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腐敗竜編
準備完了
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「うらうらぁああああっ!!剛腕のテン様のお通りだぁあああああっ!!」
「「ぎゃあぁああああああっ!!」」
テンは両手で握り締めたアンデットを振り回し、前方の敵を薙ぎ倒しながら移動を行い、その勢いは止まらない。握りしめたアンデットが使い物にならなくなれば、また新たなアンデットを捕まえて武器の代わりにする。
後方からはワルキューレの軍勢が追跡し、彼女が薙ぎ倒したアンデットを振り払いながら続く。決して止めを刺すことに執着せず、あくまでも進むことに集中して追跡する。
「うおぉおおおっ!!」
「がぁああああっ!!」
「ぎぃいいいいっ!!」
だが、やはり数ではアンデットの方がワルキューレの10倍以上あり、すぐに後を追いかけてくる。
「後衛部隊!!踏ん張りなよ!!」
「「はっ!!」」
殿の女騎士達は決して遅れない様に走り続け、後方から迫るアンデットたちの群れの相手をする。流石に全員が戦い慣れており、未だに1名も犠牲者は出ていない。そして、ついに腐敗竜との距離が30メートルにまで迫り、村の中央付近に到達した途端、
「うぐっ……!?」
「がはっ……!!」
「こ、これは……!!」
突然、ワルキューレの進行が止まり、半数がその場に膝を着く。テンも耐え切れずにアンデットの頭を離してしまい、ぼろ雑巾と変わり果てた2体のアンデットはぴくぴくと痙攣を行う。
――フゴォオオオオッ……!!
前方の腐敗竜の身体から想像以上の呪詛が放出され、あまりの量に退魔武装を纏っている彼女達にも影響が出てくる。これ以上近づくのは危険だが、ここまで来て泊まれるはずがない。
「うがぁああああああっ!!」
「ぎぃああああああっ!!」
「くっそっ……!!調子に乗るな!!」
テンは片手で頭を抱えながらも、すぐ傍に落ちていた自分の大剣を拾い上げ、好機とばかりに襲い掛かるアンデットの群れを追い払う。だが、他のワルキューレたちは反応は鈍く、遂には犠牲者も生まれる。
「う、うわぁあああああっ!!」
「きゃあぁああああああっ!?」
「なっ……くそぉっ!!」
「「がぁああああああっ!!」」
アンデットが数体、膝を着いた女騎士達に乗りかかり、必死に彼女達も抵抗するが、
ブチィイイイッ……!!
「がはあっ……!?」
「げふっ……!!」
2名ほどアンデットに喉元を喰らいつかれ、容赦なく肉を引き裂かれ、力なく倒れこむ。それを見たテンは舌打ちし、
「くそがぁああああああっ!!」
ズドォオオオオオオッ!!
「「ぐえっ……!?」」
バタンッ……
大剣を振り落とし、女騎士の死体に喰らいつくアンデットの頭を叩き割る。だが、状況は悪化の一方であり、すぐに周囲を取り囲むアンデットたちが一斉に飛びかかる。
「や、やめろ……あぁあああああっ!?」
「がふっ!!」
「このっ……話せ!!」
「だ、団長……!!」
「くっ……」
何とかワルキューレ騎士団は体勢を立て直そうとするが、腐敗竜の身体から放たれる強力な呪詛に上手く身体が動かない。テンは仲間を守るために立ち上がり、咆哮を上げながらアンデットたちを薙ぎ払うが、
(……まだか……!?)
