァアアアアアアンッ!!
――雷を斬り裂いた。
そんな「エクスカリバー」と全く同じ名の聖剣が、この世界にも実在した。但し、出自は現実世界とは大きく違う。現実世界の神話では「アーサー王」が石に刺さった剣を引き抜いたというが、こちらの世界では人工的に造られた聖剣である。
遥か昔、まだ「魔族侵攻大戦」よりも古の時代に大きな戦乱があった。現在の「バルトロス王国」の礎である「バルバロス帝国」は、巨人族と大陸の領土を争奪戦を行い、やがては巨体で力強い彼らに劣勢を強いられる。
帝国はすぐに巨人族に対抗するため、魔術教会(聖導教会の基となった教会)に巨人族を打ち破るための兵器の開発を依頼する(この当時はまだ仲は良好だった)。
――魔術教会は即座に「聖剣」と呼ばれる武器を作り出すことに専念し、数年の時を掛けて、バルバロス帝国の多額の資金援助の元、当時は友好関係にあった「森人族」と「人魚族」の協力も得られ、複数の「聖剣」を作り出される。
その中でも最高傑作と言われたの「聖剣エクスカリバー」は、伝説によれば「一振り」で大地を二つに斬り裂いたという。帝国はエクスカリバーに用いて巨人族との戦に勝利したという。
だが、驚異的なの威力を誇る「エクスカリバー」も、後の「魔族侵攻大戦」の際に魔王に対抗するため、異世界から召還された「勇者」に託されたのだが、魔王との決戦の際に粉々に砕かれてしまう。しかし、砕け散った聖剣の破片は全て内密に回収され、修復は不可能だが、破片の一つ一つを素材に利用して新たな聖剣が生み出されたと言われている。
――そのエクスカリバーの「破片」の一つが埋め込まれた短剣こそ、ミキが現在使用しているものだった。
「はっ、驚いたな!?噂には聞いていたが……聖剣ってのも、たいしたもんだな!!」
「余裕はそこまでですよ!!」
ミキは杖をしまい込み、短剣を両手で握りしめて呪文を唱える。余裕のつもりなのか、ゴウはそれを黙って見つめ、
「ディバインスラッシュ!!」
ズドォオオオッ!!
地面に亀裂が走り、そこから凄まじい光の魔力が生み出される。3年前に鳳凰学園でアルトが使用した魔法と同じものであり、彼女の方がより強大な光の塊を放つが、
「雷鳴剣!!」
ゴウは長剣を再び点に向けると、複数の落雷が刀身に落ち、より強い発光と電流を迸らせる。そして、向い来る光に彼は横薙ぎで剣を振り払い、正面から受け止める。
ズガァアアアアンッ!!
「なっ……!?」
「ぐぅっ……!!」
さらなる雷の魔力付与を得た長剣は光の塊を吹き飛ばし、そのままミキに跳ね返す。通常、跳ね返したところで魔法を放った張本人であるミキに「ディバインスラッシュ」は喰らわないはずだが、
バチィィイイイッ!!
「電流を……!?」
「いい加減に死ね!!」
光の塊には先ほどのゴウが放った「雷」が纏わり付き、このままでは危険と判断したミキは咄嗟に何らかの防御魔法を展開しようとしたが、とても間に合わない。
(くっ……)
黙って隠れ見ていたレノは、仕方なく両脚に嵐を纏わせて「瞬脚」で彼女の元に向かう。地面の爪先に嵐を暴発させ、一気に加速してミキの前に出る。
ダァアアンッ!!
「えっ……!?」
「来い!!」
右横から彼女を抱きかかえ、そのまま向かってくる光の衝撃波をぎりぎり避ける。
ズガァァアアンッ!!
光の塊は先ほどヨウカのために本来用意されていた馬車に衝突し、無残にも破壊される。幸いというか、繋がれていた白馬達は直撃を避け、そのまま何処かへ逃げ去る。仮にあのままミキに当たっていたとしたら、間違いなく死んでいただろう。
「あっ……貴方は……!?まだここに居たんですか?」
「話は後にしてくれ……面倒くさい事になったな」
後ろを振り返ると、明らかに不機嫌そうなゴウが2人に視線をやり、
「何だてめぇっ……邪魔しやがって……」
バチィイイッ……!!
長剣に電流が走り、明らかにレノに対して舌打ちする。つい彼女を助けるために飛び出したが、何も対策を考えていないままに出てしまった。レノはすぐに周囲を見渡し、丁度、先ほどゴウに斬りかかったミルという女騎士が手放した「剣」を見つける。
柄の部分に青い魔石が埋め込まれており、レノは拾い上げると、よく研ぎすまされた剣だと感心する。そんな彼を見て、慌ててミキが彼が戦おうとしている事に気付き、
「だ、駄目です……あの男は普通の人間ではありません!!逃げなさい!!」
「逃げろと言ってもね……逃がしてくれるとは思えないけど」
「たり前だっ!!すぐに殺してやるよ!!」
バチィイイイッ!!
ゴウは剣に雷を纏わせ、剣先を2人に向け、
「2人まとめて……死ねぇ!!」
ズドォオオオオンッ!!
ミキの魔力の光線を跳ね返した、凄まじい出力の雷を放つ。
(……嵐を……剣に!!)
ゴォオオオオオッ!!
だが、レノは一瞬で自分の長剣に「嵐」の魔力付与を行い、正面から向かってくる雷(魔法で生み出した雷は、本物の雷並の速度は出せない)に向けて、
「はぁあああああっ!!」
ズガァアアアアアアンッ!!
――雷を斬り裂いた。
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