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鎮守府大将軍

因幡国調略2

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1559年9月『京・二条城』鷹司関白太政大臣義信・真田幸隆・黒影・織田信長ほか

「他の勢力への調略は進んでいるか?」

 俺は黒影に尼子や山名に属している国衆・地侍への調略がどれほど進んでいるか確認した。

「はい、多くの国衆・地侍が閣下の侵攻を待って寝返る予定でございます」

 実際問題因幡の勢力は混乱の極みである。

 当初尼子晴久は、因幡山名家の山名豊成を支援して勢力を伸ばそうとしていた。だが但馬山名家からは山名豊定が因幡守護として派遣され、死力を尽くして因幡の覇権争いをしていたのだ。しかし尼子国久や大内家との争いに加え、鷹司・武田との関係もあり、争っていた山名祐豊の因幡撤退を受け入れることになった。

 これで現在因幡国内には、山名豊成と山名豊定・山名祐豊の2つの山名勢力を混在している。共に尼子晴久の支援を受けてはいるものの、後々の勢力争いを考えれば心から信頼して共同戦線を張ることなど不可能だった。

「因幡の毛利家はどうする心算なのだ?」

「安芸の毛利元就同様に強かな者でございますが、忠誠心はそれなりに強く、容易く降ると言質を与えません」

「大軍を持って因幡に攻め込むまでは、尼子や山名に忠誠を誓い、袋叩きなならないようにしているのか」

「はい、多くの国衆・地侍が、早目に閣下の味方を表明して、周囲の尼子・山名勢に攻め込まれるのを恐れております」

「だが直ぐに因幡に討ち入る心算は無い、それほど米の採れる国でもないから、播磨と但馬の内政を重視する」

「尼子が誘いに乗って攻め込んで来てくれれば、鉄砲や大砲で一網打尽になされる御心算ですね」

「そうだ、時間を掛ければ味方の損害無しに攻め取れるのだ、無理に急ぐ必要などない」

「軍用の道を普請させられるのですね?」

「そうすれば、戦で家財を失った民を飢えや寒さから救いだせるだろう」

「左様でございますね、足軽を志願すれば幾らでも暮らしていけますが、どうしても戦に行きたくない者もおりますね」

「因幡の民も同じように集めてくれ」

「尼子や山名の忍が入り込みますが?」

「疑わしい者は追い返してくれればいい、だが本当に困っている民や、逃亡してきた兵は受け入れるようにしてくれ」

「承りました」

「弾正忠、海軍衆はどうなっている?」

「何時でも海岸線に艦砲射撃が出来る状態です」

「敵前上陸や後方上陸を実施してもらうかもしれない、奈良海賊衆も含めて、何時でも可能なように訓練を重ねさせてくれ」

「承りました」
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