すぐに丘の上に視線をやり、姿は見えないがそこにはジャンヌが待機しているはずだった。限界までレーヴァティンの力を引き出すように集中し、一撃で腐敗竜を討伐するため、ワルキューレたち騎士団は彼女が力を蓄積させるまでアンデットに邪魔されないようにここまで派手な行動を取ってアンデットたちを引き寄せたのだ。
既に村の中の大部分のアンデットは騎士団の元に集まり、作戦は成功したと言えるだろう。だが、何時までも持つかは分からない。
「お前ら……ここが最後の正念場だ!!死ぬ気で頑張れ!!」
「は、はい……!!」
「この……!!魔術班!!援護を!!」
「くっ……」
テンに一括され、ワルキューレは最後の力を振り絞って立ち上がり、周囲のアンデットを抑制する。あくまでも注意を引くだけでいいので、無理をして倒す必要はない。
時間稼ぎのために耐えるが、それほど長くは持たない事は誰もが承知している。しかし、誰一人として撤退を進言する者はいない。彼女達とて一流の戦士であり、決して無傷で無事に帰れるなどという甘い考えは持っていない。
ワルキューレの女騎士としての誇りか、それともアンデットに屈するのが我慢できないだけなのか、身動きすら難しい状況でも彼女達は善戦する。
「旋風撃!!」
――ブォンブォンブォンッ!!
「「ぐぇええええっ!?」」
テンは大剣を振り回し、その剛腕で無数のアンデットを吹き飛ばし、天高く飛ばす。それでもアンデットの数は膨大であり、何体倒しても切りが無い。
「……くっそっ……!!まだなのか……!?」
大剣を振るいあげ、再び丘の上を見上げたとき、すぐに異変に気が付く。
――ドゴォオオオオオオッ……!!
村の傍に在る丘の上に巨大な「火柱」が放たれ、村中に居る全員の視線が集まり、
「……お待たせしました……!!」
ゴォオオオオオッ……!!
上空にレーヴァティンを掲げながら、ジャンヌが丘の上から姿を現す。その刀身から凄まじい「真紅の焔」が纏っており、準備が整ったことを示す。
「はっ……遅すぎんだよ……!!」
「す、すごい……これなら!!」
「団長!!」
「油断するな!!まだ終わっていないよ!!」
ついにジャンヌの姿を現した事にワルキューレ騎士団は喜色満面の表情を浮かべるが、テンに一括されて慌てて気を引き締め直す。
「……行きます!!」
ダンッ!!
ジャンヌは燃え盛る「レーヴァティン」を片手に、丘の上から飛び降りた――
「「ぎゃあぁああああああっ!!」」
テンは両手で握り締めたアンデットを振り回し、前方の敵を薙ぎ倒しながら移動を行い、その勢いは止まらない。握りしめたアンデットが使い物にならなくなれば、また新たなアンデットを捕まえて武器の代わりにする。
後方からはワルキューレの軍勢が追跡し、彼女が薙ぎ倒したアンデットを振り払いながら続く。決して止めを刺すことに執着せず、あくまでも進むことに集中して追跡する。
「うおぉおおおっ!!」
「がぁああああっ!!」
「ぎぃいいいいっ!!」
だが、やはり数ではアンデットの方がワルキューレの10倍以上あり、すぐに後を追いかけてくる。
「後衛部隊!!踏ん張りなよ!!」
「「はっ!!」」
殿の女騎士達は決して遅れない様に走り続け、後方から迫るアンデットたちの群れの相手をする。流石に全員が戦い慣れており、未だに1名も犠牲者は出ていない。そして、ついに腐敗竜との距離が30メートルにまで迫り、村の中央付近に到達した途端、
「うぐっ……!?」
「がはっ……!!」
「こ、これは……!!」
突然、ワルキューレの進行が止まり、半数がその場に膝を着く。テンも耐え切れずにアンデットの頭を離してしまい、ぼろ雑巾と変わり果てた2体のアンデットはぴくぴくと痙攣を行う。
――フゴォオオオオッ……!!
前方の腐敗竜の身体から想像以上の呪詛が放出され、あまりの量に退魔武装を纏っている彼女達にも影響が出てくる。これ以上近づくのは危険だが、ここまで来て泊まれるはずがない。
「うがぁああああああっ!!」
「ぎぃああああああっ!!」
「くっそっ……!!調子に乗るな!!」
テンは片手で頭を抱えながらも、すぐ傍に落ちていた自分の大剣を拾い上げ、好機とばかりに襲い掛かるアンデットの群れを追い払う。だが、他のワルキューレたちは反応は鈍く、遂には犠牲者も生まれる。
「う、うわぁあああああっ!!」
「きゃあぁああああああっ!?」
「なっ……くそぉっ!!」
「「がぁああああああっ!!」」
アンデットが数体、膝を着いた女騎士達に乗りかかり、必死に彼女達も抵抗するが、
ブチィイイイッ……!!
