iPhoneなどのスマホ、低温の屋外での使用で寿命短縮か…バッテリー劣化

低温下で動作すると異常が生じる原因

 なぜ低温だとスマホの動作に異常が生じるのか。その理由について中国のスマホメーカー・Xiaomi(シャオミ)はHP上で次のように説明している。

<携帯電話が0 ℃以下の環境にあると、リチウムイオンの拡散率が、リチウムイオン間の負の移動活性に影響を与え、バッテリーの充放電性能と携帯電話システムが低下する結果を招くため、充電量無し、または充電量が極端に低いと認識するようになります。これによりバッテリーの保護メカニズムが作動し、携帯電話が自動的にシャットダウンします。これは携帯電話が低温環境でも動作できるようにするための処置ですが、自動的にシャットダウンしたり起動できない事象のように見えることもあります>

 大手キャリア関係者はいう。

「スマホのバッテリーとして搭載されているリチウムイオン電池の内部には電解質として液体が入っており、温度が極端に低くなると硬くなって『粘り気』が出てくる。すると抵抗が大きくなり、電解質の中をリチウムイオンが移動しにくくなるので電圧が下がり、バッテリーの性能が落ちたり、持ち時間が短くなる。バッテリーの劣化によって寿命自体が短くなることもあり、結果的にユーザーにしてみれば買い替え時期が早まってしまうので、避けたいところだろう。ちなみに強制シャットダウンは故障ではなく、バッテリーの電圧低下によって端末に異常が発生することを予防するためのものだ」

 冬の時期に屋外で操作していて動作が遅くなったりシャットダウンとなった場合はどうすればよいのか。

「絶対にやってはいけないのは、ストーブやエアコンの近くに置いたり、カイロの上に置いたりという行為。急激に内部の温度が上昇すると各パーツに結露が起き、つまり『水浸し』の状態になるので故障につながる。通常の室温下に置いて、ゆっくりと温度が上昇するのを待つしかありません」(同)

 気になるのは長時間にわたり低温下で動作させた際に危険が生じないかという点だ。

「極端な高温下で動作させると端末が熱くなり火傷を負ったり、端末が発火する恐れなどもあるが、低温の場合はそのようなケガや事故につながるリスクは高くはないかもしれない。低温下で持ち運ぶ際には、端末を外気にさらさないようにして、コートやジャンパーより内側の衣類のポケットに入れるなどし、できるだけ体に近い位置で保管して体温によってスマホの温度を下げないように意識するのも一つの方法だ」

(文=Business Journal編集部)