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桜井晴人(さくらい・はると)は、異世界での第二の人生はラノベみたいなものだと思っていた。
――それは大間違いだった。
日本で命を落とした晴人が目を覚ましたのは、あらゆる生き物が〝モコ〟と呼ばれる不思議な精霊である、おとぎ話のような世界。
体も、声も、ステータス画面もない。この世界の常識すら知らない。
残ったのは、自分の頭と、なんでもゲームにたとえてしまうクセだけ。
冒険者ギルドに入り、ひねくれ者のテイマーと伝説の炎の狐に出会った晴人は、少しずつこの世界を知っていく。
ダンジョンと魔法、ギルド。そして――かつて魔王を討ち、跡形もなく姿を消した英雄、フェリクス王子の伝説を。
フェリクスが遺した八つの遺物、〈フェリクスの残響〉。
そのすべてを集めれば、どんな願いも叶える賢者の石を収めた小箱が開く。
そして王宮には、叶えるべき願いをすでに決めている者がいる。
――魔王を、この世に呼び戻すこと。
魔王がいた頃の世界は、恐ろしかった。だが、少なくとも秩序があった。
晴人が暗闇の中で目を覚ましたあの夜、王宮で小さな通知音が鳴った。
【Felix がセッションに参加しました】
晴人の望みは、ただひとつ。穏やかに暮らして、幸せになること。
けれどこの世界では、それこそが何よりも難しい願いなのかもしれない。
文字数 3,658
最終更新日 2026.10.30
登録日 2026.10.30
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