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テンペスト騎士団編
誘導作戦
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「……ほ、本当に上手く行くのか?」
「でも……それしか方法は無いと思います」
「わふっ……だ、大丈夫なんですか……?」
「……ソフィアを信じるしかない」
「たくっ……とんでもないことを考え付くね」
ソフィアの提案に全員がそれぞれの反応を示す中、ソフィアだけは準備を整えるために「レノ」と一言告げて男性時の姿に戻る。
ボウッ……!!
「おおっ……」
「なるほど……これがハーフエルフの能力なのか」
「凄い……」
全員の目の前で女の姿から男の姿に変身すると、それぞれが驚いた声を上げる。特にレミアは何故か感動したように目を輝かせ、レノの身体をじっくりと観察し、
「その姿であの腐敗竜を倒したのですね……やはり、私の予想通り凛々しい御姿です……!!」
「凛々しい……?」
「まあ、美少年の類ではあるね。女装したら似合いそうだ」
「いや、女装する意味が分からないけど……」
「……確かに」
レノは身体をゆっくりと動かし、体調を完全に取り戻している事を確認する。幸いというべきか、服装は男女両用の物を着ていたため、スカート姿で戦闘を行わないで済む。右手の紋様を観察し、いつでも「カラドボルグ」を召喚出来る事を確認すると、水晶壁に視線を向ける。
――シャァァアアアアアアアッ!!
地上から大蛇の鳴き声が響き渡り、現在の飛行船は上空300メートルの位置を保っている。この高度ならば流石のバジリスクも届かないのか、悔しげな声を上げてグネグネと地面を動き回るだけである。だが、獲物を逃す気は無いのかバジリスクは上空を確認しながら周囲の木々を破壊し、より一層にレノは苛立ちを覚えるが、何とか冷静さを取り戻す。
「スピーカー……じゃなくて、えっと……声を大きくする機械はある?」
「……学園都市の「拡音機」の事かい?それなら、この船にも内蔵されているよ」
「良かった。なら、俺のタイミングである言葉を船外に向けて流せる?」
「それぐらいなら問題ないが……一体、何をする気だい?」
「まあ、もう1つの案も試しておこうかと……」
――レノの考え出した作戦。それはバジリスクを深淵の森の集落が存在する場所まで接近し、その後は飛行船から飛び出したレノが「カラドボルグ」の力で集落を覆い込む結界の一部分を破壊し、飛行船を結界内部に入り込ませる。
集落に侵入と同時に誘導したバジリスクも追跡して集落に侵入するだろう。そして、完全に結界の中に引き寄せた跡、今度は内側から結界を突破して脱出し、バジリスクを集落内に閉じ込めるという作戦だった。
だが、この作戦の要であるカラドボルグの砲撃は今のレノでは一度しか使用できない。つまり、結界の内部に侵入する時点でカラドボルグの力を使用すれば、脱出の際にカラドボルグは使えない。
それでもレノはカラドボルグ以外にも集落の封印を解く方法をしっており、そちらの方法は確証性が薄く、運に任せる要素があまりにも大きいが、どちらにしろこの方法に賭けるしかない。この作戦ならば最悪でもバジリスクを結界内に封じ込める事は可能であり、考えている暇はない。
「たくっ……あんたが失敗したら、私達も巻き添えを喰らうね」
「今更後悔しても遅い……気軽に着いてきた自分たちの身を呪って」
「ちょっ……そこは嘘でも「俺を信じろ!!」という頼もしいセリフを言う所じゃないんすか!?」
「わぅんっ!!レノさんならきっと大丈夫です!!」
「……信じてる」
「俺も、レノを信じる」
「私もだ」
「私もです!!」
「いや、あの……嬉しいけどなんかフラグが立つみたいだからやめてくれない?過度な期待を抱くの……」
「ふむ……まあ、最悪の場合はこの飛行船を犠牲にすれば何とかなるかな」
「ええ~!?シャーちゃんが可哀想だよ!!」
「仕方ないだろう……というか、変な名前を付けないでくれ……定着したらどうする気だい」
「……シャーちゃん、イカす」
「いきなり1人が気に入っちゃったよ」
こんな状況にも関わらず、飛行船内の誰もが絶望を抱いておらず、レノは失敗すれば自分だけではなく、目の前に居る仲間達も犠牲になる事を再確認し、何としても成功させなければならない。
(……馬鹿馬鹿しい)
ここまで来たら成功する、しないの問題ではなく、やるか、やらないかの選択肢だけなのだ。ならばレノは前者を選ぶだけだった。
「……さて、と……案内してくれ」
「分かった……誰か来てくれ」
『はっ!!』
伝声管にホノカが呟くと、数秒後にすぐに彼女の部下たちが集まり、ホノカはレノを肩を置き、
「――彼を魔導砲の場所へ案内してくれ。大切な「砲弾」だから丁重に扱うように」
「でも……それしか方法は無いと思います」
「わふっ……だ、大丈夫なんですか……?」
「……ソフィアを信じるしかない」
「たくっ……とんでもないことを考え付くね」
ソフィアの提案に全員がそれぞれの反応を示す中、ソフィアだけは準備を整えるために「レノ」と一言告げて男性時の姿に戻る。
ボウッ……!!
