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闘人都市崩壊編
市街戦
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ウオォオオオオオオッ……!!
「これは……」
「は、肌がびりびりします……」
「建物を丸ごとゴーレムにするとは……」
「有り得ない……」
眼の前で巨大なゴーレムへと変化する建物に4人は汗を流し、このまま戦闘を行えば周囲に大きな被害が出る。その前に何とか破壊しなければならず、全員の視線がレーヴァティンの所持者であるジャンヌに視線が向けられる。
「ジャンヌ……貴方ならあれを何とか出来るのでは?」
「……すいません、あれほどの規模の敵を打ち倒すとなると、少し時間が……」
「あの……ナナさんは何とかできないんですか?」
「むっ……出来なくはないですが、まだ主人の肉体が馴染みきっていません」
全盛期の力を完全に引き出してしまえば本体であるレミアに大きな負担が掛かり、命が危険である。だが、ジャンヌのレーヴァティンは蓄積した力を爆発させる事に特化した聖剣であり、レノのカラドボルグのように最大出力を瞬時に引き出す事は出来ない。
ガラガラッ……!!
建物の瓦礫が零れ落ち、徐々に顔面が形成され、口の中から建物内の家具のような物を吹き出し、徐々に巨大な腕が形成される。
ズズゥンッ……!!
「わわわっ!?」
「仕方有りません!!ジャンヌ、準備を!!」
「は、はい!!」
「リノン、行きますよ!!」
「はい!!」
ゴォオオオ……!!
2人は自分の剣に火焔を纏わせながら左右に別れ、ポチ子も何かないかと自分の手荷物を確認する。こんな時のために彼女は日ごろから魔石をコツコツと集めており、様々な種類の魔石を収納している。
「はああああっ!!」
先行したナナは氷華を振り上げ、ゴーレムに目掛けて斬撃を放つ。刀身から冷気を発生させ、斬りつけた個所が凍結される。このまま全身を凍結させ、動けない様にさせるつもりだったが、
「させると思ってるのか!?」
「なっ……!?」
ウオォオオオオッ……!!
何時の間にか青年がゴーレムの頭部に乗り込んでおり、彼は掌をゴーレムに押し付けたまま、
「おらぁっ!!」
ドガァアアアッ!!
「うぐっ……!?」
唐突にゴーレムが右腕を振るいあげ、足元のナナに向けて攻撃を行い、さらに左腕も突き出してくる。彼女は肉体強化で後方に下がりながら、執拗に狙いを定めてくるゴーレムに視線を向け、明らかにあの青年に操作されている事に舌打ちする。
魔物を操るという術はこの世界にも存在する。彼らは「魔物使い(モンスターテイマー)」と呼ばれ、魔物の子供を自分の手で育て上げるとこで使役する。。だが、ナナが知る限り歴史上で「ゴーレム」を操れる者は存在せず、どうやら彼の怪しく輝く瞳の力が関係しているのは間違いない。
「こちらを忘れるな!!」
ドォンッ!!
「あら!?」
リノンが何時の間にか肩の上にまで接近しており、彼女は以前にも地下迷宮でゴーレム・キングと戦闘を行っており、その経験を生かして接近していた。
「火炎陣!!」
ドガァアアアアンッ……!!
刀身を突き刺し、ゴーレムの身体に赤い亀裂が走り、瞬時に内側から激しい爆発が起こる。
ウォオオオッ……!?
リノンの火炎陣で右腕が丸ごと崩壊し、地面に落下する。彼女はそのまま跳躍し、近くの建物の上に着地する。
「おっとと……流石に楽にはいかないか」
青年は振り落とされない様にしがみ付き、彼は破壊された右腕を確認して、これ以上にあの爆撃を受けたら不利と判断し、リノンに標的を変更しようとした時、
「――せいっ!!」
ズガァアアアアンッ!!
「うおおっ!?」
唐突に足元から破壊音が響き渡り、彼は地面に視線を向けると、そこには氷華を鞘に収めて両手で飛燕を構えるナナの姿があり、彼の脳裏に歴史に語られている銀の英雄(ナナ)の情報を思い出す。小手先の技ではなく、彼女は自分の腕力で英雄の座まで上り詰めた女性騎士であり、その打撃力は巨人族をも上回る。
彼女が両腕を使用した斬撃は衝撃波と化し、一撃でゴーレムの片足を崩れさせ、そのままバランスを崩した煉瓦の巨人は前のめりに倒れ込み、青年は慌てて持ち直そうとしたが違和感に気付く。
何故、彼女は片足だけを崩壊させたのか、その気になれば両足も破壊できる力の持ち主のはずだが、すぐにその理由は判明する。
ゴォオオオオッ……!!
(……やばいっ!!)
すぐに青年は周囲の熱気に気が付き、前方を確認するとそこには剣道でいう所の「正中線の構え」を取るジャンヌの姿があり、彼女の「レーヴァティン」の刀身には真紅の炎が天に上り詰めており、火柱が誕生していた。
「――焼き尽くせ」
ズドォオオオオオオンッ!!
彼女がレーヴァティンを振り落とした瞬間、地面を伝う炎の亀裂が生まれ、ゴーレムの足元にまで到達した瞬間、火山の噴火を想像させる炎が噴出される。
「危ねぇえええっ!!」
ダァンッ!!
青年は咄嗟に空中に飛び出し、ゴーレムは一瞬にして火柱に飲み込まれる。
ウオォオオオオオッ……!!
