中国、企業債務が過去最悪圏、破綻急増に警戒高まる…米国の会計監査強化が追い打ち

 オバマ前政権からの要求(監査強化)を無視したツケとはいえ、米国で「中国包囲網」の動きが強まっているなかで、「金融分断」が起きてしまったことであり、中国にとって大誤算である。 中国人民大学の教授は11月28日、動画配信サイトがライブ配信した討論会で「トランプ政権が誕生するまでの1992年から2016年までの過去数十年間、中国当局が米国政府をうまく扱うことができたのは、米国の政治権力を支配するウォール街に友人がいたからだ。すべての問題は大体2カ月で解決できた」とした上で「バイデン政権が誕生し、米中関係が再びトランプ政権以前の状態に戻ることができる」との期待を示した。

 中国当局がウォール街の金融機関を抱き込み、米国政府の政策に影響力を及ぼしてきたのは公然の秘密だった。米国の内政と外交に大きな影響力を行使してきたウォール街の金融機関は膨大な利益を提供してきた「金づる」を失わないようにするため、中国に対する批判を許してこなかった。米国ではトランプ政権誕生まで「中国批判」をタブー視する長い閉塞状況が続いたが、トランプ政権誕生で事態は一変した。「トランプ大統領が仕掛けた貿易戦争の最中、ウォール街の金融機関は中国のために動いたが力不足だった」と不満だった中国側は「バイデン政権の誕生でようやく元の関係に戻れる」と期待している節があるが、バイデン次期政権でも「中国封じ込め」の流れは変わらないとの見方が多い。

「金融分断」は経済の分野にとどまらず、国際関係にも多大な影響を与えた前例がある。1920年の日本と米国は、米国モルガン商会のトーマス・ラモントのおかげで蜜月関係を誇っていたが、満州事変の勃発などでラモントが仲介役を退いた1930年代初頭からその関係が一気に悪化したという経緯がある。

 今回の「金融分断」により、米中関係はますます悪化し、軍事的衝突に発展するリスクが高まってしまったのではないだろうか。

(文=藤和彦/経済産業研究所上席研究員) 
(参考文献)

『投資はするな! なぜ2027年まで大不況はつづくのか』(増田悦佐著/ビジネス社)