日本発「世界ヒット曲」で浮上した意外な顔ぶれ

日本人7人メンバーのガールズグループ「XG」は国内外で人気を獲得している(記者撮影)

韓国では優里、米津玄師、あいみょんなどの楽曲が人気、シンガポールでは日本発のダンスミュージックが聴かれる。インドでは藤井風などの有名アーティストに加え、若手アーティストのメジャーデビュー曲までチェックされている――。

9月、複数の指標によるヒットチャートを展開するビルボードジャパンが新たに公表を開始したのは、世界でヒットしている日本の楽曲のチャートと、各国における日本の楽曲のチャートだ。

メディアではしばしば「海外でこのアーティストが人気です!」といったニュースを目にするが、実際にどこで、どう聴かれているのかなど、明確ではない部分も多かった。日本の楽曲のチャートが公開されたことで、より具体的なトレンドをとらえることができそうだ。

アニメ、TikTok、ボカロ系が健闘

右下は世界でヒットしている日本の楽曲のチャートだ。世界中で展開する、有料・無料の主要ストリーミングサービスやビデオストリーミング(YouTubeの公式ミュージックビデオ等)、ダウンロードといった指標に比重をつけて算出。日本市場のデータは除いている。

上位にはアイドル(推しの子)、KICK BACK(チェンソーマン)など、アニメタイアップで広く支持を得た楽曲に加え、TikTokで人気を獲得したアーティストも並ぶ。imaseはその代表格の若手。NIGHT DANCERは昨年8月のリリースで、韓国など海外でも聴かれている。

そして、YOASOBIで作曲を行うAyase、キタニタツヤ、米津玄師、椎名もたなど、ボーカロイドプロデューサー(ボカロP)出身者が多いことにも驚かされる。タイアップなどでコンテンツを生かせる楽曲作りは、日本発のカルチャーとして注目されている。

また近年、10位の松原みき「真夜中のドア~stay with me」(1979年リリース)が40年以上の時を経て、海外で聴かれているのは業界では有名な事象のひとつ。

インドネシアの人気YouTuberが日本語でカバーした動画の拡散をきっかけに原曲が注目され、アップルミュージックやSpotifyの各種チャートにランクインしてきた。この背景には、1970~1980年代の日本の「シティポップ」のジャンルに着目する海外DJ達の支持もあったようだ。

最近の楽曲に混じってランクインするところをみると、海外勢のシティポップへの注目はまだ続いているようだ。

シンガポールではYOASOBI人気が突出

同時に発表された各国のチャートは、各国のランキングデータから日本の楽曲を抽出したもの。シンガポールではYOASOBIが4曲ランクイン。また、7人組のガールズグループ「XG(エックスジー)」も2曲入っている。

XGはエイベックスグループが手がけ、韓国を中心に活動してきたSIMON氏がプロデューサーを務める。ヒップホップやR&Bの楽曲を軸に展開する。K-POPを参考に世界ヒットを狙うグループだ。

YouTubeは海外からのアクセスのほうが多く、アメリカ・ビルボードの一部チャートにもランクインするなど、着実に海外で注目を集めてきた。国際都市・シンガポールで楽曲が聴かれていることも成果の一つだろう。

続くインドは藤井風「死ぬのがいいわ」がトップ。藤井風は2022年にリリースした「grace」のミュージックビデオをインドで撮影するなど、ゆかりのある地だ。同氏の中でも異色の曲調が人気になっている。

6位の「Baby ou」はシンガーソングライター・有華のメジャーデビューシングル。ポップな楽曲とダンスがバズり、今年3月にはビルボードジャパンのTikTok上の人気を測るチャートでトップを獲得した。