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日常が崩壊へと音を立てて転がり落ちていく、その「最初の一日」を描いた群像劇。
朝の慌ただしい通学、リビングのテレビに映し出される「新型狂犬病」という政府の欺瞞、そしてシカゴの街で突如鳴り響く銃声。ピープル一家がまだ日常の延長にいたその裏で、シカゴ国立大学病院には州兵がなだれ込み、国家による無慈悲な封鎖と「オペレーション・ヴォイド」の歯車が回り始める。
人々がまだ「未知の病気」だと信じ、軍がまだ「秩序を守れる」と錯覚していた、救いの残されていた最後の瞬間。のちにすべてを焼き払う地獄へと変貌する世界の、あまりにも静かで、あまりにも暴力的な崩壊の序曲。
文字数 5,048
最終更新日 2026.09.23
登録日 2026.08.31
2016年。アマゾン奥地で発見された、地球温暖化により活性化した古代ウイルス。それは遺伝子操作やミラーウイルス、エボラウイルスと融合し、キノコの胞子のように一気に拡散する最悪の病原体――**「スポアウイルス(公式名:模倣性脳幹凶暴神経性病)」**へと変貌を遂げた。感染者は数分から12時間以内に凶暴化し、ドアを開けたり走ったりといった人間の生存本能や知性を残したまま人間を襲う。さらに、中には大脳の一部が活発化し、人間の頃の記憶を失ったまま高度な知性と「殺人の快楽」を持つ変異体**「ダークインフェクト」**へと転化する者も現れた。感染の拡大は世界を呑み込み国家は崩壊。人類の99%が死滅し、生き残ったのはわずか1%の人間たちだけだった。ウイルスが急速に広がり始めた12月下旬。アメリカ政府は未知の新興感染症と判断をしオペレーションヴォイド(ヴォイド作戦)を実施。この作戦には2つの目的が含まれていた。1つ、感染者からの物理的隔離。2つ、セーフゾーンがインフェクトの手に落ち鎮圧が不可と判断されコードレッドが発動された場合の空爆だ。この作戦にはあるプロトコルが制定させられている。それは処置プロトコル「インフェクト・サルベージョン・パージ」だ。このプロトコルは支給された拳銃で感染者を構わず撃つという究極のプロトコルだ。軍がセーフゾーンの設置を始めた初期のアメリカ・シカゴのセーフゾーン。パンデミック初期、過酷な隔離生活を送るウーソン家の父・ピープル、母・ソフィア、次男・キル、長女・ニコラ、末っ子のパル。彼らはつかの間の平穏を保っていたが、アトランタの派遣任務から生還した長男・マイケルが、すでにダークインフェクトと化して内部へと侵入したことで、その歯車は音を立てて狂い始める。
「くひひひ……」という不気味な笑い声を響かせ、家族に牙を剥くマイケル。軍は防衛を諦め市民を見捨て撤退の準備を開始する。1月19日11時頃軍に2時間以内の撤退命令が下される。
混乱の最中、ニコラは変わり果てた兄と対峙し、絶体絶命の危機に陥る。その時、腕を噛まれながらも駆けつけたマコ・ハーラム少尉が銃撃でマイケルを討ち取るが、基地の崩壊はもはや止まらなかった。
セーフゾーンの陥落と共に発動される、コードレッド。軍は市民の救出を放棄し、焼夷弾が主要都市へと容赦なく投下される。さらに海軍による海岸遠距離攻撃により都市部は壊滅的損傷を受けた。爆撃後軍はアラスカ州アンカレッジにあるエルメンドルフリチャードソン統合基地を中核に残存戦力を集中させ新たなセーフゾーンを設置したとされている。しかし真偽は不明だ。
撤退命令から2時間後の1時頃2016年1月20日。のちに生存者たちが**「ヒューマンデッド(人類敗北の日)」**と呼ぶ、絶望の炎に包まれた世界で、ウーソン家の運命と、終わりなきアラスカ州までの物語が幕を開ける――。
文字数 12,189
最終更新日 2026.09.23
登録日 2026.08.26
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