勘違いも多い「年末調整」「確定申告」が必要な理由

年末調整
年末調整をめんどくさいと感じるかもしれませんが、必要な理由を解説します(写真:CORA/PIXTA)
給料をたくさんもらっていてもなかなか貯金できない人もいれば、年収300万円でも5年で1000万円貯めた人もいます。その違いの1つとして「お金の知識があるか」という点が挙げられます。
 
女性たちにお金の増やし方を教えるお金の教室「富女子会(ふじょしかい)」を15年以上運営する金融・投資コンサルタントで1級ファイナンシャル・プランニング技能士の永田雄三氏が今回は「年末調整」「確定申告」について解説します。
 
※本稿は永田氏の新著『1000万円を貯めた女子100人がやったこと、やめたことリスト』を一部抜粋・再構成したものです。
 

年末調整とはいったい何か?

税金で控除を受けるためには申請が必要です。その申請には、主に「年末調整」と「確定申告」の2つがあります。

まず「年末調整」から見ていきましょう。年末調整は給与所得者である会社員を対象としたものです。所定の書類を提出すると、在籍する企業の経理担当者が税金の調整をしてくれます。

毎年、11月に「出せー」と言われるんですけど、めんどうくさくて。そもそも年末調整って何ですか?

年末調整とは簡単にいえば、国が「申告すれば、多く払いすぎた分の税金を戻しますよ」という制度です。年末に調整するから、「年末調整」と呼ばれています。

会社員の場合は、毎月、天引きの形で給料から税金が引かれています。個人個人が、どんな保険に入っているか、誰を養っているかといったことを会社は把握できません。ですから年に1回社員に提出させて、税金を払いすぎている人には戻し、納税の足りない人には追加で徴収しているのです。

加入している保険会社から送られてくる「控除証明書」は、年末調整書類提出時には必須のものですから、捨ててしまわないようにしましょう(万が一捨ててしまった場合は、再度取り寄せて提出します)。

基本は、会社が用意した書類に記入して戻すだけです。

年末調整が、「年末に調整する」なら、確定申告は「確定して申告する」……?

はい、そのとおりです。確定申告は簡単にいえば、「1年の所得の収支を計算して確定させて、納める所得税の金額を算出し、申告すること」。もっと簡単にいえば、「儲けたお金から、税金を払います。その申告をします」ということです。

先生!会社で年末調整してもらえてるし、私のような会社員には「確定申告」は不要なんじゃないですか?

いいえ、実は会社員でも、確定申告が「必要(しなければならない)」な場面、「したほうがいい」場面は数多くあります。

まずふるさと納税でワンストップ申請を利用しない場合、寄付などをした場合、副業をしているなど会社が把握していない収入がある場合などは、確定申告が「必要」です。

また、医療費控除を受けたい場合、金融投資をして損益が出た場合、住宅ローン減税を受けたい場合(初年度のみ)は、確定申告をすることで控除が受けられる(納めるお金をおさえられる)可能性があります。

確定申告は、「納税のため」のものというイメージが強いからか、多くの人は、「確定申告すると、税金を余計に納めなきゃいけなくなる」と勘違いされています。しかし、「控除」、つまり払いすぎたお金を戻すための確定申告もとても多いものです。

なお、確定申告にも種類があり、フリーランスや自営業者などは、申請の仕方で納める税金額が変わります。一度は税理士に相談してみることをおすすめします。

副業で収入があったら申告しないとダメ

(小さな声で)副業で収入がありましたけど、税務署に申告しなくてもバレなければいいんじゃないですか?