「がはあっ……!?」
「げふっ……!!」
2名ほどアンデットに喉元を喰らいつかれ、容赦なく肉を引き裂かれ、力なく倒れこむ。それを見たテンは舌打ちし、
「くそがぁああああああっ!!」
ズドォオオオオオオッ!!
「「ぐえっ……!?」」
バタンッ……
大剣を振り落とし、女騎士の死体に喰らいつくアンデットの頭を叩き割る。だが、状況は悪化の一方であり、すぐに周囲を取り囲むアンデットたちが一斉に飛びかかる。
「や、やめろ……あぁあああああっ!?」
「がふっ!!」
「このっ……話せ!!」
「だ、団長……!!」
「くっ……」
何とかワルキューレ騎士団は体勢を立て直そうとするが、腐敗竜の身体から放たれる強力な呪詛に上手く身体が動かない。テンは仲間を守るために立ち上がり、咆哮を上げながらアンデットたちを薙ぎ払うが、
(……まだか……!?)
すぐに丘の上に視線をやり、姿は見えないがそこにはジャンヌが待機しているはずだった。限界までレーヴァティンの力を引き出すように集中し、一撃で腐敗竜を討伐するため、ワルキューレたち騎士団は彼女が力を蓄積させるまでアンデットに邪魔されないようにここまで派手な行動を取ってアンデットたちを引き寄せたのだ。
既に村の中の大部分のアンデットは騎士団の元に集まり、作戦は成功したと言えるだろう。だが、何時までも持つかは分からない。
「お前ら……ここが最後の正念場だ!!死ぬ気で頑張れ!!」
「は、はい……!!」
「この……!!魔術班!!援護を!!」
「くっ……」
テンに一括され、ワルキューレは最後の力を振り絞って立ち上がり、周囲のアンデットを抑制する。あくまでも注意を引くだけでいいので、無理をして倒す必要はない。
時間稼ぎのために耐えるが、それほど長くは持たない事は誰もが承知している。しかし、誰一人として撤退を進言する者はいない。彼女達とて一流の戦士であり、決して無傷で無事に帰れるなどという甘い考えは持っていない。
ワルキューレの女騎士としての誇りか、それともアンデットに屈するのが我慢できないだけなのか、身動きすら難しい状況でも彼女達は善戦する。
「旋風撃!!」
――ブォンブォンブォンッ!!
「「ぐぇええええっ!?」」
テンは大剣を振り回し、その剛腕で無数のアンデットを吹き飛ばし、天高く飛ばす。それでもアンデットの数は膨大であり、何体倒しても切りが無い。
「……くっそっ……!!まだなのか……!?」
大剣を振るいあげ、再び丘の上を見上げたとき、すぐに異変に気が付く。
――ドゴォオオオオオオッ……!!
村の傍に在る丘の上に巨大な「火柱」が放たれ、村中に居る全員の視線が集まり、
「……お待たせしました……!!」
ゴォオオオオオッ……!!
上空にレーヴァティンを掲げながら、ジャンヌが丘の上から姿を現す。その刀身から凄まじい「真紅の焔」が纏っており、準備が整ったことを示す。
「はっ……遅すぎんだよ……!!」
「す、すごい……これなら!!」
「団長!!」
「油断するな!!まだ終わっていないよ!!」
ついにジャンヌの姿を現した事にワルキューレ騎士団は喜色満面の表情を浮かべるが、テンに一括されて慌てて気を引き締め直す。
「……行きます!!」
ダンッ!!
ジャンヌは燃え盛る「レーヴァティン」を片手に、丘の上から飛び降りた――
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