ゴーレムは足元から徐々に溶解されていき、すぐにも人型の形状さえも保てなくなり、やがて大きな灰の山と化した――
「これは……」
「は、肌がびりびりします……」
「建物を丸ごとゴーレムにするとは……」
「有り得ない……」
眼の前で巨大なゴーレムへと変化する建物に4人は汗を流し、このまま戦闘を行えば周囲に大きな被害が出る。その前に何とか破壊しなければならず、全員の視線がレーヴァティンの所持者であるジャンヌに視線が向けられる。
「ジャンヌ……貴方ならあれを何とか出来るのでは?」
「……すいません、あれほどの規模の敵を打ち倒すとなると、少し時間が……」
「あの……ナナさんは何とかできないんですか?」
「むっ……出来なくはないですが、まだ主人の肉体が馴染みきっていません」
全盛期の力を完全に引き出してしまえば本体であるレミアに大きな負担が掛かり、命が危険である。だが、ジャンヌのレーヴァティンは蓄積した力を爆発させる事に特化した聖剣であり、レノのカラドボルグのように最大出力を瞬時に引き出す事は出来ない。
ガラガラッ……!!
建物の瓦礫が零れ落ち、徐々に顔面が形成され、口の中から建物内の家具のような物を吹き出し、徐々に巨大な腕が形成される。
ズズゥンッ……!!
「わわわっ!?」
「仕方有りません!!ジャンヌ、準備を!!」
「は、はい!!」
「リノン、行きますよ!!」
「はい!!」
ゴォオオオ……!!
2人は自分の剣に火焔を纏わせながら左右に別れ、ポチ子も何かないかと自分の手荷物を確認する。こんな時のために彼女は日ごろから魔石をコツコツと集めており、様々な種類の魔石を収納している。
「はああああっ!!」
先行したナナは氷華を振り上げ、ゴーレムに目掛けて斬撃を放つ。刀身から冷気を発生させ、斬りつけた個所が凍結される。このまま全身を凍結させ、動けない様にさせるつもりだったが、
「させると思ってるのか!?」
「なっ……!?」
ウオォオオオオッ……!!
何時の間にか青年がゴーレムの頭部に乗り込んでおり、彼は掌をゴーレムに押し付けたまま、
「おらぁっ!!」
ドガァアアアッ!!
「うぐっ……!?」
唐突にゴーレムが右腕を振るいあげ、足元のナナに向けて攻撃を行い、さらに左腕も突き出してくる。彼女は肉体強化で後方に下がりながら、執拗に狙いを定めてくるゴーレムに視線を向け、明らかにあの青年に操作されている事に舌打ちする。
魔物を操るという術はこの世界にも存在する。彼らは「魔物使い(モンスターテイマー)」と呼ばれ、魔物の子供を自分の手で育て上げるとこで使役する。。だが、ナナが知る限り歴史上で「ゴーレム」を操れる者は存在せず、どうやら彼の怪しく輝く瞳の力が関係しているのは間違いない。
「こちらを忘れるな!!」
ドォンッ!!
「あら!?」
リノンが何時の間にか肩の上にまで接近しており、彼女は以前にも地下迷宮でゴーレム・キングと戦闘を行っており、その経験を生かして接近していた。
「火炎陣!!」
ドガァアアアアンッ……!!
刀身を突き刺し、ゴーレムの身体に赤い亀裂が走り、瞬時に内側から激しい爆発が起こる。
ウォオオオッ……!?
リノンの火炎陣で右腕が丸ごと崩壊し、地面に落下する。彼女はそのまま跳躍し、近くの建物の上に着地する。
「おっとと……流石に楽にはいかないか」
青年は振り落とされない様にしがみ付き、彼は破壊された右腕を確認して、これ以上にあの爆撃を受けたら不利と判断し、リノンに標的を変更しようとした時、
「――せいっ!!」
ズガァアアアアンッ!!
「うおおっ!?」
唐突に足元から破壊音が響き渡り、彼は地面に視線を向けると、そこには氷華を鞘に収めて両手で飛燕を構えるナナの姿があり、彼の脳裏に歴史に語られている銀の英雄(ナナ)の情報を思い出す。小手先の技ではなく、彼女は自分の腕力で英雄の座まで上り詰めた女性騎士であり、その打撃力は巨人族をも上回る。
彼女が両腕を使用した斬撃は衝撃波と化し、一撃でゴーレムの片足を崩れさせ、そのままバランスを崩した煉瓦の巨人は前のめりに倒れ込み、青年は慌てて持ち直そうとしたが違和感に気付く。
何故、彼女は片足だけを崩壊させたのか、その気になれば両足も破壊できる力の持ち主のはずだが、すぐにその理由は判明する。
ゴォオオオオッ……!!
(……やばいっ!!)
すぐに青年は周囲の熱気に気が付き、前方を確認するとそこには剣道でいう所の「正中線の構え」を取るジャンヌの姿があり、彼女の「レーヴァティン」の刀身には真紅の炎が天に上り詰めており、火柱が誕生していた。
「――焼き尽くせ」
ズドォオオオオオオンッ!!
彼女がレーヴァティンを振り落とした瞬間、地面を伝う炎の亀裂が生まれ、ゴーレムの足元にまで到達した瞬間、火山の噴火を想像させる炎が噴出される。
「危ねぇえええっ!!」
ダァンッ!!
青年は咄嗟に空中に飛び出し、ゴーレムは一瞬にして火柱に飲み込まれる。
ウオォオオオオオッ……!!
ゴーレムは足元から徐々に溶解されていき、すぐにも人型の形状さえも保てなくなり、やがて大きな灰の山と化した――
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