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剣乱武闘 覇者編
片翼の天使
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「フォトン・レイ‼」
「聖属性の砲撃魔法ですか‼」
ドォオオオンッ‼
ジャンヌは戦斧を振り抜くと同時に刃から三日月状の魔弾が放たれ、レノ達が以前に見た時とは形状が変化している。これは彼女が数年の間に変化させた砲撃魔法であり、相手を振り払う動作と同時に魔弾で追撃可能となった。
こちらに向かってくる魔弾に対し、ナナは飛燕を片手に鞘に収めていた氷華を抜き放ち、双剣を構えて魔弾を正面から刃で受け止める。
「せいっ‼」
ズバァアアンッ‼
双剣で受け止めるのと同時にアルファベットの「X」のように切り裂き、ナナは正面にいるはずのジャンヌに視線を向けようとする。しかし、予想に反して魔弾を放ったはずのジャンヌの姿は見えず、右方向から気配を感じ取り、
「はっ‼」
「くっ……⁉」
ガキィイインッ‼
魔弾に気を引かれていたナナの右横からジャンヌは戦斧を突き出し、咄嗟に飛燕で受け止めるが、片手だけで彼女の一撃には耐え切れず、そのまま勢い任せに吹き飛ばされる。
「はぁあっ‼」
「くあっ⁉」
ズドォオオンッ‼
ナナの身体が後方に吹き飛ばされ、彼女は何とか着地するが、前方からジャンヌが追撃を行う。
「せいりゃっ‼」
「くっ‼」
そのままジャンヌは攻勢に入り、ナナは双剣で防ぐが勢いは止められず、隙を付いたジャンヌの戦斧の柄が腹部に叩き込まれる。
「はぁっ‼」
「ぐふっ⁉」
ドスゥッ‼
ナナは腹部に強烈な一撃を叩き込まれ、そのままジャンヌは戦斧を勢いよく振り絞り、刃に魔力を蓄積させ、アルトが最も得意とする魔法剣を発動させた。
「ディバインスラッシュ‼」
「その技は……⁉」
ズガァアアアンッ‼
聖属性の魔力の斬撃が放たれ、ナナは正面から防ぐのは危険と判断し、彼女は飛燕を地面に突き刺して氷華を両手で握りしめる。
「コオリ‼」
ピキィイイイイッ‼
氷華を地面に叩き付けた瞬間、一瞬にして冷気が放出され、巨大な氷塊が誕生する。そのまま聖属性の斬撃と氷塊が激突し、氷の礫が舞い散る。
ドゴォオオオオンッ‼
「くっ⁉」
「なんて威力……流石は今世の英雄ですね」
「私よりも英雄の名に相応しい方はいます‼」
ギュルルルッ……‼
ジャンヌは戦斧を振り絞り、そのまま回転させる。その光景にナナは訝し気に視線を向けるが、すぐに異変に気が付く。回転する戦斧の刃が発光し、どんどんと光が強まっていく。観客席側では上から見下ろせるため、回転するジャンヌの周囲に光のリングが形成されているようにも見えた。
「ディバイン・リング‼」
ビュオォオオオオッ‼
ジャンヌの周囲に形成した光のリングが浮き上がり、そのままナナに向けて放たれる。初めて見る聖属性の魔法にナナは驚きながらも、飛燕と氷華を構え、光のリングを迎え撃とうとした時、
「まだです‼ディバイン・クラッシャー‼」
ドゴォオオオオオンッ‼
そのままジャンヌは回転の勢いを利用し、地面に戦斧の刃を叩き付ける。その瞬間、足元の地面が砕け散り、石礫がナナに向けて放たれる。
「なっ⁉」
光のリングと石礫の波状攻撃に対し、ナナは双剣で防ぐことが間に合わず、二つの攻撃を正面から喰らう。
ドォオオオオオンッ‼
激しい土煙が舞い上がり、ジャンヌは攻撃が命中したのかと汗を流しながら確認するが、すぐに土煙から何かが飛び出したことに気が付く。
ズドォオオンッ‼
