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テンペスト騎士団編
金剛撃
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「ぬおっ……!!」
ズゥウウウンッ……!!
ゴンゾウは地面を踏ん張り、衝撃を抑える。撃ちぬかれた左腕にはくっきりと拳の形をした痣を刻まれ、痺れて動かせない。レノの小柄な身体から生み出したとは想像できないほどの素晴らしい一撃ではあるが、拳を振り抜いた状態のレノの姿を見てゴンゾウはある事に気付く。
「くうっ……!!」
レノの「弾撃」とは身体全体の部位を順番に加速した攻撃であり、全身の筋肉を当然使用する。その分に威力は巨人族のゴンゾウの巨体さえも吹き飛ばすほどだが、相手に撃ちぬいた瞬間は反動も激しく、身体が硬直すしてしまう。動けない時間はせいぜい3秒ほどであり、レノは体勢を整えて右手を手刀に変化させ、
「雷槍」
ズドォオオオンッ!!
一瞬でレノの左腕に電撃の槍が形成され、先端の部分はまるでランスのように尖らせ、徐々に形態を変化させる。
「からの雷撃」
バチィイイイッ……!!
ゴーレム・キングとの戦闘でも見せた螺旋状の竜巻に電流を迸らせ、右腕全体に纏う。ゴーレムの頑丈な外殻の岩石すらも容易く砕く威力を誇り、、触れただけでも感電は避けられない。ゴンゾウは痺れから抜けた右腕と左腕で棍棒を握り締め直す。
この組手ではゴンゾウは右腕のみを使用すると誓ったが、もしもレノが魔法を使用した場合は彼も両腕を使ってもいいと約束しており、御互いに本気に戦う事を決意する。
「……行くぞ!!」
ドンッ!!
ゴンゾウは棍棒を振り上げ、レノに向かって駆け出す。巨人族は戦闘に置いて小細工は嫌う習性であり、どんな局面でも正面から挑む傾向がある。
金属製の棍棒で「雷属性」を操れるレノの相手をするのは相性は悪いように思えるが、ゴンゾウの肉体は強い魔法耐性を持つ。彼等、巨人族は大昔に魔法を発現させる能力を失っているが、それでもその巨体と腕力は全ての種族の頂点に達したままであり、生まれながらにワルキューレ騎士団の女騎士が施される「退魔武装」のように強い魔法耐性を生まれ持つ。
例え棍棒に雷を送り込まれようと、ゴンゾウは武器を手放さない自信はあり、彼は咆哮を上げながら両腕の力を振り絞って自分の最大の一撃を放つ。
「――金剛撃!!」
ビキィイイッ!!
ゴンゾウの両腕の血管が浮き上がり、肌が赤黒く変化する。これは彼の「肉体強化」によって一時的に腕力を強化させた状態であり、彼はこれを「鬼人化」と呼んでいる。
この技は彼のオリジナルであり、どういう訳か彼が「肉体強化」を行うと肌の皮膚が赤黒く変わり果てる体質だった。普通の巨人族では有り得ない変化だが、その腕力の向上は凄まじく、強化前であろうと自分よりも倍近くの岩石を持ち上げることが出来るゴンゾウの身体能力が数倍にも上昇する。
――ブオンッ!!
その威力はすさまじく、ゴンゾウがその場で棍棒を空振りしただけで金属が激しく振動し、周囲に衝撃波が生み出される。まるで「白狼」の風の爪を思わせる一撃だが、レノはこちらに向かって棍棒を振り下ろすゴンゾウに向けて掌を翳す。
「風盾!!」
ブオォオオオオッ!!
掌から三つの風の刃が生み出され、まるで扇風機を想像させる回転を行い、そのまま円形状に広がってゴンゾウの棍棒を受け止める。
ドォオオオオオオンッ!!
「ぐうっ……!!」
「ぬおっ……!?」
レノが生み出した嵐の障壁に棍棒が衝突し、周囲に凄まじい爆風が広がる。完全に勢いを止める事は出来ないが、軌道を反らす事に成功してゴンゾウの棍棒は空振りする。
「ふんっ!!」
ドゴォオオオンッ!!
だが、ゴンゾウは両腕の肌を赤く変色させたまま、棍棒を再び持ち上げ、完全に組手だという事を忘れて戦闘に熱中する。彼はそのまま棍棒を振り落し、地面に激突させて周囲に土煙を形成させる。だが、これは悪手であり、煙で自分の姿を隠すつもりだったのだろうが、
「よっと!!」
レノが右手を振り払う動作だけで突風を発生させ、そのまま舞い上がった土煙を吹き飛ばす。
「ぬおぉっ!!」
ブオッ――!!
姿を現したゴンゾウは至近距離で棍棒を大きく振り上げ、横薙ぎにレノの身体を叩き付けようとしており、直撃すれば全身骨折は免れないだろう。
(やりすぎだ!!)
完全に組手から真剣勝負に変わっており、普段は大人しいゴンゾウも戦闘になると頭に血が上って暴走してしまう事を理解し、此方に向かってくる鋼鉄の塊に受け止める事は不可能と判断したレノは、
(瞬脚!!)
ズダァアアンッ!!
両脚に暴風を生み出し、そのまま後方に移動して回避する。そのままゴンゾウは勢いよく振り抜き、その素振りの衝撃波が周囲に走る。
ズガァアアンッ――!!
周囲の地面を振動させ、まるで地震が起きた様に周辺の樹木に居た小鳥たちが驚いて飛び上がり、激しい土煙が生まれる。
「わふっ……!?」
「ふにゃっ……?」
少し離れた場所にある馬車の中から寝ぼけた2人組の声を耳にしながらも、
「あぶなっ……!!」
ぎりぎりで回避に成功したレノはそのまま7、8メートルほど跳躍し、着地する。咄嗟に避けたから良かったが、直撃していたら肉体が肉塊(ミンチ)になっていただろう。
「おぉおおおおっ!!」
ドスンッ!!ドスンッ!!
前方の土煙からゴンゾウが姿を現し、そのまま棍棒を持ち上げてレノに突進してくるが、
「落ち着かんかい!!」
ジャララララッ……!!
「ぬあっ!?」
左腕の黒衣から銀の鎖を出現させ、先端部には五つの聖爪のリングが光り輝き、そのままゴンゾウの身体を拘束する。すぐに彼は鎖を引き剥がそうとしたがレノの銀の鎖は魔法を抑える力があり、肉体強化されたゴンゾウの赤い腕を元の肌色に変色させると、
「お仕置き」
「あががががっ!?」
――バチィィイイイッ!!
容赦なく、レノは右手を射出した鎖に電流を送り込み、ゴンゾウの身体を痺れさせる。
ズゥウウウンッ……!!
ゴンゾウは地面を踏ん張り、衝撃を抑える。撃ちぬかれた左腕にはくっきりと拳の形をした痣を刻まれ、痺れて動かせない。レノの小柄な身体から生み出したとは想像できないほどの素晴らしい一撃ではあるが、拳を振り抜いた状態のレノの姿を見てゴンゾウはある事に気付く。
「くうっ……!!」
レノの「弾撃」とは身体全体の部位を順番に加速した攻撃であり、全身の筋肉を当然使用する。その分に威力は巨人族のゴンゾウの巨体さえも吹き飛ばすほどだが、相手に撃ちぬいた瞬間は反動も激しく、身体が硬直すしてしまう。動けない時間はせいぜい3秒ほどであり、レノは体勢を整えて右手を手刀に変化させ、
「雷槍」
ズドォオオオンッ!!
一瞬でレノの左腕に電撃の槍が形成され、先端の部分はまるでランスのように尖らせ、徐々に形態を変化させる。
「からの雷撃」
バチィイイイッ……!!
ゴーレム・キングとの戦闘でも見せた螺旋状の竜巻に電流を迸らせ、右腕全体に纏う。ゴーレムの頑丈な外殻の岩石すらも容易く砕く威力を誇り、、触れただけでも感電は避けられない。ゴンゾウは痺れから抜けた右腕と左腕で棍棒を握り締め直す。
この組手ではゴンゾウは右腕のみを使用すると誓ったが、もしもレノが魔法を使用した場合は彼も両腕を使ってもいいと約束しており、御互いに本気に戦う事を決意する。
「……行くぞ!!」
ドンッ!!
ゴンゾウは棍棒を振り上げ、レノに向かって駆け出す。巨人族は戦闘に置いて小細工は嫌う習性であり、どんな局面でも正面から挑む傾向がある。
金属製の棍棒で「雷属性」を操れるレノの相手をするのは相性は悪いように思えるが、ゴンゾウの肉体は強い魔法耐性を持つ。彼等、巨人族は大昔に魔法を発現させる能力を失っているが、それでもその巨体と腕力は全ての種族の頂点に達したままであり、生まれながらにワルキューレ騎士団の女騎士が施される「退魔武装」のように強い魔法耐性を生まれ持つ。
例え棍棒に雷を送り込まれようと、ゴンゾウは武器を手放さない自信はあり、彼は咆哮を上げながら両腕の力を振り絞って自分の最大の一撃を放つ。
「――金剛撃!!」
ビキィイイッ!!
