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第七十五話 妹と下校

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「え、一馬くん休みなの?」

「そうだよ、風邪だったかな?」

「そうなんだ……」

だったら、今日急いでくる必要なかったじゃないか。
でも休みなら仕方ないな。
僕は一馬くんがいないのならここにいる必要はもうないので、妹と一緒に帰ることにした。

「よし、僕も帰るか」

そう言って、妹の横に並んだ。すると妹が、僕の方を見て

「なんで横に並ぶの?」

と聞いてきた。

「それは妹と一緒に帰るために決まってるじゃないか」

そう言うと、妹は何も言わなかった。
僕はそのまま妹の横に並んで歩いた。そして、学校付近を過ぎると、学生の量が減って歩きやすくなった。

「そういえば、学校はどうだ? 前みたいにちょっかいかけられたりしてないか?」

「お兄ちゃんには関係ないでしょ」

「はいはい、左様ですか……」

妹はぷいっと横に向く。その顔は少し赤くなっていた。これは怒ってらっしゃるようだ。
でも、前のような疲れた顔をしていないので、いらぬ心配だったと思っている。
僕は妹の頭の上に手を置いた。

「何か困ったことがあればまた言えよ」

そう言って、妹の頭の上に置いた手で頭を撫でてやる。
すると妹は、顔を伏せた。顔が見えないので迷惑そうな顔をしているのかどうかすらわからなかった。その顔を下から覗く訳にもいかないしな。

「……」

しかし、妹は何も言わなかった。何も言われないので、辞めるタイミングを僕は失っていた。
これは、いつまで続ければ……

すると、周りをすれ違う人たちが僕たちのことを見て笑って過ぎていく。なんとも恥ずかしい。
そう思っていると、妹も恥ずかしくなったのか急に動き出した。

「ちょっと、もうひつこい!」

そう言って、頭の上に乗せていた僕の手を払いのけた。
やっとか。
僕は、疲れた手を振って疲れを取っていく。
そんなこんなしていると、昨日一馬くん出会った道に近づいてきた。

「昨日そこの見てで一馬くんに会ったんだ」

そう妹に話しかけると、特に興味なさそうに

「そうなんだ」

と返答が帰ってきた。
なんか冷たいな。
そして、昨日一馬くんに出会った道に来た。
この道は特に人通りが多くない道のため、ほぼ人が通ってない。しかし僕と妹の貸切状態なのだと思っていると、前方にランドセルを背負った小学生が見えた。
まさか……残念ながら、その上学生は昨日会った一馬くんのストーカーだった。
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