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荒廃した近未来の東京。政府の統制は形骸化し、金と暴力が支配するこの街で、楡卓也と名乗る男は、女のヒモとして気ままに生きていた。口癖は「めんどくさー」。陽キャラを装う、どうしようもない中年男――それが表の顔。
彼の本当の名は楡田審。裏社会に名を轟かせる殺し屋組織「アルカナ」に属する暗殺者、コードネーム「愚者」。道化師の仮面を被った瞬間、感情を切り捨てた殺人機械へと変貌する。
ある日下された指令は、新宿の闇に巣食う売春組織の壊滅。だが標的を追う過程で見えてきたのは、国境を越えた巨大犯罪組織「黒龍」の影と、組織の内部に潜む裏切り者の存在だった。
タロットの大アルカナにおいて、「愚者」が物語の始まりなら、「世界」はその完結を意味する札。何も持たない男が、すべてを巡った果てに辿り着く場所とは――。
殺し、守り、裏切られ、そして――愛する。
報われないと知りながら、ただ一人の少女に向けられる、見返りを求めない想い。これは、過酷な運命の中で生き、そして死んでいく一人の男の、生き様と死に様の記録である。
文字数 34,514
最終更新日 2026.10.15
登録日 2026.10.04
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