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若君・勘解由小路琢磨様は、ある雨の日、父君の外遊土産である舶来の傘を試したくて仕方がない。牛車も馬も牛も不要、「俺には俺の足がある」と颯爽と歩いて学校へ…行くはずが、水たまりに夢中になりすぎて、結局一日中遊んで終わる。じい(米月小五郎)は番傘を差しつつ、若君の肩が濡れぬようそっと添えるが、若君は気づかぬふりで笑顔をこぼす。
そして夏。若君は井戸端で乾布摩擦に励む健やかなる自然児。そこへ迷い込んだ令嬢が、絹を裂くような悲鳴を上げる。じいは慌てて「せめて下帯を…」と進言するが、若君は「俺は天上天下に唯一、望月の欠けることなし」と堂々たる宣言。じいは黙して頭を垂れるしかない。
若君は、雨にも蝉にも女人の悲鳴にも動じぬ、天に愛された自由なる魂。屋敷の者たちはその輝きを守り、家族は穏やかに団欒を楽しむ。これは、そんな若君のひと夏の幸福譚。学校へ行かずとも、世界は彼の遊び場なのだ。
文字数 2,297
最終更新日 2025.10.06
登録日 2025.10.06
21歳の青年オズボーン・ウィットは、飛び級で大学に入学した13歳の天才少年・龍威(ロンウェイ)と出会う。龍威は冷淡で孤独を抱え、サークル活動の裏で乱行パーティーを監視・記録する冷酷な面を持つ。彼の行動は「裏切りへの備え」と語られ、オズボーンはその防衛本能と傷ついた魂に惹かれていく。
龍威の誘いに応じて肉体的な関係を持つが、オズボーンは他の男たちのように乱暴に扱うことを拒み、彼を丁寧に愛そうとする。龍威は「早く済ませてくれ」と言いながらも、オズボーンの優しさに戸惑い、少しずつ心を開いていく。オズボーンは彼の拒絶の奥にある「愛への渇望」と「裏切りへの恐怖」を感じ取り、誠実な愛を捧げることを誓う。
龍威は過去に父親からの虐待や、留学先での性的暴力を経験し、心身ともに深く傷ついていた。彼は「愛は嘘だ」「誰も信じられない」と語るが、オズボーンの涙と抱擁に触れ、凍った感覚が少しずつ溶けていく。二人は互いの体温を通じて、失われた感覚と信頼を取り戻していく。
やがて龍威はサークルを解散し、自らの傷ついた過去と決別する。夏の庭で水をかけ合い、子どものように笑い合う中で、龍威は「ちゃんとした愛を教えてくれ」とオズボーンに頼む。オズボーンは驚きながらも応じ、龍威は「後悔なんかしない」と言いながらも、揺れる瞳で自分の歪んだ性の記憶を修正しようとする。
二人はバスルームで衣類を脱ぎ捨て、裸のままベッドへ駆け込む。龍威は「この前は途中でやめたんだから」と笑いながらも、過去の傷に怯えながらオズボーンに身を委ねる。オズボーンは彼の体と心を丁寧に包み込み、龍威の魂に寄り添う。龍威は「オズボーンが二人になって、おれの中に入ってきた」と感じ、空っぽだった自分に温もりが満ちていく。
物語の終盤、龍威は「もう一回」と求めるが、オズボーンは休息と食事の必要を説く。龍威は「愛は食えないのか」と問い、オズボーンは「体と心、両方に栄養が必要だ」と答える。のちに龍威が恋人に手料理を作るようになる未来を予感させながら、オズボーンは王族のような少年に服を着せてやる。
龍威は眠りにつき、オズボーンは彼の魂がいつか高みへと羽ばたくことを願いながら、かたちのない花束として愛を捧げる。
文字数 11,266
最終更新日 2025.09.27
登録日 2025.09.27
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