ゴンゾウの両腕の血管が浮き上がり、肌が赤黒く変化する。これは彼の「肉体強化」によって一時的に腕力を強化させた状態であり、彼はこれを「鬼人化」と呼んでいる。
この技は彼のオリジナルであり、どういう訳か彼が「肉体強化」を行うと肌の皮膚が赤黒く変わり果てる体質だった。普通の巨人族では有り得ない変化だが、その腕力の向上は凄まじく、強化前であろうと自分よりも倍近くの岩石を持ち上げることが出来るゴンゾウの身体能力が数倍にも上昇する。
――ブオンッ!!
その威力はすさまじく、ゴンゾウがその場で棍棒を空振りしただけで金属が激しく振動し、周囲に衝撃波が生み出される。まるで「白狼」の風の爪を思わせる一撃だが、レノはこちらに向かって棍棒を振り下ろすゴンゾウに向けて掌を翳す。
「風盾!!」
ブオォオオオオッ!!
掌から三つの風の刃が生み出され、まるで扇風機を想像させる回転を行い、そのまま円形状に広がってゴンゾウの棍棒を受け止める。
ドォオオオオオオンッ!!
「ぐうっ……!!」
「ぬおっ……!?」
レノが生み出した嵐の障壁に棍棒が衝突し、周囲に凄まじい爆風が広がる。完全に勢いを止める事は出来ないが、軌道を反らす事に成功してゴンゾウの棍棒は空振りする。
「ふんっ!!」
ドゴォオオオンッ!!
だが、ゴンゾウは両腕の肌を赤く変色させたまま、棍棒を再び持ち上げ、完全に組手だという事を忘れて戦闘に熱中する。彼はそのまま棍棒を振り落し、地面に激突させて周囲に土煙を形成させる。だが、これは悪手であり、煙で自分の姿を隠すつもりだったのだろうが、
「よっと!!」
レノが右手を振り払う動作だけで突風を発生させ、そのまま舞い上がった土煙を吹き飛ばす。
「ぬおぉっ!!」
ブオッ――!!
姿を現したゴンゾウは至近距離で棍棒を大きく振り上げ、横薙ぎにレノの身体を叩き付けようとしており、直撃すれば全身骨折は免れないだろう。
(やりすぎだ!!)
完全に組手から真剣勝負に変わっており、普段は大人しいゴンゾウも戦闘になると頭に血が上って暴走してしまう事を理解し、此方に向かってくる鋼鉄の塊に受け止める事は不可能と判断したレノは、
(瞬脚!!)
ズダァアアンッ!!
両脚に暴風を生み出し、そのまま後方に移動して回避する。そのままゴンゾウは勢いよく振り抜き、その素振りの衝撃波が周囲に走る。
ズガァアアンッ――!!
周囲の地面を振動させ、まるで地震が起きた様に周辺の樹木に居た小鳥たちが驚いて飛び上がり、激しい土煙が生まれる。
「わふっ……!?」
「ふにゃっ……?」
少し離れた場所にある馬車の中から寝ぼけた2人組の声を耳にしながらも、
「あぶなっ……!!」
ぎりぎりで回避に成功したレノはそのまま7、8メートルほど跳躍し、着地する。咄嗟に避けたから良かったが、直撃していたら肉体が肉塊(ミンチ)になっていただろう。
「おぉおおおおっ!!」
ドスンッ!!ドスンッ!!
前方の土煙からゴンゾウが姿を現し、そのまま棍棒を持ち上げてレノに突進してくるが、
「落ち着かんかい!!」
ジャララララッ……!!
「ぬあっ!?」
左腕の黒衣から銀の鎖を出現させ、先端部には五つの聖爪のリングが光り輝き、そのままゴンゾウの身体を拘束する。すぐに彼は鎖を引き剥がそうとしたがレノの銀の鎖は魔法を抑える力があり、肉体強化されたゴンゾウの赤い腕を元の肌色に変色させると、
「お仕置き」
「あががががっ!?」
――バチィィイイイッ!!
容赦なく、レノは右手を射出した鎖に電流を送り込み、ゴンゾウの身体を痺れさせる。
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