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45 王太子との出会い【回想】②
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からだの調子がまだ悪い私はベッドの上で国王との出会いの事を思い出していた。
何故そんなことをしているのかというと……暇なのだ。
……で、出会いについてだが私が侍女だった時に襲われたところまでは……。
その手前というか、実は国王が王太子の時代に婚約者がいたことがあったのだ。
その人は貴族出身でゴードン公爵家の令嬢、イリスという名の美少女だった。
到底私と比べれば品格の差は歴然だった。
私には関係のない話だと思いマリ先輩と一緒にお城の仕事をしていた。
侍女の部屋はお城の地下にある。
常に何かが起こった場合駆けつけることが出来るよう一階には宿直室があった。
私たち侍女は月4回交代制でその宿直をすることになっている。
そして私がその宿直の仕事だった時の事。
「ご苦労だな。マリア」
私が寛いでいる所にアルバン王太子が入って来たのだ。
以前私の事をイヤらしい目で見られていたことを思い出し気持ち悪くなってしまった。
「今宵は其方が当番なのか?」
「はい……あのぉ~……部屋から出て行って下さい。仕事中ですので……」
「それは済まなかった。では失礼する」
アルバン王太子はそう言って部屋から出て行った。
私はため息をついてぼ~っとしてその日の夜を過ごした。
夜の勤務を終えて自分の部屋に戻ってベッドの上で仰向けになって寝ていると、扉のノックする音がした。
私はマリ先輩かと思ってベッドから降りて扉を開けるとそこに立っていたのはアルバン王太子だった。
「マリア……其方、私の子を孕んでくれないか?」
「な、何を突然っ!! ふ、ふざけないでくださいっ!!」
「本気なのだ。このままだと私はあの女狐と婚約して結婚させられてしまう。それだけは出来んのだ。私は其方が欲しい。どうか聞き入れてくれっ!!」
どういう事なのか、興奮している王太子に冷静になって理由を聞こうと思った。
取り敢えず部屋には入れることにしたのだが(ここがそもそもの間違いだった)、そのイリス令嬢との婚約の破棄したい理由を聞き出した。
すると……。
「あの女は、私を出しにしてこの国を乗っ取るつもりなのだっ」
「あの…それは、本当なのですか?」
「ああ。私はあの女の事が好かん。あれは親が勝手に決めた相手。私は絶対にあやつとの婚儀なんぞするものかっ!!」
何ともよく分からない理由をずっと言い続けていた王太子の事が何だか可哀そうに想えてしまった。
私はストレスのはけ口になればと思い、私がお聞きすることで冷静になれるならいつでもここへお越しください、と言ってしまったのだ…。
それがすべての間違いだったことに気付いたのは、それから数日後私の事を襲って来て既成事実を作ってしまった。
「昔のことを思い出すと本当に腹だたしい……」
そんなことを呟いていると部屋に国王が入って来た。
ああ、また何か心配してきたのかな。
「どうだ? 調子は?」
「だいぶ良いです」
「そうか。早く良くなると良いのだが」
「はい……」
本当は昔の事を思いだ出して気分が悪くなったことを言いたかったが敢えて言わずにいた。
何故そんなことをしているのかというと……暇なのだ。
……で、出会いについてだが私が侍女だった時に襲われたところまでは……。
その手前というか、実は国王が王太子の時代に婚約者がいたことがあったのだ。
その人は貴族出身でゴードン公爵家の令嬢、イリスという名の美少女だった。
到底私と比べれば品格の差は歴然だった。
私には関係のない話だと思いマリ先輩と一緒にお城の仕事をしていた。
侍女の部屋はお城の地下にある。
常に何かが起こった場合駆けつけることが出来るよう一階には宿直室があった。
私たち侍女は月4回交代制でその宿直をすることになっている。
そして私がその宿直の仕事だった時の事。
「ご苦労だな。マリア」
私が寛いでいる所にアルバン王太子が入って来たのだ。
以前私の事をイヤらしい目で見られていたことを思い出し気持ち悪くなってしまった。
「今宵は其方が当番なのか?」
「はい……あのぉ~……部屋から出て行って下さい。仕事中ですので……」
「それは済まなかった。では失礼する」
アルバン王太子はそう言って部屋から出て行った。
私はため息をついてぼ~っとしてその日の夜を過ごした。
夜の勤務を終えて自分の部屋に戻ってベッドの上で仰向けになって寝ていると、扉のノックする音がした。
私はマリ先輩かと思ってベッドから降りて扉を開けるとそこに立っていたのはアルバン王太子だった。
「マリア……其方、私の子を孕んでくれないか?」
「な、何を突然っ!! ふ、ふざけないでくださいっ!!」
「本気なのだ。このままだと私はあの女狐と婚約して結婚させられてしまう。それだけは出来んのだ。私は其方が欲しい。どうか聞き入れてくれっ!!」
どういう事なのか、興奮している王太子に冷静になって理由を聞こうと思った。
取り敢えず部屋には入れることにしたのだが(ここがそもそもの間違いだった)、そのイリス令嬢との婚約の破棄したい理由を聞き出した。
すると……。
「あの女は、私を出しにしてこの国を乗っ取るつもりなのだっ」
「あの…それは、本当なのですか?」
「ああ。私はあの女の事が好かん。あれは親が勝手に決めた相手。私は絶対にあやつとの婚儀なんぞするものかっ!!」
何ともよく分からない理由をずっと言い続けていた王太子の事が何だか可哀そうに想えてしまった。
私はストレスのはけ口になればと思い、私がお聞きすることで冷静になれるならいつでもここへお越しください、と言ってしまったのだ…。
それがすべての間違いだったことに気付いたのは、それから数日後私の事を襲って来て既成事実を作ってしまった。
「昔のことを思い出すと本当に腹だたしい……」
そんなことを呟いていると部屋に国王が入って来た。
ああ、また何か心配してきたのかな。
「どうだ? 調子は?」
「だいぶ良いです」
「そうか。早く良くなると良いのだが」
「はい……」
本当は昔の事を思いだ出して気分が悪くなったことを言いたかったが敢えて言わずにいた。
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