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プロローグ
たとえば、じぶんより大切な人ができるとするならば、わたしはほかに何もいらない。それくらい人を大切にしたい。人に大切にされたい。その思いが、わたしはとてもとても強いのだ。
一年前までわたしは、人に大切にされることも、人を大切にすることも知らなかった。でも、一年前に、わたしはそれらを知ることになる。
椿ちゃんとの出会いは、学校の保健室だった。いつも、わたしは教室に入ろうとすると苦しくなるのに、保健室だと少し落ち着く。
わたしはあの日、朝起きて顔を洗い、「今日は学校に行くからね。大丈夫だよね?」と、わたしのお気に入りのぬいぐるみに話しかけて、そのぬいぐるみにうんと(無理やり)頷かせた。
竦む足を精一杯動かして、わたしは学校に向かう。
今日わたしが学校に行こうと思った理由。それは、『今日がお母さんの誕生日』だからだ。
今日くらいはお母さんの笑顔を見たい。それだけだった。
わたしは何度も引き返そうとしたけれど、それはやめた。そして、とうとう学校に着い(てしまっ)た。
お母さんには「保健室で過ごしてね。無理しないでね」と言われているので、わたしはいつも通り、保健室に向かった。
着いてみると、ショートカットでぱっちり二重で、色が白くて……
とにかく、とても可愛い女の子がいたのだ。
向こうから話しかけて来た。
「何年生?」
「わたしは人と話すことが苦手なので、緊張してしまいます。えっと、えっと、2年…です!」
「あら? じゃあ、私より年上だったんですね! 私はてっきりあなたと私は同級生だとばかり思ってました。お名前は?」
文字数 1,305
最終更新日 2026.08.04
登録日 2026.08.04
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