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世界各地にダンジョンが出現して二十年。
探索者によるダンジョン配信が一大コンテンツとなった現代で、十八歳の新人探索者・神代ハルも、一攫千金を夢見て配信を始めた。
しかし――。
登録者17人。
平均同接0人。
探索者としての実力も平凡で、配信者としての才能もない。
このままでは探索者を諦めて就職するしかない。
そんなある日。
いつものように誰も見ていないはずのダンジョン配信中、初めてコメントが流れた。
《後ろ》
その一言のおかげで、ハルは背後から襲ってきた魔物の攻撃を間一髪で回避する。
喜ぶハルだったが、その視聴者はやたらとダンジョン内部に詳しい。
《そいつの弱点は首だ》
《右へ逃げろ》
《そこは俺の縄張りだから入るな》
……俺の縄張り?
そして二人目の視聴者が現れる。
《にんげんだ》
三人目。
《あなた、本当に我々のコメントが見えているんですの?》
そこでハルはようやく気づいた。
自分の配信を見ているのは――人間ではない。
フェンリル。
スライム。
吸血鬼。
古龍。
そして、魔王。
なぜかハルの配信だけが、人類の知らない「魔物側」へと繋がっていたのだ。
魔物から攻略情報を教えてもらったり。
魔石をスパチャでもらったり。
怪我をすれば心配されたり。
時には魔物同士がコメント欄で喧嘩したり。
気づけばハルの配信は、人間にはまったく知られていないまま、ダンジョンの奥深くで少しずつ人気になっていく。
やがて――。
人間の視聴者が一人、偶然その配信へ迷い込む。
《銀狼フェン:今日遅かったな》
《古き竜:無茶をするな》
《魔王:こんばんは》
「…………なんでコメント欄に魔王がいるの?」
これは、人間には誰にも見てもらえなかった底辺配信者が、
魔物たちにとって一番有名な配信者になっていく物語。
そして誰も知らなかった、
ダンジョンの本当の姿を世界へ配信してしまう物語である。
文字数 7,348
最終更新日 2026.09.22
登録日 2026.09.22
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