美織

誰もが持つ色彩ー『Paletteーパレット』。生まれた瞬間から、その人の存在を示す色が生まれ、それがこれからの人生や仕事、恋愛、その他色々なものに影響を持つ。 だが、その中で異常が生まれた。 全ての人間が今まで1つの色を持って生まれてきたのだが、ある日、どこかの田舎の病院で、異端者が生まれてしまう。 その赤ん坊の色は虹色だった。全ての色を持つ、極彩者が産まれたのだ。 その赤ん坊が生まれたことで、世界は大きく変わっていった。 極彩色を持つ者を神と同格と見定め、くすんだ色の持ち主は敗北者、明るく清い色の持ち主は格上の存在と、色彩によるカースト制度が生まれてしまった。 だが、極彩色を持つ者を異常者、世界から外れた者と見なして、格下の存在と言う者も少なくはない。 そして、極彩者は政治にも影響を及ぼし、海外との抗争が勃発した。 その中でも、多くの死者を出し、日本が一時破滅状態となった大戦争が起きた。 『色彩大戦争』 色の持つ全ての人間は、その色の特殊な武器を創り出すことが出来た。その武器で戦争を行い、一般人を巻き込む大戦争と化した。 その特殊な武器は、自身の色を鍛えることで発動する。 例えば、何かしらの恨みで生まれたものや、曲げられない信念のようなもの。心を鍛えることで、武器は形状を変化させたり、または身に纏うことも出来た。 そうして起こった大戦争。 その時代を生きてきた人々は口々にこう言った。 『色の暴走だ。』と。 その発端を産んだ極彩者は、戦争を起こした人間だと悟り、戦争の後命を絶った。 そこからは極彩者を持つ人間を皆毛嫌いするようになり、それが今の世界の基盤となった。 それから、カースト制度を基盤とした『王都』が誕生し、Paletteを持つ者と持たない者とで圧倒的な差別思想が生まれ、今の社会は完全に格差社会となった。 驚異的な経済成長で独立国家となった王都、その外で暮らす貧しい人々、全てがPaletteという色彩で決まる世界。 これは、色を持つ人間達の物語であるーーーー。