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1巻

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 1 邪竜じゃりゅうですが何か?


「人々を苦しめる邪竜よ! 今日という今日は勝たせてもらう!」

 もう何度目になるかわからないセリフを聞きながら、俺はため息をついた。
 いい加減、しつけーわこの女。森にやってくんの今日で何回目だ。どれだけやられたら気が済むわけよ。
 ライトブラウンの綺麗きれいな髪で顔も整っている、いわゆる一つの美人なのだが、剣を掲げて目に戦意をほとばしらせてりゃ当然色気なんてものはない。

「あ~、うん、悪いけど昼寝すっから後にしてもらえねーかな?」
「何をふざけたことを! 今すぐ私と勝負しろ!」
「いや、だからさぁ……」
「いくぞ邪竜!」

 こいつマジで人の話聞かねえ!
 女は剣に電撃をまとわせながら斬りかかってきた。しょうがないので白銀色の尻尾しっぽを使い、適当に相手をしてやる。
 キン、キン、キンッ。
 一応、俺の体に電撃系はほとんど効かない。だから感電とかもしない。
 体高は三メートルくらいと小柄だが、尻尾は軽く三メートル以上ある。まあ体高よりもだいぶ長い感じだな。
 皮膚も硬いし、翼だってえてっし、吐こうと思えば、数キロ先まで火の海に変えちまうブレスとかも吐ける。
 ま、あれだ。この女の言うとおり、俺は今邪竜とやらをやってるんだ。

「ハア、ハア、ハア、ハア」

 鼻くそほじりながら相手してたら、女が勝手に疲れちまったようだ。

「なあ、この辺でハーフタイムでも取っとく?」
「何を意味不明なことを! まだだ、まだ私はやれるッ!」

 なんか逆鱗げきりんに触れちまったようで、女は大魔法を詠唱えいしょうし出した。
 さすがに大魔法はちょっと怖い。……つーかこの女、まだ十代だってのにマジで優秀だよな。剣筋も悪くないし、他の冒険者やらと比べてもかなり戦闘能力高いし。
 相手に敬意を表して、一発だけ我慢してやるか。

「――サンダーブレーードッ!!」

 女の声に合わせて、暗雲れ込めた空から一筋ひとすじの雷光が降り注ぐ。それは俺の頭部を直撃すると、そのまま地面まで抜けていった。
 ビリリ、とちょっとばかし痛みが走り、のろしのように体から煙が上がっている。
 俺は白目をむいて、ドスンと地面に倒れた。

「ハッ、ハッ、や、やったのか……? わ、私は、邪竜……を、倒した……のか?」
「いいえ」
「え?」

 俺は寝っ転がったまま、尻尾だけをムチのようにしならせ、女の側頭部をひっぱたく。全く身構えていなかった女は言葉もなく気を失った。
 はい死んだフリ終わり。
 俺は立ち上がると、首をコキコキ鳴らした。いや竜でも肩とかるわけよ。

「おーい、おまえらどうせ見てんだろー? いつも通り頼むわー」

 ここは森の深奥しんおうで普段は俺一人しかんでいない。しかし今は、いくつもの気配がそこら中にある。

「おやびん! まかせてください!」

 カサカサと。カサカサカサと。
 灌木かんぼくから様々な色の物体が大量に出てくる。体長は三十センチあるかどうか。体は丸みを帯びていて、肉質はゼリーに似ている。でもクリッとした目と口がちゃんとある。
 スライムってやつだ。