試合場に舞う土煙から人影が飛び出し、そのまま上空に浮き上がる。観客の誰もが空を見上げ、試合場にいるジャンヌは笑みを浮かべると同時に疲労とは違う汗が頬を伝う。この慣れ親しんだ「威圧感」に対し、彼女は遂に自分の望みが叶う事を悟る。
「……お久しぶりですね。師匠」
「……私としては初めて会うと思いますが、何故か懐かしい気がします。生前の私の知り合いの肩ですか?」
――上空に姿を現したのは背中に光り輝く片翼を生やした美しい女性であり、彼女は試合場にいるジャンヌに笑みを浮かべる。生前の記憶は殆どないが、自分の愛弟子であった彼女の事は懐かしい感覚が訪れていた。
2人は上空と地上で視線を躱し、ゆっくりと「ミキ」は舞い降りる。その神々しい姿に観客達は魅入られ、特等席のヨウカは少し涙ぐむ。死んでしまったミキ本人という訳ではないが、それでも彼女と瓜二つの姿のミキを見て何故だか涙を堪えきれなかった。
試合場に降りったミキはジャンヌと向かい合い、戦斧を構える彼女に対して微笑を浮かべ、自分も2メートルを超える杖を構える。生前の彼女の杖はヨウカに受け継がれたが、この杖はレミアが彼女のために用意した物であり、先端には複数の魔水晶が取り付けられていた。
「……私の事を覚えていますか?」
「先ほども言いましたが、懐かしい感覚はありますが名前までは憶えていません」
「ならば一生忘れられないようにさせます。私の名前はジャンヌ、あまり好きな呼び方ではありませんが、他者からは鮮血のジャンヌと呼ばれています」
「随分と物騒な名前ですが……聖導教会の人間ですか?」
「もう私は聖導教会を去った身です」
「そうですか……ならば、容赦は無用ですね」
会話を終えた途端、ミキの表情が一変し、ジャンヌは久しぶりに感じる恐怖に顔を引き締める。ミキの纏っている雰囲気が変化し、彼女は杖先をジャンヌに構え、
「聖天魔導士の実力……見せてあげます‼」
「聖属性の砲撃魔法ですか‼」
ドォオオオンッ‼
ジャンヌは戦斧を振り抜くと同時に刃から三日月状の魔弾が放たれ、レノ達が以前に見た時とは形状が変化している。これは彼女が数年の間に変化させた砲撃魔法であり、相手を振り払う動作と同時に魔弾で追撃可能となった。
こちらに向かってくる魔弾に対し、ナナは飛燕を片手に鞘に収めていた氷華を抜き放ち、双剣を構えて魔弾を正面から刃で受け止める。
「せいっ‼」
ズバァアアンッ‼
双剣で受け止めるのと同時にアルファベットの「X」のように切り裂き、ナナは正面にいるはずのジャンヌに視線を向けようとする。しかし、予想に反して魔弾を放ったはずのジャンヌの姿は見えず、右方向から気配を感じ取り、
「はっ‼」
「くっ……⁉」
ガキィイインッ‼
魔弾に気を引かれていたナナの右横からジャンヌは戦斧を突き出し、咄嗟に飛燕で受け止めるが、片手だけで彼女の一撃には耐え切れず、そのまま勢い任せに吹き飛ばされる。
「はぁあっ‼」
「くあっ⁉」
ズドォオオンッ‼
ナナの身体が後方に吹き飛ばされ、彼女は何とか着地するが、前方からジャンヌが追撃を行う。
「せいりゃっ‼」
「くっ‼」
そのままジャンヌは攻勢に入り、ナナは双剣で防ぐが勢いは止められず、隙を付いたジャンヌの戦斧の柄が腹部に叩き込まれる。
「はぁっ‼」
「ぐふっ⁉」
ドスゥッ‼
ナナは腹部に強烈な一撃を叩き込まれ、そのままジャンヌは戦斧を勢いよく振り絞り、刃に魔力を蓄積させ、アルトが最も得意とする魔法剣を発動させた。
「ディバインスラッシュ‼」
「その技は……⁉」
ズガァアアアンッ‼
聖属性の魔力の斬撃が放たれ、ナナは正面から防ぐのは危険と判断し、彼女は飛燕を地面に突き刺して氷華を両手で握りしめる。
