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異世界?それも想定内だ。33年間、あらゆる可能性を生きてきた男
33歳、独身、これといった取り柄もない男。ただ一つ、誰にも理解されない習慣だけがあった――「もしもゾンビが出たら」「もしも大地震が来たら」「もしも異世界に転生したら」。生まれてこの方ずっと、あらゆる"もしも"を本気で考え続けてきたのだ。
変人扱いされ、大切な人との関係を壊しかけながらも、彼は積み重ねることをやめなかった。そしてようやく人生が上向き始めた矢先――頭の奥で、鐘が鳴る。
天界で与えられた猶予は、わずか40秒。「望む力を、想像しろ」という神の言葉に、迷いはなかった。33年間、この瞬間のためだけに生きてきたのだから。
超人的な身体能力。翼のない飛行。意のままの炎。そして何より――33年分のあらゆる想定を、瞬時に呼び覚ます力「想定録」。
「異世界? それも想定内だ」
ジェクスと名を変えた男は、目立ちすぎず、埋もれすぎず、慎重に力を隠しながら冒険者としての道を歩み始める。だがその内側では、少年のように高鳴る心が、ずっと疼いていた――想像の中でしか出会えなかった世界に、ついに触れられたという昂りが。
養子として死に物狂いで強さを掴んだライバル、黒豹の二つ名を持つギルドマスター、そして世界の裏で蠢く闇ギルドの影――積み重ねてきた"もしも"だけでは埋まらない現実に、彼はどう応えるのか。
そしてもう一つ。想定録がどうしても読み切れない、たった一人の存在。彼女の言動だけが、33年分のどの記録にも当てはまらない――。
これは、「転生したから強い」男の話ではない。33年間、本気で備え続けてきたから強い、一人の男の物語。
文字数 22,818
最終更新日 2026.07.31
登録日 2026.07.30
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