「おやびん、イリグチのところでいいですか?」
「ああ頼むわ。一応野獣に食われねえように目立たねえとこで」
「「「「りょうかいしました!」」」」

 そう言ってスライムたちが隊伍たいごを組み始める。俺はベッドに載せる要領で女をスライムたちの上に運んだ。

「「「「おいっちにー、おいっちにー」」」」

 可愛らしい掛け声とともにスライムたちが行進していく。見慣れた光景だけど、まあ、やっぱ可愛いわ。
 地球にいたら間違いなくマスコットキャラとかになれる。前に流行はやってたゆるキャラだっけ? あんなやつらには絶対負けないと思うぜ。
 ようやく平穏な時間が戻ってきたので、俺は横になってあくびをもらす。
 ああいう腕に覚えのある冒険者とかいうやからが後を絶たない。俺は人を食わねえし、悪りぃこともしてねえのに、邪竜ってだけで挑んできやがる。
 でも、大抵のやつは実力差を見せつけるともうやってこねえ。あの女みたいなのが特別なのよ。あれ、たぶん魔王とか倒しちゃうタイプだね。
 美人だし俺が勇者だったらお嫁にしてやっても良かったんだけど。

「まあいいわ。そろそろ寝っか」


  ◇ ◆ ◇


 夢を見た。
 日本のサラリーマンの夢だ。
 そいつは営業マンなんかをやっていて、外回りの毎日で足がパンパンに張っていた。

「マジだりぃわー、働きたくねえわー、宝くじ頼むわー」

 彼女もいなければ信頼の置ける友人もいない。営業という仕事のおかげで外面そとづらは多少つくろえるが、内心はけっこう腐っているやつだった。
 でも、仕事の成績は悪くない。いつもそこそこの結果を出していた。だからクビになることはない。
 とはいえ、金持ちでもない。だからいつも、宝くじで六億円当籤とうせんを夢見ていた。
 その日も、宝くじを三千円分購入し、金持ちになる妄想にいそしみながら道路を渡ろうとしているところだった。
 だがしかし。
 そこへ車が猛スピードで突っ込んできた。歩行者用の信号は青。つまり、車は赤信号なのにブレーキ一つ踏みやしないのだ。

「グワッァ!」

 自分でも気味悪いと思う悲鳴とともに、サラリーマンはねられた。避ける暇なんてありゃしなかった。
 リーマンが最後に見た光景は、車の中でディープキスをしているカップルの姿であった。
 マジふざけんなよ、あのクソカップルが!!


  ◇ ◆ ◇


 そうです、そのひき殺されたリーマンってのは俺なんです。
 クソカップルのせいで死んだ俺なわけだが、そこで終わりではなかった。
 気づいたら、美しい白銀色の身体をした竜になっていたのだ。つまり今の俺ってわけだな。
 何がなんだかさっぱりだけど、考えても俺の頭じゃ答えは出ないと思ったね。だから、人間以外に転生したってことで納得した。
 ファンタジーは嫌いじゃねえし、ドラゴンも好きだからわりかし普通に受け入れられたのだ。
 問題はあれだな。この竜がけっこうやべーやつらしくて、邪竜とか呼ばれ、竜族(?)の中でもトップに位置するやつらしい。
 生まれ変わって数年だけど、週に一回はさっきの女みたいなのが訪ねてくる。ま、全員返り討ちにしてやってんだけど、やつらもこりねえ。俺は森で静かに暮らしてえのに、オチオチ昼寝もさせてくれやしねえの。
 もう慣れたけどよ。竜の生活も案外悪くねえ。
 スライムのおかげで、孤独でも寂しいわけでもねえし。
 働く必要もなくなったんで気楽でいいわ。毎日が日曜日って最高!
 俺ってやつは生まれ変わっても、何も変わってなかったわ。




 2 一つ目の怪物


 スライムは、臆病おくびょうなことで知られている。
 人間や他の魔物と遭遇そうぐうしたらさっさと逃げ出すような無害な存在だ。小動物的な可愛さもあり、恐れる対象では決してない。
 そんなスライムは、同じ種族だけで群れて生活するのがほとんどらしい。
 でもこの森に棲むスライムたちは全員、邪竜である俺を受け入れてくれている。その中でも特になついているのが何匹かいる。

