itsuki

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児童書・童話 連載中 ショートショート
 二年一組の男子の間では、先生に内緒で、ふでばこを投げる遊びが流行っていた。乱暴で体の大きいコウタロウが投げると、教室の端から端へ届いてしまう。女子たちは、こわくて教室のすみっこで、ふでばこがあたらないようにしていた。  ある日、コウタロウが投げたふでばこが彩佳にあたった。これがきっかけとなり、先生に遊びが知られ、「ふでばこなげ」が禁止された。また、彩佳に謝らなかったコウタロウがクラスで孤立し、誰も彼に話しかけなくなった。  ふでばこが飛んでこない教室は静かになったものの、「ぼく」は、居心地の悪さを感じるようになった。  そんな折、少し不思議なクラスメイトのユウマが、「ぼく」の目に留まる。ユウマは「『ふで』ばこだから」と言って、ふでばこの中に本物のふでを入れていた。  学校を休んでいたコウタロウが登校すると、彼は元気をなくしていた。誰もがコウタロウと接点をもたないようにするなかで、ユウマだけが違った。ふでばこからふでを取り出し、コウタロウの丸まった背中を優しく撫でた。  驚いたコウタロウは、少しずつ心を開いていく。  コウタロウとユウマは、二人で、ふででくすぐり合うようになった。「ぼく」もその輪に加わり、ふで遊びは、男子から女子へと広まっていく。温かく、居心地の良い教室がもどってきた。  コウタロウが彩佳に謝罪した。すぐに許してもらえなかったが、後日、「ぼく」は彩佳のふでばこに、ピンク色のふでが入っているのを見た。  優しさを届け合うふで遊びによって、教室はお日さまみたいな、ぽかぽかな色にそまっていく。  誰かを温かい気持ちにするユウマみたいになりたい。「ぼく」は切に願うのだった。
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文字数 5,275 最終更新日 2026.07.29 登録日 2026.07.29
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