種族統合 ~宝玉編~

カタナヅキ

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第四部隊編

大会の変更事項

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――過去に行われた剣乱武闘は初日に武芸者だけが参加できる「武芸部門」2日目は魔術師だけが参加できる「魔術師部門」に別れて部門別で行われていた。この2つの部門大会は事前に参加者は選定されており、一般人ではなく貴族や高名の騎士が選ばれる。


大会の本番は3日目以降の「本戦」であり、こちらに至っては参加証を手にした冒険者や騎士、あるいは魔術師が参加して複数の予選が開始される。約3日間の間行われる予選を勝ち残った「8名」の選手だけが決勝戦である闘技場に集められ、バトルロワイヤル形式で行われる。

前回の大会ではアルトやジャンヌも決勝戦に出場したが、センチュリオンの乱入によって大会は注視となり、優勝賞品と賞金を奪われ、参加者の多くも誘拐されてしまった。

さらにセンチュリオンが作り出した巨大な魔方陣によって上空から隕石が飛来し、ミキが命を賭けて闘人都市ごと観客達を救い出した事で大きな被害は免れたが、これ以降、大会は中断されたままだった。だが、今回の腐敗竜とバジリスクの一件で各種族が危機感を抱き、それぞれが大会側に支援を行って戦力増強のために世界中の実力者が集う剣乱武闘が再開されることになった。



――大会の再開の裏には各種族が自分たちの現在の戦力を知らしめるため、大会の規則を大幅に変更しており、武芸者と魔術師の部門大会を廃止し、初日と3日目に掛けて予選を行い、予選を勝ち抜いた「32名」が5日目と7日目(2日目と4日目と6日目は選手たちの休息日)の本戦に参加するトーナメント方式に変更された。




予選に関しても今までは最高でも3000名の参加者を集めていたが、今回に限って3分1の「1000名」だけに限定され、より一層に参加証の価値が跳ね上がる。

また、予選に関しては種族ごとに別々に分けられ、ハーフエルフであるレノに関しては本来なら「人間(ヒューマン)」か「森人族(エルフ)」どちらかの予選に参加する権利を与えられるはずだったが、今回は森人族の参加者が少なかったため、必然的に彼らの方に予選を受ける事が決まってしまう。

リノン達に関してはテンペスト騎士団の団長のジャンヌと副団長のリノン、そして同じく副団長であるアルトには既に王国の参加者である証の剣のマークが刻まれた「銀のメダル」が送られ、幹部クラスであるゴンゾウとポチ子には拳と獣の牙のマークが刻まれたメダルが贈られてくる手筈となっている。

この参加証のメダルは種族ごとに別々に刻まれており、森人族はレノと同様に大樹、人魚族は水滴の形をしたマークを、魔族に関してはメダルではなく、紫色の魔水晶が送られる。



今回の「剣乱武闘」はお互いの人材を競い合う意味もあり、各種族は惜しみなく優れた戦士や魔術師を送り込むのは確実であり、バルトロス王国はレノ達以外にもレミアやジャンヌを出場させる動きがあった――



「……大会ねぇ……面倒だな」
「……応援する」
「コトミは参加しないの?」
「……疲れそう」
「ああ、そう……」


レノはコトミを引き連れて都市の散策を行っており、他の者達は1ヶ月後の剣乱武闘に備えて各自が装備を整えたり、鍛錬に励んでいる。久しぶりの単独行動を楽しもうとしたが、コトミが護衛として付いてくるため、レノは彼女に腕を組まれながら市場を歩き渡る。


「らっしゃいらっしゃい!!森人族お勧めの果物だよ!!」
「どうだいそこのお姉さん!!海で取れたての魚だ!!新鮮だよ!!」
「大会前の必需品!!各種の属性魔石は如何!?今ならセットでお買い得だよ!!」


市場は既に剣乱武闘の開催前のせいか、大勢の人間が行き交っており、活気に満ちている。


「……賑わってるな」
「……人、多い。離れない様に気を付ける」


むにむにっ……


コトミの胸に腕を挟まれながら、レノは柔らかさを堪能しながらも散策する。大会に参加する以上、一応は無様な姿を晒すわけにもいかないため、何か役立つ物は無いかと辺りを見渡すと、


「……あっ……」
「ん?」


不意にコトミが声を上げ、振り向くと彼女がある露天商に視線を向けているのを確認し、覗き見ると、


(指輪?)


露店には無数のアクセサリーが並べられており、宝石というよりは魔石を加工した代物らしく、コトミは青く光り輝く水晶が取り付けられた指輪を眺めている。指輪の値札の値段を確認し、レノは懐の巾着袋を確認すると、一応は買えない事は無いが中身が一気に吹き飛ぶ金額だった。


「…………」
「……欲しいの?」
「……うん」


素直に答えるコトミにレノは頭を搔き、露天商の主人と思われる全身を茶色のローブで覆い隠した女(と思われる)に話しかける。


「これをくれ」
「あいよ……!?ま、毎度あり……」
「……?」


銀貨を渡し終えると主人は素っ気なく指輪を袋に入れて渡し、あからさまに視線を反らして顔をそむける。そんな女主人の態度に不思議に思いながらも、レノは袋を受け取る。
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