306 / 1,095
テンペスト騎士団編
憑依召喚
しおりを挟む
この世界に存在する召喚魔法とは無属性の最高位に位置する魔法であり、非常に成功率は難しく、複数の種類が存在する高等魔法である。
一例を上げれば異世界から召喚する「異界召喚(勇者召喚もこれに含まれる)」森人族が愛用する契約した魔獣を呼び出す「魔獣召喚」さらには精霊を呼び出す「精霊召喚(但し、使用できるのは森人族と人魚族、他にも聖導教会の現聖天魔導士のみ)」など三つに分かれている。
――だが、バルトロス王国が誇る4人しか存在しない大将軍の1人である「レミア」が使用する召喚魔法は特別であり、その能力は異界召喚に近いが微妙に差異がある。
その召喚魔法の名は「憑依召喚」と呼ばれ、彼女は過去の歴史に存在した「英雄」を呼び出し、その身体に宿らせる事で彼らの全盛期の力を引き出すことが出来るという。
「憑依召喚……噂には聞いたことはあるっすけど、実際はどんなもん何ですか?」
「ちょっとカリナ!!あんた敬語ぐらい……」
「ああ、別に良いですよ。堅苦しいのは私も苦手なので……」
ため口で話しかけるカリナにガーネが咎めるが、レミアは特に気にした風も無く、考え込む素振りを見せ、
「……そうですね、私が呼び出せるのは今の所は2人だけですが……今、この場に呼び出しましょうか?」
「え、いいんすか!?」
「ちょ、酒場を壊すのだけは辞めてくれよ……?」
「大丈夫ですよ、大人しい方を呼び出しますから」
そう告げると、レミアは両手をまるで祈りを込めるように握りしめ、ソフィア達には理解できない魔法言語(詠唱)を呟くと、
「出てきて下さい、銀の英雄よ!!」
ブワァアアッ――!!
「わぅんっ!?」
「わぁあっ!?」
「こいつは……すごいね」
「へぇ……」
「ほう……これはこれは眼福だな」
「成程……そういう原理か」
――レミアの身体が銀色の光に包まれ、徐々に外見に異変が訪れる。身長はより高く、体型もよりスレンダーとなり、光が収まる時には全くの別人が酒場の中に現れる。何時の間にか彼女の両腰には先ほどは存在しなかったはずの赤色と青色の鞘の「日本刀」を想像させる剣が装着されており、ゆっくりとその人物は目を開くと、
「……主人の命により、召喚された「ナナ」です。以後、よろしく頼みます」
先ほどまでレミアが存在した場所には身長は170センチを軽く超え、豪華な鎧に身を包んだ女騎士が立っており、美しい銀髪をポニーテールでまとめ、エルフに匹敵するほどに整った顔立ちであり、宝石のように美しい紫色の瞳の女性が立っていた。
「おお~!!」
「こ、これが憑依召喚……」
「……自分の身体を依代に過去の偉人の魂を宿らせ、肉体そのものまで変化させるほどの影響を受けたのか」
「ほう……なかなか鋭い」
見事に憑依召喚の原理を見抜いたソフィアに感心した風に頷き、ナナと名乗る女性はは周囲を見渡し、巫女姫であるヨウカに視線を向けた瞬間、
「これは……当代の巫女姫様ですね?失礼な態度を取ったことをお許しください」
「えっ!?」
ガバァッ!!
その場でヨウカに向けてナナは跪き、地面に額を擦りつける勢いで土下座を行う。急な彼女の行動に全員が呆気にとられるが、何時の間にか酒場の中で席についていたホノカが何か思い当たったかのように、
「……その見事なシルバーブロンドに「銀の英雄」という単語……間違いない、初代勇者と共に各地の戦場を渡り歩いたという女騎士「ヒメナ」だね」
「えっ!?」
「歴史上初の女騎士と呼ばれたあの!?」
「……その名で呼ばないでください。今の私の名は「ナナ」ですから」
起き上がったナナは不機嫌そうにホノカに視線を向け、彼女は「これは失礼」と軽く返すと、
「しかし……憑依召喚は聖導教会に300年前に禁止されたはずだが。死者を冒涜する行為として」
「むっ……確かにその通りです。ですが、我が主人は王国の人間です。教会に従う必要はありません」
「あんた……確か聖導教会の誕生にも関わっているんだろう?そんないい加減な……」
「黙りなさい。貴女とそこの椅子に座っている女からは泥棒の匂いが感じ取れます……あまり近づかない様に」
「はははっ」
「何だって!?人を泥棒呼ばわりとはいい度胸だね!!」
「「…………」」
ホノカは軽く笑いを浮かべて流すが、ナナの発言に憤るバルに女部下とソフィアが何か言いたげな視線を向けるが、敢えて口にしない。余計な事を言って面倒事に巻き込まれるのは避けたい。
「それよりも何故このような場所に巫女姫様が?あまり、こういう場所に立ち寄られるのはどうかと……」
「えっと……話すと長くなるけど」
「……いえ、その必要はありません。巫女姫様の事ですから何か深い考えがあっての事でしょう」
「う、うん……多分」
勝手に勘違いして納得したナナにヨウカは苦笑いを浮かべると、
「それよりも……そこにいるハーフエルフに質問があります」
「「っ!?」」
「……なに?」
鋭い視線をソフィアに向け、彼女ははっきりとソフィアの事を「ハーフエルフ」と告げた。すぐさまその場にいる者たちが彼を覆い隠すように前に出ようとするが、ナナは即座に彼に歩み寄り、
「貴方は危険です。今すぐ王国から去りなさい」
