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剣乱武闘編
センチュリオン殲滅作戦
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「まあ、薄々とは勘付いていたけどさ……いいの?そんな事を喋っても」
「私は巫女姫様が信じる貴方達を信じます。それにこの作戦は皆様方にも協力してもらう必要があります」
「私達に……?」
「撲は事前に聞いているが……この作戦には表立って参加出来ないよ。あまり目立ちすぎて、彼らの恨みを買うのは御免だからね」
「センチュリオンね……噂にはよく聞くけど、そんなにやばい奴等なのかい?」
センリの話に全員が反応し、この場に居るほとんどがセンチュリオンと何らかの形で関わっている。特にレノに至っては恐らく誰よりも彼らの事を知っており、魔王を完全復活させるために行動している事をアイリィから聞いている。
彼等は理由は不明だが膨大な魔力を必要としており、そのために世界中を行き渡り、無数の実力者たちを攫う。彼等から魔力を搾り取り、魔王の完全な形での復活を求めている。
「彼等の目的は未だに掴めませんが……1つだけ言える事は六種族にとって害となる存在だという事です。先の腐敗竜、さらには深淵の森のバジリスクなど、一体何が目的で復活させているのかは分かりませんが……次の封印を解く魔物は恐らく判明しました」
「え、そうなの?」
「……何であんたが知らないんだい」
センリの言葉にヨウカが首を傾げ、バルがツッコミを入れる。曲りなりにも聖導教会のトップが何故知らないのか。
「ヨウカ様は保護対象ですので……この作戦はワルキューレ騎士団と一部の者にしか伝えていません」
「で、作戦の内容は?」
「というか、私たちも聞いていいんすか?」
「一応はあたしたち一般人なんだけど……」
「はは、何を今更」
「ここまで来たら一蓮托生でござるよ」
「……急に帰りたくなったね」
バルの隣でカゲマルが馴れ馴れしく肩を組み、絶対に逃がさないとばかりに力を喰いこませる。ここまで来た以上、彼女にも協力してもらうつもりだった。
「話を戻しますが、センチュリオンは教会側に眠るある魔物を呼び起こそうとしました。私も後から知った事ですが、教皇様の部屋から出た資料を拝見し、その存在を知る事が出来ました」
「魔物って……あの教会にそんな物まで眠っていたのか?」
「はい、資料によれば初代巫女姫様が封印した魔物であり、その名前は「オルトロス」と言います」
「オルトロス……?」
酒場に居る殆どの者が首を傾げ、どうやらその存在を知る者はいないらしい。レノだけは「旧世界」の知識を思いだし、彼が行っていたゲームにも出ていた存在だ。
「それって……えっと、確かケルベロスの兄弟犬で、双頭の犬の事?」
「そ、その通りですが……良く知っていますねレノさん」
「すごいよレノたん!!誰から聞いたの?」
「あんた、妙な事に詳しいからね……」
「えっと……ビルドから教わったんだよ」
適当に言い訳をしながら、これからは迂闊な事は話さない様に心がけてセンリの話に集中する。
「先日のカトレアと……ツインが聖導教会の総本部に現れた際、教会の地下室に侵入者の痕跡がありました」
「え?まだ仲間がいたのか?」
「はい。どうやら、操られた勇者殿達から聞いた結果、彼らはカトレアから与えられた指示は教会内部で騒ぎを起こすだけではなく、地下に眠るオルトロスの「鍵」を捜索するように言い渡されていたそうです」
「鍵?」
「ただの鍵という訳ではないでしょう……恐らく、レノさんと同じ封印の一族の可能性もあります」
「ちょ、ちょっと待ってください!!封印の一族って……森人族だけではないんですか!?」
驚愕したリノンの言葉にセンリは首を振り、
「封印の一族は世界中に存在します。種族に関わりなく、封印を解くためだけに生み出されたと聞いていますが……」
「酷い話だね……」
「レノさん可哀想です……」
「そうでもない。封印の一族だったからこそ、ここまで生き残れた」
レノが仮に封印の一族でなければ、幼少の頃に深淵の森で処刑されていただろう。お蔭でハーフエルフと発覚しても追放だけで済まされており、巡り巡ってリノン達と出会えた。
「我が教会の封印の一族は実は誰だか分からないのです……資料も何故か、部分的に掻き消されていました」
「それが功を奏して、あいつらも封印を解けなかったのか」
「そのようですね……気になるのは封印されている場所ですが、どうやら嘗ての宝物庫から繋がっていたようです」
「あそこに?だとしたら……」
「はい。カトレアがあの場所にいたのは、宝だけが目的ではなく、オルトロスの封印を解くためにやってきたのでしょう。しかし……出入口が発見できず、教皇様を手に掛けたと……」
「カトレアがそんな事を……」
「ジャンヌ、貴女は色々と思う所はあるでしょうが……まずは私の話を聞いて下さい」
「……はい」
ジャンヌは少し悲しげな表情を浮かべ、未だに妹の死を引きずっている。状況が状況だからこそ仕方なかったとはいえ、自分の手で妹を殺害した事は忘れられない。だが、今はセンリの言葉は正論であり、彼女に視線を向ける。
「オルトロスについては私達も調査をしていますが、肝心の封印の一族が判明しない以上、封印は解かれる事はありません。ですが……教皇様の部屋の資料を読み漁るうちに恐ろしい事実が書かれていました」
「なんだい、まだあるのかい?」
「い、一体何が書かれたんですか?」
そこでセンリが一旦黙り込み、
