笹井ひなか

笹井ひなか

趣味用小説プロローグ【私達を処刑しても無駄ですよ】

私はなんのために生きてきたんだろう?お兄様とお父様が何をしたというのだろう?濡れ衣だ。私達は何もしていない。

私が知らなかっただけだというのか?

私が知らなかっただけで……。

民衆の声がうるさい。今か今かと待ちわびている。ただの見世物。

「時間だ。早く上がれ」

薄目で空を見ると一筋の光が見えた。その光はお兄様に向かう。光が増えるとお父様にも私にも向かう。

暖かい…優しい光。


〘次の時代で幸多からんことを〙


頭に声が響いた。優しい声。

お母様……!!


私達の首は地面に落とされた。













あの悲劇から数百年。私達は今も生きている。何故ならあの光によって神と同等の存在になったのだ。不老だが不死ではなく不老長寿。

あの光のあと王国は滅んだ。理由は定かではないが神の怒りに触れたと伝わっている。

つまり、そういうことだったのだ。私達の母は神様だった。神の子であるお兄様と私を処刑しようとした、神様が愛した人、お父様も処刑されかけた。それが神様である母の怒りに触れた。

お父様はお母様が神様であると知らなかったらしい。そうでなくとも2人は愛し合っていた。お兄様と私が照れる程度には。

もう2度と会えないと思っていた2人が再会できて幸せな家族が戻って来た。



でも、私達が神様と関わりを持ったことでまた利用されようとしていた。









登録日 2024.03.26 09:44

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2024.03.26 17:36
笹井ひなか
笹井ひなか

「ジュリア、また手紙だぞ…」

「お捨てくださいお兄様。私はそんなものいらないので」

「そうは言ってもなぁ……これは王家からの手紙だ……」

「関係ありません。必要ありません。王家ならなおのこと。忘れたわけではありませんよね?」

頑なな私の態度にお兄様はため息を付いた。あの日のことは忘れない。




『どこにそんな証拠があるんですか!?お兄様が何をしたと!?』

『お前たち公爵家が企てたのは知ってるんだ!これを見ろ!!』

バンと突きつけられたのは暗殺に関わる計画書。薬草の種類や人体への影響など書かれている。それは我が領地で採れるものだった。そして建国記念日で警備が薄くなる時間も書かれていた。

『それが…なんの証拠になるというのですか!?』

『国王暗殺を計画していた証拠だろうが!?』

私は睨みつける。悔しい……誰がこんなことを……。髪を掴まれる。

『キャッ!!何をするの!?』

『犯罪者をどう扱おうが構わないだろ?どうせ来週には処刑される身だしな?』

『下劣な……!!いやぁぁぁっ!!』









忘れたとは言わない。数百年たとうとあの国が滅んだとしても許せるはずはない。公爵家を踏みにじるあの者たちがどうなろうと私の怒りは消えることはなかった。

「こーんにーちはー!!こーんにーちはー!」

「あの声はお兄様へのお客様ですわね?」

「嫌だなぁ…」

「私が王家からいただく手紙もそれですわ」

お兄様は納得したように玄関に向かう。そこにいたのはお兄様に片思い中の平民、アンナだ。そばかすに赤い髪、日に焼けた肌を隠すことなくお兄様に突撃する。なぜ化粧しないのか聞くと無駄だと笑った。着飾った自分に惚れられても素顔がこれだからと笑うアンナは可愛かった。

「あ!よかったクロウさん!これ野菜採れました。よかったらいかがですか?」

「ありがとうアンナ助かるよ」



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