一例を上げれば異世界から召喚する「異界召喚(勇者召喚もこれに含まれる)」森人族が愛用する契約した魔獣を呼び出す「魔獣召喚」さらには精霊を呼び出す「精霊召喚(但し、使用できるのは森人族と人魚族、他にも聖導教会の現聖天魔導士のみ)」など三つに分かれている。
――だが、バルトロス王国が誇る4人しか存在しない大将軍の1人である「レミア」が使用する召喚魔法は特別であり、その能力は異界召喚に近いが微妙に差異がある。
その召喚魔法の名は「憑依召喚」と呼ばれ、彼女は過去の歴史に存在した「英雄」を呼び出し、その身体に宿らせる事で彼らの全盛期の力を引き出すことが出来るという。
「憑依召喚……噂には聞いたことはあるっすけど、実際はどんなもん何ですか?」
「ちょっとカリナ!!あんた敬語ぐらい……」
「ああ、別に良いですよ。堅苦しいのは私も苦手なので……」
ため口で話しかけるカリナにガーネが咎めるが、レミアは特に気にした風も無く、考え込む素振りを見せ、
「……そうですね、私が呼び出せるのは今の所は2人だけですが……今、この場に呼び出しましょうか?」
「え、いいんすか!?」
「ちょ、酒場を壊すのだけは辞めてくれよ……?」
「大丈夫ですよ、大人しい方を呼び出しますから」
そう告げると、レミアは両手をまるで祈りを込めるように握りしめ、ソフィア達には理解できない魔法言語(詠唱)を呟くと、
「出てきて下さい、銀の英雄よ!!」
ブワァアアッ――!!
「わぅんっ!?」
「わぁあっ!?」
「こいつは……すごいね」
「へぇ……」
「ほう……これはこれは眼福だな」
「成程……そういう原理か」
――レミアの身体が銀色の光に包まれ、徐々に外見に異変が訪れる。身長はより高く、体型もよりスレンダーとなり、光が収まる時には全くの別人が酒場の中に現れる。何時の間にか彼女の両腰には先ほどは存在しなかったはずの赤色と青色の鞘の「日本刀」を想像させる剣が装着されており、ゆっくりとその人物は目を開くと、
「……主人の命により、召喚された「ナナ」です。以後、よろしく頼みます」
先ほどまでレミアが存在した場所には身長は170センチを軽く超え、豪華な鎧に身を包んだ女騎士が立っており、美しい銀髪をポニーテールでまとめ、エルフに匹敵するほどに整った顔立ちであり、宝石のように美しい紫色の瞳の女性が立っていた。
「おお~!!」
「こ、これが憑依召喚……」
「……自分の身体を依代に過去の偉人の魂を宿らせ、肉体そのものまで変化させるほどの影響を受けたのか」
「ほう……なかなか鋭い」
見事に憑依召喚の原理を見抜いたソフィアに感心した風に頷き、ナナと名乗る女性はは周囲を見渡し、巫女姫であるヨウカに視線を向けた瞬間、
「これは……当代の巫女姫様ですね?失礼な態度を取ったことをお許しください」
「えっ!?」
ガバァッ!!
その場でヨウカに向けてナナは跪き、地面に額を擦りつける勢いで土下座を行う。急な彼女の行動に全員が呆気にとられるが、何時の間にか酒場の中で席についていたホノカが何か思い当たったかのように、
「……その見事なシルバーブロンドに「銀の英雄」という単語……間違いない、初代勇者と共に各地の戦場を渡り歩いたという女騎士「ヒメナ」だね」
「えっ!?」
「歴史上初の女騎士と呼ばれたあの!?」
「……その名で呼ばないでください。今の私の名は「ナナ」ですから」
起き上がったナナは不機嫌そうにホノカに視線を向け、彼女は「これは失礼」と軽く返すと、
「しかし……憑依召喚は聖導教会に300年前に禁止されたはずだが。死者を冒涜する行為として」
「むっ……確かにその通りです。ですが、我が主人は王国の人間です。教会に従う必要はありません」
「あんた……確か聖導教会の誕生にも関わっているんだろう?そんないい加減な……」
「黙りなさい。貴女とそこの椅子に座っている女からは泥棒の匂いが感じ取れます……あまり近づかない様に」
「はははっ」
「何だって!?人を泥棒呼ばわりとはいい度胸だね!!」
「「…………」」
ホノカは軽く笑いを浮かべて流すが、ナナの発言に憤るバルに女部下とソフィアが何か言いたげな視線を向けるが、敢えて口にしない。余計な事を言って面倒事に巻き込まれるのは避けたい。
「それよりも何故このような場所に巫女姫様が?あまり、こういう場所に立ち寄られるのはどうかと……」
「えっと……話すと長くなるけど」
「……いえ、その必要はありません。巫女姫様の事ですから何か深い考えがあっての事でしょう」
「う、うん……多分」
勝手に勘違いして納得したナナにヨウカは苦笑いを浮かべると、
「それよりも……そこにいるハーフエルフに質問があります」
「「っ!?」」
「……なに?」
鋭い視線をソフィアに向け、彼女ははっきりとソフィアの事を「ハーフエルフ」と告げた。すぐさまその場にいる者たちが彼を覆い隠すように前に出ようとするが、ナナは即座に彼に歩み寄り、
「貴方は危険です。今すぐ王国から去りなさい」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
480
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる