古文教師・宮原の静かな授業に、主人公・鳴海奏多は眠気まじりに耳を傾けていた。
和泉式部を偏愛する宮原がある日託したのは、クラスメイト・中谷葉月への分厚い資料と一首の和歌、そして「訳してほしい」という奇妙な依頼だった。
やがて鳴海は、言葉の行間に潜む千年前の想いに触れ、和歌を通して誰かを深く知る喜びを知っていく。潮が引くほどの涙とは? 鳴海と中谷はそれぞれに答えを探し始める──。
恋とは、祈りとは、言葉とは。
重なり合う「うた」と「和歌」が、まだ見ぬ未来へ静かに響いていく、春の季節の青春小説。
文字数 12,218
最終更新日 2025.07.21
登録日 2025.07.21