「おやびーん、きょうはてんきがいいですねー。おいら、こういうひがダイスキです」

 みんなより目がクリッとしていて、のんびりとした話し方をするスラパチ。素直な性格をしているが、抜けているのがたまにキズだ。

「ねえおやびん、良かったらあたしたちのこと、背中に乗せて欲しいわ」

 オスのスラパチより一回り小さいメスのスラミ。気が強くてしっかりしている姐御肌あねごはだのスライムだ。

「そ、そらの……たび……僕も、いき……たい……な……」

 プルプルと小刻みに震えているのはスライレ。スラミとは対照的に気が小さくて、いつも何かにビクついている口調なのが特徴だ。
 こいつらはやたら仲が良く、三匹一組でいつも俺のところにやってくる。
 今日もまた俺の周りをぴょんぴょんスーパーボールみたいに跳ねて回っている。テンションが高いのはいつものことだ。
 しかしそうだな……森の常緑広葉樹たちも見飽きたところだし、こいつらの願いでも叶えてやるか。

「よし、んじゃ俺の背中に乗れ」
「わーー、ありがとうございますっ」
「やったわ!」
「う、う、うれ…………しい」

 獣のように四足歩行状態になってあげると、スライムたちが高くジャンプしてストンと俺の背中に乗った。
 これで準備オーケー。
 俺は強靱きょうじんな脚力で地面を蹴り、翼を羽ばたかせる。

「おまえらハシャぎ過ぎて落ちんなよー」

 キャーキャー騒いでいるスライムたちに注意を促しつつ、俺自身も気分が高揚こうようしているのを感じる。
 人間から竜になって一番嬉しかったのが、こうやって空を縦横無尽じゅうおうむじんに飛べるようになったことだ。
 蒼天そうてんに見守られながら、んだ空気を体内に取り入れ、翼で風を切っていく。
 人類は長いこと鳥のように飛ぶことを渇望して、ライト兄弟だか誰だかがようやく飛行機を発明したわけだけど……自分の力だけで飛ぶことは未だ成し遂げていない。
 でも俺にはそれができている。これが幸せってやつなんじゃねえのかな。

「人生ってこんな自由なんだなぁ……会社員時代が嘘のようだ」

 目覚まし時計に怒鳴どなられて、突然鳴るスマホの着信音に肝冷やして、舌打ちばっかしてる上司の顔色チェックして、通告もなしにカットされるボーナスに涙して、政治家の思いついた気まぐれな政策に一喜一憂して……。
 あれはなんだったんだろうな。夢? むしろこっちが夢なのかもしれない。夢なら覚めないでくれ。
 なんて祈りを捧げてたら、スラパチからつっこみが入った。

「じんせい? おやびんはリュウですよ?」
「おっと、そういやそうだったわ」
「いまのは、どらごんじょーくですね、わかります」

 こうやってスライムたちとたわいもない会話を続けながら、渋滞のない空をドライブしていく。
 人間も様々なように、大地も草に覆われていたり沼地があったりしていろいろだ。川も山も森もある。自然があるのは異世界だって同じだ。仕組みはそこまで変わらない。


「あら、あれなにかしら?」

 スラミが珍しいものでも発見したかのように言うので、俺も下方をチェックしてみる。
 枯れ木が密集する中に、紫色の生物と人間を発見した。
 男のほうは成人しているようで、結構立派なおのを構えている。
 魔物と対決しているんだろう。こっちの世界では珍しくない光景だ。
 あ、斧が吹っ飛ばされた。力の差にビビりすぎたのか、男は尻餅しりもちまでついて顔をゆがめている。

「お、お、おやびん、助けて、あげて」
「スライレ……でも、人間はスライムのことだってよく襲うぞ」
「それでも、なかには、やさしい人いる。やっぱり、助けて、ほしい」
「あいよ」

 元々そうするつもりだったしな。人間やめたからって人嫌いになったわけではないのだ。
 魔物の背後側から、地面すれすれの低空飛行で近づいていく。

「ひいい、やめろお、くるなああ!」
「クフフ、泣ケ、わめケ、もっともっと」

 だいぶ近づいたんだけど、両者ともまだ俺に気づいていない。というか紫の魔物、結構デカいな。
 腰布を巻いた二足歩行型生物だ。露出している上半身はかなり筋肉が盛り上がっている。
 布を巻いていること、言語を操ること、そしてデカい金棒を所持していることから見て、それなりに知性はありそうだ。
 あとは顔を拝みたいんだけどな。そう思って魔物の背後に忍び寄る俺。