「おおっ……」
「なるほど……これがハーフエルフの能力なのか」
「凄い……」
全員の目の前で女の姿から男の姿に変身すると、それぞれが驚いた声を上げる。特にレミアは何故か感動したように目を輝かせ、レノの身体をじっくりと観察し、
「その姿であの腐敗竜を倒したのですね……やはり、私の予想通り凛々しい御姿です……!!」
「凛々しい……?」
「まあ、美少年の類ではあるね。女装したら似合いそうだ」
「いや、女装する意味が分からないけど……」
「……確かに」
レノは身体をゆっくりと動かし、体調を完全に取り戻している事を確認する。幸いというべきか、服装は男女両用の物を着ていたため、スカート姿で戦闘を行わないで済む。右手の紋様を観察し、いつでも「カラドボルグ」を召喚出来る事を確認すると、水晶壁に視線を向ける。
――シャァァアアアアアアアッ!!
地上から大蛇の鳴き声が響き渡り、現在の飛行船は上空300メートルの位置を保っている。この高度ならば流石のバジリスクも届かないのか、悔しげな声を上げてグネグネと地面を動き回るだけである。だが、獲物を逃す気は無いのかバジリスクは上空を確認しながら周囲の木々を破壊し、より一層にレノは苛立ちを覚えるが、何とか冷静さを取り戻す。
「スピーカー……じゃなくて、えっと……声を大きくする機械はある?」
「……学園都市の「拡音機」の事かい?それなら、この船にも内蔵されているよ」
「良かった。なら、俺のタイミングである言葉を船外に向けて流せる?」
「それぐらいなら問題ないが……一体、何をする気だい?」
「まあ、もう1つの案も試しておこうかと……」
――レノの考え出した作戦。それはバジリスクを深淵の森の集落が存在する場所まで接近し、その後は飛行船から飛び出したレノが「カラドボルグ」の力で集落を覆い込む結界の一部分を破壊し、飛行船を結界内部に入り込ませる。
集落に侵入と同時に誘導したバジリスクも追跡して集落に侵入するだろう。そして、完全に結界の中に引き寄せた跡、今度は内側から結界を突破して脱出し、バジリスクを集落内に閉じ込めるという作戦だった。
だが、この作戦の要であるカラドボルグの砲撃は今のレノでは一度しか使用できない。つまり、結界の内部に侵入する時点でカラドボルグの力を使用すれば、脱出の際にカラドボルグは使えない。
それでもレノはカラドボルグ以外にも集落の封印を解く方法をしっており、そちらの方法は確証性が薄く、運に任せる要素があまりにも大きいが、どちらにしろこの方法に賭けるしかない。この作戦ならば最悪でもバジリスクを結界内に封じ込める事は可能であり、考えている暇はない。
「たくっ……あんたが失敗したら、私達も巻き添えを喰らうね」
「今更後悔しても遅い……気軽に着いてきた自分たちの身を呪って」
「ちょっ……そこは嘘でも「俺を信じろ!!」という頼もしいセリフを言う所じゃないんすか!?」
「わぅんっ!!レノさんならきっと大丈夫です!!」
「……信じてる」
「俺も、レノを信じる」
「私もだ」
「私もです!!」
「いや、あの……嬉しいけどなんかフラグが立つみたいだからやめてくれない?過度な期待を抱くの……」
「ふむ……まあ、最悪の場合はこの飛行船を犠牲にすれば何とかなるかな」
「ええ~!?シャーちゃんが可哀想だよ!!」
「仕方ないだろう……というか、変な名前を付けないでくれ……定着したらどうする気だい」
「……シャーちゃん、イカす」
「いきなり1人が気に入っちゃったよ」
こんな状況にも関わらず、飛行船内の誰もが絶望を抱いておらず、レノは失敗すれば自分だけではなく、目の前に居る仲間達も犠牲になる事を再確認し、何としても成功させなければならない。
(……馬鹿馬鹿しい)
ここまで来たら成功する、しないの問題ではなく、やるか、やらないかの選択肢だけなのだ。ならばレノは前者を選ぶだけだった。
「……さて、と……案内してくれ」
「分かった……誰か来てくれ」
『はっ!!』
伝声管にホノカが呟くと、数秒後にすぐに彼女の部下たちが集まり、ホノカはレノを肩を置き、
「――彼を魔導砲の場所へ案内してくれ。大切な「砲弾」だから丁重に扱うように」
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