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――その少年は、まだ自分が何者なのか知らなかった。
十五歳の少年、レイン。
魔法の才にも恵まれず、身寄りもなく、ただ生きるために逃げ続けていた。
そんな彼の運命を変えたのは、一人の魔導士との出会いだった。
死闘の末、敵を倒した瞬間。
レインの中で、未知の力が目を覚ます。
『王殺しの権能――起動』
奪ったのは、闇に潜み、すべてを呑み込む――影の魔法。
しかし、それは彼が手にする最初の力にすぎなかった。
王を殺せば、王の力を奪える。
魔王を殺せば、魔王の力を奪える。
英雄を殺せば、英雄の力すらも――。
やがて世界は、少年をこう呼ぶことになる。
「王殺し」
一方、レインの前にはもう一人の少年が現れる。
彼の名はアーク。
正義を信じ、誰かを守るために剣を握る少年。
二人は知らない。
なぜ初めて会ったはずなのに、互いを懐かしく感じるのか。
なぜ二人は、同じペンダントを持っているのか。
そして――
なぜ王国は、レインという少年の存在をこれほどまでに恐れているのか。
これは、世界に「最悪の悪」と呼ばれた少年と、
世界に「最高の英雄」と呼ばれた少年の物語。
二人が辿り着く先に待っているのは――
王座か。
死か。
それとも――
二人だけが知らない、出生の真実か。
文字数 19,738
最終更新日 2026.09.29
登録日 2026.09.29
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