「おまえラが苦シメば苦シムほど、オレは嬉シイ。ゆがんだ顔を見ナガラ食べる目玉は最高ダカラ」

 なんかすぐやられる悪役みたいなセリフだな。ともかく、そんなセリフを吐くことに夢中になってて、俺の存在に全く気づいてくれねえの。
 しょうがないのでスライムたちを下ろしてから、俺は魔物の肩口に手をかけた。

「おめーさ、ドS?」
「ナッ、誰ダッ!?」
「うおっ」

 驚いて飛び退く魔物に対して、こっちも同じくらい驚かされた。なぜかって、こいつ目玉が一つしかねぇんだもん!
 野球ボールサイズのそれは、白目の部分があかくて不気味。瞳孔どうこう爬虫はちゅう類のように縦長になってやがる。
 それに禿げた頭からは短い角みたいなのが二本ほど生えていて、口はあるものの鼻がない。
 こんな薄気味悪い一つ目怪物を間近まぢかで見ちまったのだから、俺が声をあげるのも無理ない。

「なぜこんなトコロに竜ガ……」
「ちょっと通りすがりでな」
「クッ、何という邪気オーラ。オレとヤルつもりカ……」

 瞬時に俺の敵意を察知したらしく、一つ目怪物はすぐに戦闘モードに入る。
 どうせ話し合いでは解決なんてできねえだろうし、こういうてっとり早い展開は嫌いじゃねえかも。

「グァアア!」

 一つ目怪物は高く持ち上げた棍棒を俺の肩にたたき落とした。人間を凌駕りょうがする腕力で振り回される鉄製棍棒。並の生物ならぺしゃんこだろう。

「ドウダッ! これがオレの力ダ! グフフフ――――ン?」
「あのよ、もう少しマシな肩たたきしてくれよ」
「ソンナ……ナ、ナラバ、オレの奥の手を見せてグファッ!?」

 俺が真っ直ぐに腕を伸ばすと、鉄をも裂く竜爪りゅうそうが怪物の胸板を突き破る。
 そのまま怪物が突き刺さった腕を近くの大木に向けて振るうと、「ア……ア……」と短い悲鳴をあげて飛んでいった。怪物は木に衝突して地に倒れ、電池が切れたように動かなくなった。
 もったいぶってねえで、最初から奥の手とやらを使えばよかったのに。
 俺の勝利が確定するなり、スラパチたちが歓喜の声をあげて跳び出してくる。

「さすがです、おやびん!」
「ふん、あんな怪物、いい気味だわ」
「あり……がとう……おやびん」

 テンションマックスのスライムたちは普通に可愛いと思うわけ。なのに、顔を青くしてドン引きしているやつがいるので、俺は声をかけてやった。

「よお、怪我けがはないか? ないな」
「じゃじゃじゃじゃ、じゃ、りゅう……」
「安心しろって。今の俺によこしまな気持ちとかねえから。純粋に人助けしてみたってやつ? まあ、礼を言いたいなら、このスライレに頼むわ」

 俺としてはだいぶ優しい口調で言ったつもりなのだが、恐慌きょうこうする人間には脅しにでも聞こえたのだろう。
 顔面蒼白そうはくの男は激しく震え、ブツブツと何か唱え始めた。
 どうやら「どうかお助けを~」と神に祈ってる模様。スライムが安心させようと言葉をかけるが、馬の耳に念仏状態だ。
 こりゃどうしようもねえなと頭かいてたら、男は突然石を拾って錯乱した様子で投げつけてきた。ゴンッ。痛……くねえけどね。

「お、お、おれをだまして食うつもりなんだろう! そうはいかないぞ、おれは、おれには、おれを愛して待ってくれている人がいるんだっ! 帰らなくてはいけないんだ!」
「あ、そう。んじゃ帰ればいいじゃん」
「絶対に絶対に帰らなきゃ……エ? ……いいの?」

