会社で「生き残る」ために必要なスキル磨きのコツ

少子高齢化の中で放っておけば縮小均衡していく日本のビジネス界では、現時点で安全なコンフォートゾーンに留まっていることによって、外部環境の変化に適応しづらくなり、気づいたら手遅れの状態になりかねません。

コンフォートゾーンから出たら、「居心地の悪い状態に慣れる」ことができるかどうかがリスキリングの成否を分けます。自分にとっては未知の領域で挑戦し続けることは、最初は居心地が悪いかもしれませんが、慣れてしまえば、その状態を続けられるようになります。筋トレと一緒で、最初は筋肉痛がありますが、慣れてしまえば、自分に起こる変化が楽しくなってきます。

③ 6割理解のままで突き進もう

知らない分野で初めてリスキリングに取り組むのは、だだっ広い場所にポツンと立って、どこに何があるのか、道はどこにあるのか、手探りで進んでいくような作業となります。初めての分野では「知らない」ことが当たり前なのです。とにかく動いてみて、全体像がつかめたら、しめたものです。

細かいことは後回しで良いのです。何度も同じ道を通るうちに、細かいことはだんだんわかるようになってきます。デジタルの世界は外部環境の変化が激しいので、昨日の正解が今日の不正解になることもあります。6割の理解レベルで良いので、どんどん当たりをつけて動いていきましょう。

④ 何度でも同じプロセスを繰り返そう

短期間の努力で正解・不正解を明らかにする中間・期末テストとは異なり、リスキリングで成果が出るまでには時間がかかります。知らない分野の専門用語がたくさん出てくることもありますので、しっかり理解できるまでは、忘れてしまうことがあって当然です。また以前の大学受験のように一時的な記憶力が勝負の世界ではありません。

一定の期間内に特定の資格取得が必要な場合を除き、覚えたことを忘れてしまってもがっかりする必要はありません。業務を通じて何度も繰り返していくことで、記憶が定着していくからです。

例えば、ある専門用語を忘れてしまった際に、「『忘れたこと』を覚えている」というのは記憶レベルが上昇している証拠なので、「あー、この前出てきたけど忘れた」という状態は良いことだと考えてください。

「最後までやり通す」とこだわらない

⑤ いつでも軌道修正しよう

知らない分野にチャレンジすると、やってみたら面白くない、自分の想定と違った、自分に向いていないといったことが明らかになる場合も多いはずです。「一度決めたから最後までやり通す」とこだわらずに、いつでも柔軟に軌道修正をしましょう。

自分の将来の方向性を決めるリスキリングを行うのですから、自分が楽しくなく、興味が湧かないことをやり続けるのは結果的に成果に結びつかない確率も高くなります。

⑥ すぐに成果が出なくても焦らない

リスキリングは短距離走ではなくマラソンのような長距離走であるため、途中でさまざまな障害があったり、ストレスがかかることもあります。また、その際に焦ってしまうかもしれません。

しかし、仮にネガティブな状態になってもしなやかに回復する力、レジリエンスがあれば問題ありません。すぐに成果が出なくて焦ったり、落ち込んだりしてもすぐに回復して継続できることが大切です。リスキリング継続の鍵はレジリエンスにあります。

⑦ 発展途上の自分に自信を持つ

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?で述べたように、リスキリングはすぐに成果が出るわけではありません。そのため、ある種の思い込みと言いますか、新しいことに挑戦している自分を肯定する、ほめるといったように、取り組んでいるプロセスそのものを信じることが必要になってきます。

現在発展途上にある自分に自信を持つことができると、これまでに述べた6つのマインドセットを維持しながら、リスキリングに取り組むことができるのではないかと思います。

僕自身、40歳からリスキリングに取り組み始め転職活動で評価されなかった当時を振り返って、完全に「発展途上の自分に自信を持つ」ことができていたかというと、答えはNOです。

ですが、これまでにまったく経験のない新しいことに挑戦し、自分で納得のいく成果を出すことが何度かできていたので、「発展途上の自分」の状態に身を置くことができていたのだと思います。

「リスキリングに取り組んでいる自分に自信を持つ」ことが、リスキリングによって自分の就きたい仕事に就くためのエンジン、原動力になるのです。