借金を踏み倒し続けたらどうなるのか…借金まみれの“エクストリーム層”

 これら封筒、もしくはハガキは、その中を見ずとも、そこに書かれている内容はおよそ察しがつく。

「いついつまでにいくら支払って下さい」「いついつまでに支払いがない場合、やむを得ず強制執行を行うほかありません」――。およそこういった督促だ。筆者は何度か、元の入居者や今居る入居者に、こういった郵便物の中を見せてっもらったことがある。

 消費者金融やカード会社のなかには、封筒を開けると、公共料金の払い込み票のようなものが入っていて、そのまま支払いができるよう工夫されているところもある。こうした郵便物が届くと、一般的には気が滅入る人が多いだろう。ましてや、返すあてがなければ、なおさらである。

 しかし、エクストリーム層は、こうした郵便物が届いても、なんら意に介す様子がない。

「大家さん、それ、悪いけど捨てといて――」

 大抵は、この一言で終わる。膨れ上がった債務を整理しよう、頑張って働いて返そう、という思考は皆無だ。

取り立てや催促は、すべて無視

 筆者は入居者たちに、「消費者金融、カードローン、クレジットカード、後払いアプリなど、支払わなかったらどうなる?」と、聞いたことがある。

 正社員として会社勤めをしているものの、金融信用情報でいわゆる“ブラックリスト”に入っている40代男性は、この問いにこう応えた。

「どうにもなりません。だって無い袖は振れませんよ」

 この男性曰く、消費者金融などの借入を返せなかった場合の流れは、概ね、以下のようになるという。

 まず支払日に振込や口座引き落としができなかった場合、この支払日は何もない。その翌日ないし翌々日から、電話、メール、郵便物などで催促がある。ある社は電話もメールもない代わりに、郵便物のみ。また別のある社は電話のみ。さらにまたある会社はメールと電話の合わせ技とだという。

「メールは読まなければいいです。電話は出なければいいです。郵便物は捨てておけばいいです」

 男性は極めて冷静に、淡々とこう話す。そして、さらにこう続けた。

「電話なら出ずに、電話番号をネットで検索します。でも着信拒否はいけません」

 電話に出ないのなら、なぜ着信拒否にしないのか。それは消費者金融やカード会社側からみると、「着信拒否された=本人が反応した」ということになる。

 消費者金融などの側からすれば、完全とはいいがたいが、電話の応答主は負債を延滞している本人である可能性が高いという判断をせざるを得ないだろう。

「だから着信はしても出ない。ずっと放置です。すると延々と掛かってきます」

 もっとも、それも3カ月程度だという。これを過ぎると、サービサーと呼ばれる債権回収会社や弁護士からの催促へと変わる。

「額にもよりますが、3万円から100万円以内だと、弁護士からの催促が多いという印象です。それ以上だとサービサーからの連絡が多いように思えます」

 消費者金融などが弁護士へ委託し、それでも支払いをしない場合、最終的にはサービサーへと移行するか、その借財などの額が60万円以下だと少額訴訟、140万円以下であれば簡易訴訟で解決を図ろうとする。

「裁判といっても、書面でのやり取りですぐ判決が出ます。毎月いくらずつ支払うとか、そういう判決が出ます」

 これは司法の判断だ。判決には従わなければならない。判決が出る、すなわち「債務名義」を取られた状態となると、消費者金融などの側は強制力――差し押さえといった手段での取り立ても可能だ。

差し押さえの多くは「銀行口座にある預貯金」がほとんど

 だが、それでも支払えない場合は、実際のところ、どうなるのか。

「それは、どうにもなりません。ある銀行系のローン会社と著名なカード会社は、実際に差し押さえてきましたよ」