「コオリ‼」
ピキィイイイイッ‼
氷華を地面に叩き付けた瞬間、一瞬にして冷気が放出され、巨大な氷塊が誕生する。そのまま聖属性の斬撃と氷塊が激突し、氷の礫が舞い散る。
ドゴォオオオオンッ‼
「くっ⁉」
「なんて威力……流石は今世の英雄ですね」
「私よりも英雄の名に相応しい方はいます‼」
ギュルルルッ……‼
ジャンヌは戦斧を振り絞り、そのまま回転させる。その光景にナナは訝し気に視線を向けるが、すぐに異変に気が付く。回転する戦斧の刃が発光し、どんどんと光が強まっていく。観客席側では上から見下ろせるため、回転するジャンヌの周囲に光のリングが形成されているようにも見えた。
「ディバイン・リング‼」
ビュオォオオオオッ‼
ジャンヌの周囲に形成した光のリングが浮き上がり、そのままナナに向けて放たれる。初めて見る聖属性の魔法にナナは驚きながらも、飛燕と氷華を構え、光のリングを迎え撃とうとした時、
「まだです‼ディバイン・クラッシャー‼」
ドゴォオオオオオンッ‼
そのままジャンヌは回転の勢いを利用し、地面に戦斧の刃を叩き付ける。その瞬間、足元の地面が砕け散り、石礫がナナに向けて放たれる。
「なっ⁉」
光のリングと石礫の波状攻撃に対し、ナナは双剣で防ぐことが間に合わず、二つの攻撃を正面から喰らう。
ドォオオオオオンッ‼
激しい土煙が舞い上がり、ジャンヌは攻撃が命中したのかと汗を流しながら確認するが、すぐに土煙から何かが飛び出したことに気が付く。
ズドォオオンッ‼
試合場に舞う土煙から人影が飛び出し、そのまま上空に浮き上がる。観客の誰もが空を見上げ、試合場にいるジャンヌは笑みを浮かべると同時に疲労とは違う汗が頬を伝う。この慣れ親しんだ「威圧感」に対し、彼女は遂に自分の望みが叶う事を悟る。
「……お久しぶりですね。師匠」
「……私としては初めて会うと思いますが、何故か懐かしい気がします。生前の私の知り合いの肩ですか?」
――上空に姿を現したのは背中に光り輝く片翼を生やした美しい女性であり、彼女は試合場にいるジャンヌに笑みを浮かべる。生前の記憶は殆どないが、自分の愛弟子であった彼女の事は懐かしい感覚が訪れていた。
2人は上空と地上で視線を躱し、ゆっくりと「ミキ」は舞い降りる。その神々しい姿に観客達は魅入られ、特等席のヨウカは少し涙ぐむ。死んでしまったミキ本人という訳ではないが、それでも彼女と瓜二つの姿のミキを見て何故だか涙を堪えきれなかった。
試合場に降りったミキはジャンヌと向かい合い、戦斧を構える彼女に対して微笑を浮かべ、自分も2メートルを超える杖を構える。生前の彼女の杖はヨウカに受け継がれたが、この杖はレミアが彼女のために用意した物であり、先端には複数の魔水晶が取り付けられていた。
「……私の事を覚えていますか?」
「先ほども言いましたが、懐かしい感覚はありますが名前までは憶えていません」
「ならば一生忘れられないようにさせます。私の名前はジャンヌ、あまり好きな呼び方ではありませんが、他者からは鮮血のジャンヌと呼ばれています」
「随分と物騒な名前ですが……聖導教会の人間ですか?」
「もう私は聖導教会を去った身です」
「そうですか……ならば、容赦は無用ですね」
会話を終えた途端、ミキの表情が一変し、ジャンヌは久しぶりに感じる恐怖に顔を引き締める。ミキの纏っている雰囲気が変化し、彼女は杖先をジャンヌに構え、
「聖天魔導士の実力……見せてあげます‼」
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