篠川翠

篠川翠

福島でWebライターをやっています。小説では福島の歴史小説を執筆。第3回角川武蔵野文学賞中間選考通過。

「白露」裏話

お久しぶりです。アルファポリスは滅多に出入りしないため、たまに訪れると戸惑うことも^^;

今日で完結した「白露」ですが、字数が「歴史・時代小説大賞」の規定には短いかなあ~とは思います。
ですが、どうしても投稿したい理由がありました。

実はこの話、主人公である「笠間市之進」様のご子孫から聞いた話を元に、短編小説にしたものです。
noteやカクヨムで昨年の秋に公開した作品ですが、ほぼそのまま転載しました。

二本松の戊辰戦争というと「二本松少年隊」の悲劇が有名ですが、実際には領内各地で戦闘があり、市之進が戦った城之内は、現在の本宮市に当たります。
二本松城(霞ヶ城)落城の二日前に起きた、三春背反による急襲。
二本松と三春は正に「隣人」の関係で、この戦争が起きるまでは、普通に両方を人々が往来し、婚姻関係を結ぶことも珍しく有りませんでした。

そして恐らく幼馴染として育ち、大人になってから夫婦となった市之進と妙。この二人も実在の人物で、その後、妙も幼い子供を残して早逝しました。
また、ご子孫さまからのオファーもあり、次のような「長歌」も発表しています。


遠き日に 池の端(はた)にて 手を引かれ 
兄人(せうと)のごとく 思ひしが
江戸へ発ちたる 広き背を
送らむとせば 沈みけり
思ひ及ぶは我が心 君欲するや 我が華を
咲かしてみせむ にはのなでしこ

とこしへの 比翼連理(ひよくれんり)を誓へども 
諸行無常の 砲の音(ね)は
安達野(あだちの)揺らし 焼け果てたり
君が形見の 雛鳥(ひなどり)は 秋水(しゅうすい)に身を 震はせて
もののふなりと なほ君のごと


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笠間市之進は、一介の二本松藩士に過ぎないかもしれません。ですが、どうかこのような「無名の武士」も、そして、その家族等も二本松の誇りを掛けて戦ったことを、知っていただければ幸いです。
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登録日 2024.05.09 13:22

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