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恋人が自殺した。自分が「来るな」と言ったその翌日に、彼は団地の11階から飛び降りた。
あんなことを言ってしまったのは、恐ろしかったからだ。ある日突然様子の変わった彼の、泣きながら自分に掴みかかってくる姿が怖かった。
お前のせいだと自分を責める声が、何年経っても耳から離れない。俺のせい、俺のせいと、ぐるぐるぐるぐる同じことばかり思う毎日。それなのに、いくら考えても分からない。彼がおかしくなった理由。
大学生になった今、となりには彼の姿で微笑むクローンがいる。それを見るたび、永遠に過去の呪縛から逃れられないと感じる。
そんな時、隣に引っ越してきた男が、自分に手を差し伸べた。彼の優しさに触れ、少しずつ救われていく。
だが、そんな自分の姿を見たクローンの行動が、徐々におかしくなっていく。
「僕を忘れて、それで生きていくつもりなのかな、静馬」
それを僕が許すと思うか。そう言うクローンの瞳に、あの時の彼と同じ暗さが宿っている。
文字数 13,381
最終更新日 2024.03.19
登録日 2024.03.04
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