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生まれつき、左耳が聞こえにくかった赤城与一。
彼が欲しかったのは、世界を変えるような大発明ではない。
ただ、自分にとって使いやすい補聴器だった。
エンジニアとしての知識を使い、自ら補聴器の改良を始めた与一。
しかし、ある出来事をきっかけに、装置は本来拾うはずのない奇妙な信号を検出する。
ノイズなのか。
誤作動なのか。
それとも――自分自身から発せられたものなのか。
与一はその正体を確かめるため、実験を繰り返していく。
やがて辿り着いたのは、キーボードも、音声も、指先さえも必要としない、新しい入力方法だった。
思念性入力。
「これ、考えただけで入力できるんじゃない?」
ほんの小さな不便から始まった、一人のエンジニアの研究。
その発明が、この先どこへ繋がっていくのか。
この時の与一は、まだ知らない。
人間と機械を隔てていた境界が、ここから少しずつ閉じていくことを。
SF『CLOSE INTERFACE』
――世界を変えたのは、聞こえなかった左耳だった。
文字数 43,824
最終更新日 2026.08.23
登録日 2026.08.20
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