ポケモン新作『ユナイト』は最強の座組で熱狂必至?スマホ×Switchのクロスプレイ可

 年齢性別を問わず愛されているポケモン関連のゲーム。近年ではスマートフォンで楽しめるタイトルも増えてきており、新たなファンの獲得にも成功している。

 強力なIPを活かしたビジネス展開のうまさには定評があるポケモンだが、6月24日に発表された新作ゲームで新たなゲームジャンルの覇権を狙いに来た。しかも、中国の巨大企業テンセントとの共同事業でだ。

位置情報ゲームをメジャーなジャンルにしたポケモンGOの功績

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 一時に比べると落ち着いた感はあるが、『ポケモンGO』は今もなお継続プレイヤーが多く、繁華街や公園でスマホを手にしている人たちの画面が見慣れたポケモンのワンシーンということもよくある。位置情報を利用したゲームは、携帯電話(いわゆるガラケー)の時代からいくつかあったが、ここまでメジャーなジャンルになったのはこの『ポケモンGO』の功績と言っていいだろう。

 ポケモンGOは「Ingress(イングレス)」という位置情報を利用したスマホゲームを開発したNiantic(ナイアンティック)とポケモンが共同開発したゲームだ。Ingressでプレイヤーは、「THE ENLIGHTENED(グリーンチーム)」と「THE RESISTANCE(ブルーチーム)」のどちらかのチームの一員となって、陣取りを行う。この陣が位置情報を利用した現実のマップとリンクしているというわけだ。

 Ingressはオフラインイベントも活発に行われるなど一部の層に絶大な人気を博したが、ポケモンGOほどの拡大には至っていない。ポケモンGOヒットの理由として、「人気IPと組んで作ったゲームだからヒットしたんでしょ」と発想する向きもあるが、そうとも言い切れない。

 というのも、Nianticはハリー・ポッターIPを使った『ハリー・ポッター: 魔法同盟』という位置情報ゲームを配信しているが、こちらは日本ではヒットとはいいがたい状況が続いている。ハリー・ポッターの日本での認知度はじゅうぶんだし、実際ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)ではいつも混雑しているエリアの1つとして盛況なぐらいなのにだ。それぐらい、IPものゲームであっても約束されたヒットが通じない世界でもある。

 その点、ポケモンのうまさには脱帽する。最近でも『ポケモンスマイル』というアプリで子供の歯磨きをゲーミフィケーションするなど、とにかく自社IPを使ったゲームビジネスがうまいのだ。

ポケモンユナイトはMOBAをこう料理する

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 6月24日に発表された『ポケモンユナイト』は、ポケモンIPを使ったMOBAだ。MOBA(モバ)とは「Multiplayer Online Battle Arena」の略称で、ゲームジャンルの一種。具体的には、2つのチームに分かれて敵チームの本陣にあるコアを破壊するタイプのゲームのことを指す。

 これまで日本でも多数のMOBAが出て来ているのだが、海外での盛り上がりに比べると、どれも爆発的ヒットはしていない。だが、『ポケモンユナイト』は違う。

 本作はテンセントとの共同開発。テンセントは中国で圧倒的な人気を誇る『王者栄耀』(日本では『伝説対決』というタイトルで配信中)と、世界大会もあるeスポーツの代名詞的タイトル『League of Legends』を運営する会社。しかも、この2タイトルはどちらもMOBAだ。

 これだけでもただならぬ座組であることが想像できる。ゲームはMOBAとしてはオーソドックスな「5人 vs. 5人」で競うスタイル。チーム戦である以上、戦略がなによりも重要視され、プレイヤー同士のコミュニケーションは密になるはずだ。そうなると自然発生的にコミュニティが生まれ、よりゲームに熱中する仕組みが形成されるというわけだ。

 また、同ジャンルゲームの『League of Legends』がそうであるように、プレイヤーを飽きさせずに長期間活性化させ続けるには、キャラクターがなによりも大切だ。実際、『League of Legends』では100体以上のチャンピオンと呼ばれるキャラクターが存在し、マネタイズの肝になっている。この点でもポケモンはかなり有利だ。なにしろ、すでに人気を博しているポケモンがかなりの数に上る上、マーチャンダイズも成功している。

 ゲームとしての素地固めも考えられており、『ポケモンユナイト』は基本プレイ無料タイトルで(ゲーム内アイテムなどの課金はある模様)、スマホとNintendo Switchのクロスプラットフォームプレイが可能とされている。

 歩きスマホなど、ある種社会現象にまでなったポケモンGOを生み出した同社が、中国の巨大企業と共同開発する『ポケモンユナイト』。今度はどういった熱狂を生み出そうとしているのか? 配信日(現状未発表)を楽しみにしたい。

(文=辻英之)