 俺が普通にうなずくと、男はさらに混乱した様子を見せた。

「でもでも……あれ、もしかして、助けてくれた、感じ?」
「どう見てもそうじゃねえか。もういいから早く帰れよ」
「あ、うん。えと、なんか、石とか投げてごめん。じゃあ帰るよ。バ、バイバイ」
「おう」

 自分を食べようとしたわけではないと理解した男は、「ママーッ」と叫びながら走り去っていった。
 愛して待ってるのって、ママだったのかよ。
 スラミが不服そうに鼻を鳴らす。

「フン、こんなに美しくて凜々りりしいおやびんに助けられて、あの態度はないわ。途中で魔物に食べられればいいのに」

 さすがに酷いぞとつっこもうとしたら、背後からスラパチの叫ぶ声。どうしたと振り向くと、奇妙な光景がそこにあった。どう奇妙かっていえば、あるはずのモノがなくなってるわけ。

「おやびん、いつのまにか、したいが」

 そう、あの一つ目怪物の死体が忽然こつぜんと消えているのだ。いや、正確には、なくなったわけではないのだろうが。

「あいつ、生きてたのか」

 死んだフリをし、俺たちの目を盗んでコッソリと逃げたのかもしれない。
 心臓を突き破ったはずだが、急所ではなかったということか……ブレスで灰にするのが正解だったか。もしくは首から上を潰すとか。

「まあいいや、帰るぞ」
「「「はーーい」」」

 だいぶ遠くまで来ちまったからな。空も徐々に赤みを増している。もうホームフォレストへ帰る時分だろう。
 スライムたちを背に乗せて、俺はまた空を泳ぐ。




 3 黄金おうごんのリンゴ


 猫が昼寝をするときのように丸まって、俺は体を休めていた。
 いつものことだが、森の最奥さいおうにはほのぼのとした時が流れている。スラミとスライレが俺の近くでたわむれているので、尻尾の先をしゅるしゅると動かしてくすぐったりしてみる。
 ケラケラと楽しそうに破顔するスライムたち。でも、遊んでいるのは二匹だけだ。近くにスラパチもいるのだが、こいつはピクリとも動かずに何か考え込んでいた。
 一番楽天的なはずなのに変だなと思ってたら、ようやく声を発する。

「おやびん、おうごんのリンゴってしってますか?」
「いや」

 ガキの頃に読んだ本かなにかで、黄金のリンゴは見たような気がする。でも現実にはそんなもんはないはずだ。そう即答したところ、スラパチがシュンと落ち込んでしまった。なんかごめんな。

「……そうですかぁ。おいら、たべてみたかったんです……」
「どこにあるんだ? 取ってきてやってもいいけど」
「ほんとうですかっ、わーい! ええっと……このあいだ、モリにきたヒトたちがはなしているのをヌスミギキしました。ここからずっとニシのオヤシキのニワ? にあるみたいですよ。すごくキチョウらしいです」

 西方にあるお屋敷の庭か。聞いたことも行ったこともねえな。町から離れたところにあるらしいが具体的な場所まではわからないらしい。
 金持ちが庭に特殊な木でも植えているってことでいいの?
 スラパチたちを連れていくか迷ったけど、今回は単独で行動することに決めた。屋敷を探して飛び回ることになると思うが、スライムを背中に乗せるとあまりスピードが出せない。俺がさっさと行って、さっさと帰ってきて黄金のリンゴをこいつらに食わせる。これでいい。

「んじゃ、人間が来たらちゃんと隠れろよ。ほかのスライムたちにも伝えといてくれ」
「はい、よろしくおねがいします!」
「おやびん、できれば私のぶんも持ってきてね?」
「ぼ、僕も、食べ……たい…………な」

 スラミとスライレも物欲しそうな顔でおねだりしてくる。

「複数あったらな。じゃあ行ってくるわ」
「「「いってらっしゃーい」」」

 こうして俺は存在するかも怪しい黄金のリンゴを求めて、森を出ることになった。


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