「……封印されているのは教会総本部だけではなく、この闘人都市の地方にも恐るべき存在が眠っています。そして、それは魔物だけではなく、強大な力を持つ聖遺物の可能性も……」
「私は巫女姫様が信じる貴方達を信じます。それにこの作戦は皆様方にも協力してもらう必要があります」
「私達に……?」
「撲は事前に聞いているが……この作戦には表立って参加出来ないよ。あまり目立ちすぎて、彼らの恨みを買うのは御免だからね」
「センチュリオンね……噂にはよく聞くけど、そんなにやばい奴等なのかい?」
センリの話に全員が反応し、この場に居るほとんどがセンチュリオンと何らかの形で関わっている。特にレノに至っては恐らく誰よりも彼らの事を知っており、魔王を完全復活させるために行動している事をアイリィから聞いている。
彼等は理由は不明だが膨大な魔力を必要としており、そのために世界中を行き渡り、無数の実力者たちを攫う。彼等から魔力を搾り取り、魔王の完全な形での復活を求めている。
「彼等の目的は未だに掴めませんが……1つだけ言える事は六種族にとって害となる存在だという事です。先の腐敗竜、さらには深淵の森のバジリスクなど、一体何が目的で復活させているのかは分かりませんが……次の封印を解く魔物は恐らく判明しました」
「え、そうなの?」
「……何であんたが知らないんだい」
センリの言葉にヨウカが首を傾げ、バルがツッコミを入れる。曲りなりにも聖導教会のトップが何故知らないのか。
「ヨウカ様は保護対象ですので……この作戦はワルキューレ騎士団と一部の者にしか伝えていません」
「で、作戦の内容は?」
「というか、私たちも聞いていいんすか?」
「一応はあたしたち一般人なんだけど……」
「はは、何を今更」
「ここまで来たら一蓮托生でござるよ」
「……急に帰りたくなったね」
バルの隣でカゲマルが馴れ馴れしく肩を組み、絶対に逃がさないとばかりに力を喰いこませる。ここまで来た以上、彼女にも協力してもらうつもりだった。
「話を戻しますが、センチュリオンは教会側に眠るある魔物を呼び起こそうとしました。私も後から知った事ですが、教皇様の部屋から出た資料を拝見し、その存在を知る事が出来ました」
「魔物って……あの教会にそんな物まで眠っていたのか?」
「はい、資料によれば初代巫女姫様が封印した魔物であり、その名前は「オルトロス」と言います」
「オルトロス……?」
酒場に居る殆どの者が首を傾げ、どうやらその存在を知る者はいないらしい。レノだけは「旧世界」の知識を思いだし、彼が行っていたゲームにも出ていた存在だ。
「それって……えっと、確かケルベロスの兄弟犬で、双頭の犬の事?」
「そ、その通りですが……良く知っていますねレノさん」
「すごいよレノたん!!誰から聞いたの?」
「あんた、妙な事に詳しいからね……」
「えっと……ビルドから教わったんだよ」
適当に言い訳をしながら、これからは迂闊な事は話さない様に心がけてセンリの話に集中する。
「先日のカトレアと……ツインが聖導教会の総本部に現れた際、教会の地下室に侵入者の痕跡がありました」
「え?まだ仲間がいたのか?」
「はい。どうやら、操られた勇者殿達から聞いた結果、彼らはカトレアから与えられた指示は教会内部で騒ぎを起こすだけではなく、地下に眠るオルトロスの「鍵」を捜索するように言い渡されていたそうです」
「鍵?」
「ただの鍵という訳ではないでしょう……恐らく、レノさんと同じ封印の一族の可能性もあります」
「ちょ、ちょっと待ってください!!封印の一族って……森人族だけではないんですか!?」
驚愕したリノンの言葉にセンリは首を振り、
「封印の一族は世界中に存在します。種族に関わりなく、封印を解くためだけに生み出されたと聞いていますが……」
「酷い話だね……」
「レノさん可哀想です……」
「そうでもない。封印の一族だったからこそ、ここまで生き残れた」
レノが仮に封印の一族でなければ、幼少の頃に深淵の森で処刑されていただろう。お蔭でハーフエルフと発覚しても追放だけで済まされており、巡り巡ってリノン達と出会えた。
「我が教会の封印の一族は実は誰だか分からないのです……資料も何故か、部分的に掻き消されていました」
「それが功を奏して、あいつらも封印を解けなかったのか」
「そのようですね……気になるのは封印されている場所ですが、どうやら嘗ての宝物庫から繋がっていたようです」
「あそこに?だとしたら……」
「はい。カトレアがあの場所にいたのは、宝だけが目的ではなく、オルトロスの封印を解くためにやってきたのでしょう。しかし……出入口が発見できず、教皇様を手に掛けたと……」
「カトレアがそんな事を……」
「ジャンヌ、貴女は色々と思う所はあるでしょうが……まずは私の話を聞いて下さい」
「……はい」
ジャンヌは少し悲しげな表情を浮かべ、未だに妹の死を引きずっている。状況が状況だからこそ仕方なかったとはいえ、自分の手で妹を殺害した事は忘れられない。だが、今はセンリの言葉は正論であり、彼女に視線を向ける。
「オルトロスについては私達も調査をしていますが、肝心の封印の一族が判明しない以上、封印は解かれる事はありません。ですが……教皇様の部屋の資料を読み漁るうちに恐ろしい事実が書かれていました」
「なんだい、まだあるのかい?」
「い、一体何が書かれたんですか?」
そこでセンリが一旦黙り込み、
「……封印されているのは教会総本部だけではなく、この闘人都市の地方にも恐るべき存在が眠っています。そして、それは魔物だけではなく、強大な力を持つ聖遺物の可能性も……」
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