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俺、時燼。五千余年生きて、数百万人を殺してきた。
殺したくて殺したんじゃない。呪いに殺させられてるんだ。
神器の持ち主を殺さなければ、今度は俺が死ぬ。
浮桜島の巫女。混血城邦の将軍。鉱山で仲間を守ろうとした少年。
みんな、俺の刃の下で死んだ。
奴らだって死にたくなかった。俺だってそうだ。でも、俺には選ぶ権利がなかった。
——あの紅い髪、紅い瞳の小龙女を拾うまでは。
低血統。一族に追われ、化形すらまともにできない。
だが、そいつは五千年前、俺の腕の中で死んだ龍主と、まるで同じ顔をしていた。
龍主は最期に言った。「私の代わりに、あの子を一度でいいから外へ連れ出してやってくれ」と。
ああ、連れて行く。俺の道なんて、一人増えようが減ろうが、大した違いはない。
なのに、この小娘、俺に本気で懐いてしまった。
「誰も私に、こんなに優しくしてくれた人はいなかった。死んでも、あなたについていく」と。
俺は、生まれてからずっと、人を殺してきた。
なのに今、たった一人だけ、守りたいと思ってしまっている。
ただ、どうしても分からないことがある。
この呪いは、いつか、あの娘にも刃を向けろと、俺に命じるんじゃないだろうか——。
文字数 38,951
最終更新日 2026.10.10
登録日 2026.10.05
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